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12ヶ月の花果草木に防災をまなぶ

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美しい日本の四季の風景や稔りは、厳しい自然環境がもたらす賜物でもあります。四季折々の風景の中から、防災の学びを紐といていきます。
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#防災士

「災害を伝承する」碑の役割を見直す

「災害を伝承する」碑の役割を見直す

ツバキのように堂々と花弁を開くでなく、どこか済まなそうにひっそりと咲く「侘助」は、安土桃山期からツバキ科の園芸種として栽培されている。名の由来も定かではないが、そのたたずまいから茶人たちが好み、茶席の花として生けたことから「侘数寄」より転じるとの説もある。鎌倉時代、禅宗とともに日本に持ち込まれた茶の栽培。〝茶礼〟が武士階級に広まると、戦国の武士達のステイタスとなった「侘び茶」は、茶聖・千利休によっ

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耐火樹植栽は「難を転じる」リスクヘッジ

耐火樹植栽は「難を転じる」リスクヘッジ

寒々とした冬の軒先に赤い光の粒を灯すナンテン。「難を転じて福となす」との語呂あわせから厄災を除く縁起のよい木とされており、日本では古くから正月飾りに用いられ、ヒイラギとあわせ鬼門除けとして庭に植えられることも少なくありません。また、実を煎じて飲めば咳止めになることからのど飴の原料としてもおなじみで、葉には殺菌・防腐作用があるなど、昔から薬木として生活の中で重宝されています。

1属1種という珍しい

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地熱と火山がもたらす自然の恵み

地熱と火山がもたらす自然の恵み

冬の香りを代表するユズは、熱を加えても独特の爽やかな香りが消えないため日本料理の香辛料・酸味づけなどに用いられます。中国原産で、朝鮮半島を経由し日本に入ったのは奈良時代頃。四国3県での生産が国内シェア8割を占めています。種子をまいてから実がなるまでに年月がかかるものとされ「桃栗3年柿8年、枇杷は9年でなりかかり、柚の大馬鹿18年」とも。

果実に薬効が期待されるほか、冬至の日「柚子湯」に浸かれば一

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あってはならない、あるかもしれない水害。防災意識のはぐくみが一線を分ける。

あってはならない、あるかもしれない水害。防災意識のはぐくみが一線を分ける。

日本では晩秋に実をつけるオリーブ。地中海を中心に栽培され、果実からとれるオイルは私たちの食卓でもずいぶん馴染み深くなりました。国内での栽培は明治41年(1908)瀬戸内海に浮かぶ小豆島での成功に始まり、現在では全国各地にて栽培されています。宮城県石巻市では東日本大震災復興の一環としてあらたにオリーブ栽培に取り組んでいます。

オリーブの葉枝はギリシャ・ローマ時代より平和や勝利の象徴とされてきました

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「マイ・タイムライン」講座で留意したい、台風進路と想定

「マイ・タイムライン」講座で留意したい、台風進路と想定

先月相次ぎ上陸した台風におきまして被害に遭われた皆様に、まずは心よりお見舞い申し上げます。9月から10月にかけての台風シーズンは…と書き出し準備をしていましたが、各地の被害を知るにつけ筆をすすめるのに躊躇う思いありつつ、コラムをお送りさせていただきます。

10月は二十四節気で寒露、霜降と寒さに向かって秋の深まっていく季節。澄んだ青空に映える赤々と色づいたリンゴに食欲もそそられます。「1日1個のり

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“地名ロンダリング”、有りや無しや。

“地名ロンダリング”、有りや無しや。

9月は二十四節気の白露と秋分があり、残暑が続く中にも秋の気配が徐々に濃くなる1ヶ月でしょう。店先にもみずみずしい梨が並ぶシーズンです。一概に梨と言いますが、ナシは和梨・中国梨・洋梨に分類されます。おなじみの和梨は中国原産とされるヤマナシから改良された赤梨と青梨の二系統があり、シャクシャクとした食感に独特の美味しさを感じられます。

ナシは「無し」に通じる忌み詞とされ、「有の実」と呼ぶことがあります

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「宏観異常現象」と「流言」を考える夏

「宏観異常現象」と「流言」を考える夏

一年で最も暑いといわれる二十四節気の「大暑」も過ぎましたが、暑さの本番はこれから。真っ青な空に雄大な雲が高くそびえるさまを見ると、かつては「夏本番!」と大きく仰いだものですが、いまや「あの下は豪雨なのだなw」と思ってしまうのは“防災士あるある”かも。

真夏の花、といえば小学生の夏休みの観察日記でおなじみの朝顔でしょう。東南アジア原産とされる蔓性の一年草で、奈良時代末に薬用として中国から渡来し江戸

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