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【ネタばれあり】遅かった「JOKER」の警告

※注意※
話題の映画「JOKER」を観たので、その感想を書きたいと思います。盛大なネタバレはしませんが、匂わせはあると思うので、ネタバレ絶対許せないマンの方は、そっ閉じをお願い致します。

まず、すごい映画だったと思います。普通の青年アーサーがJOKERになる過程を演じたフォアキン・フェニックスの演技は、鬼気迫るものがありました。

いわゆる「無敵の人」を描いた映画ですね。
(「無敵の人」とは、失うものが何も無い人間。犯罪を起こし一般人を巻き込むことに何の躊躇もしない人々を指す。ニコニコ大百科より)

舞台は勿論「ゴッサムシティ」ですけど、なんだか私にはどこかで聞いたことあるシチュエーション満載でした。
青年アーサーがJOKERになる過程には、様々な悲劇があります。でも、日本のニュースを読んでいる私には、「これ知ってる」というシチュエーションばかりでした。
福祉から取りこぼされる弱者、サポートの打ち切り、ワープア、パワハラ、妄想恋愛、親のパートナーによる虐待。
むしろ、我々の現実世界のニュースで報じられている現実のほうが酷いとすら感じました。

で、アーサーはその憤懣を最初は物にぶつけます。激しくゴミ袋を何度も蹴りつける場面があるんですが(上の予告編動画にもちらっと入っています)、私はこのシーンで、先日とある方のツイートで読んだ「改札で老人を蹴りつけた男性」を連想しました。

モノに当たるアーサーより、よっぽど荒んだ現実がここにありました。
駅で女性にだけ体当たりする男性とか、抱っこひものバックル外しなんかも、これの亜流なんでしょう。

この映画内では、アーサー(JOKER)は、一度に大量殺人はしません。自分に何らかの危害を加えたり、辱めた人にだけ手を下しています(少なくとも、画面に映っている範囲内では←匂わせ)。今年5月に川崎で発生したスクールバス停を襲撃した事件や、映画の本国アメリカで起きている銃乱射のようなことは、JOKERはしないんです。
だから、むしろ今現実で起きていることの方が、よっぽど悲惨に感じられましたよ。

今この映画が作られた意味がよく分かりました。いや、むしろ遅かったかもしれません。もう日本では各地にJOKERになりかけのアーサー(または映画の中でピエロマスクをかぶっていた人々)が多発していると思いますよ。事実は小説より奇なり。あのゴッサムシティよりひどい現実がある気がします。

数年前に公開されていれば、「無敵の人が大量発生してしまうかもしれない世の中への警鐘」となりえたかもしれません。けれどこの2019年では、JOKER予備軍たちが「そうだ!やっぱり自分たちは世の中に復讐する資格がある!」と捉えてしまいそうな気がしてなりません。

そういった危惧から、アメリカでは映画館の入場時に荷物検査が行われているそうですね。米軍が警戒しているというような話も聞きました。何事も起こらないといいのですが。

あと、「気分が落ちている時に観ないほうがいい」とか「この映画を観る勇気がない」という声もよく耳にします。
けれど、日本の虐待やパワハラや上級国民云々のニュースを見慣れている方なら、観ても特に大きなショックは受けないと思います。あくまでも私の感想ですが、現実のニュースのほうがよっぽどショッキングです。この映画は、社会派作品として楽しめると思います。
(でもこの映画は、R15+なんですよね。親の付き添いありでも、15歳以下は観られない作品です。私の感想の理屈で言うと、日本のメディアはそんな現実を毎日流してることになるんですね)

以上、私の映画「JOKER」感想でした。お付き合いありがとうございました!

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