セルフディフェンス講座(法律×お金×格闘技)

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セルフディフェンス講座(法律×お金×格闘技)

世の中のルールと法則の研究 https://entame-law.my.canva.site/ 「困っている人を助けたい」と考えて法律を学び、「人助けには資金が必要だ」と知ってお金について学び、「金持ちの多くは定期的なトレーニングで心身を鍛えている」と知って格闘技を学んでいます。

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無礼者には法律も味方しない

 こんにちは。  「何よりも信頼が大切だ!」と、以前からビジネスの世界では繰り返し強調されてきました。実際に、以下の著書による研究成果では、会社に相手の信頼を損なう態度をとる無礼者がいると、周りの人に対して①健康を害する、②経済的損失をもたらす、③思考力や集中力を下げる、④認知能力を下げる、⑤攻撃的にさせる、などの悪影響があることが指摘されています。  たしかに、「おまえは無能か!辞めちまえ」と言われたら、内心では「仕事を全力でこなすのは無理だな、ちょいと手を抜いておくか

    • 三浦和義vs東スポ事件

      こんにちは。  今日は、スポーツ新聞の記事で、三浦和義の名誉を毀損したかどうかが問題となった東京地判平成4年9月24日、東京高判平成5年8月31日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか いわゆるロス疑惑で世間の注目を集めていた三浦和義氏は、東京スポーツ新聞の紙面に梨元勝によって書かかれた「三浦和義差し入れ品横流しで特別待遇」という記事で、自身の名誉が毀損されたとして、梨元と東スポに対して300万円の慰謝料を求めて提訴しました。 2 東京地方裁判所の判決 三浦

      • 警察予備隊事件

        こんにちは。  今日は、警察予備隊が憲法に違反するのかどうかが問題となった最大判昭和27年10月8日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 昭和25年、朝鮮戦争の勃発により日本に駐留していたアメリカ軍が朝鮮半島にわたると、日本国内で警察署などが襲撃される事件が頻発し、国内の治安が警察力だけでは維持できなくなっていました。そこでGHQのマッカーサーの指令により国内の治安を維持するという目的で、7万5000人からなる警察予備隊が設置されました。これに対して、日本社

        • ロス疑惑三浦和義手錠事件

          こんにちは。  今日は、ロス疑惑をめぐる記事に関して逮捕時の写真などが問題となった東京地判平成21年9月29日(判例タイムズ1339号156頁)と東京地判平成23年6月15日(判例時報2123号47頁)を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 昭和56年にアメリカロサンゼルス市内で起きた女性の銃撃殺人事件について、夫の三浦和義氏が保険金目当てに仕組んだ犯行ではないかとの疑惑、いわゆる「ロス疑惑」に関して、週刊新潮や産経新聞、Yahoo!ニュースに記事が掲載されて

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          ゴットン師事件

          こんにちは。  今日は、住居侵入と窃盗をそそのかした者が共犯の罪に問われるのかどうかが争われた最判昭和25年7月11日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 是友は、光延に対して、山本がお金を持っていると話し、家に侵入しお金を盗んでくるようそそのかしていました。光延は植田ら3人を引き連れて、山本宅に侵入しましたが、母屋に入ることができず、いったんは盗みを中断しました。しかし、植田らは隣の日備電気商会に侵入することにし、就寝中の藤原を脅迫して金銭を強奪しました。

          板まんだら事件

          こんにちは。  今日は、創価学会に寄付したお金を返還をめぐって裁判で争われた最判昭和56年4月7日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 昭和39年、創価学会は富士宮市にある日蓮正宗(しょうしゅう)総本山大石寺(たいせきじ)境内に、広宣流布、つまり世界中に日蓮の教えを広めるために、その本尊である「板まんだら」を安置する「事(じ)の戒壇」たる正本堂を建立するための資金を集めていました。  創価学会員だった松本勝彌氏らは、正本堂建立と広宣流布のために540万円を寄

          富山大学単位不認定事件

          こんにちは。  今日は、大学の授業の単位不認定と専攻科修了不認定をめぐって裁判で争われた最判昭和52年3月15日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 内田穣吉は、1943年に治安維持法違反で特別高等警察により検挙されましたが、起訴猶予処分になっていました。その後、マルクス経済学者として、富山大学経済学部に所属していましたが、成績証明書の偽造をしていたことが発覚しました。経済学部長は内田教授に対して教授会への出席停止措置をとりましたが、内田教授はそれに従いませ

          岡口事件から考える弾劾裁判

          こんにちは。  令和6年4月4日、世間では仙台高裁岡口基一判事に対する弾劾裁判が注目を集めていました。多くの人は、そもそも弾劾裁判って何だ?と思ったのではないでしょうか。そこで、今日は、弾劾裁判所について徹底解説してみたいと思います。  1 弾劾とは? 弾劾という聞きなれない言葉に戸惑いますが、罪や不正を暴くことを弾劾と言います。つまり、裁判官が何かの罪を犯したり、不正を働いたときに問題となります。ちなみに、アメリカのトランプ元大統領も弾劾裁判にかけられていますね。 2

          内縁の妻の居住権事件

          こんにちは。  今日は、内縁の妻に対して相続人が家からの退去を求めたことが問題となった最判昭和39年10月13日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 昭和21年に森下蛍子は、森下光繁とハツヨ夫妻の養子になりました。森下ハツヨの妹だった松本ミヨシは、昭和19年に夫の正が戦死して、寡婦になり、4人の子どもを育てていました。ハツヨが亡くなると、松本ミヨシは、森下光繁の内縁の妻として、子どもたちと共に光繁の所有する建物に住んでいました。一方で、蛍子と光繁との関係は悪

          性別変更事件

          こんにちは。  今日は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づく性別の変更が問題となった3つの事件(最決平成31年1月23日と、最決令和3年11月30日、最大決令和5年10月25日)を紹介したいと思います。 1 性別の変更をめぐる事件 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項には、以下のように、性別の変更の審判に関する規定が置かれています。  平成31年と令和5年の事件では、生物学的な性別は男性であるが、心理的には女性である申立人が、特例法3

          同性カップル関係解消事件

          こんにちは。  今日は事実婚の状態にある同性カップルが関係を解消した際に、相手方に慰謝料を請求できるのかどうかが問題となった東京高判令和2年3月4日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 2人の女性は、アメリカのニューヨークで婚姻登録証明書を取得し、アメリカと日本で結婚式を行いました。2人は、子どもを持つことを希望していたので、別の男性から精子提供を受けて妊娠、出産することにしました。ところが、一方の女性がその男性と性的関係をもったことが発覚し、別居した後に男

          同時履行の抗弁で残代金支払拒否事件

          こんにちは。  今日は、家の建築工事代金と欠陥の修理代をめぐって争われた最判平成9年2月14日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 村越幸男は、マイホームの建築を株式会社丸共に依頼しました。建物が完成し、丸共が村越に建物を引き渡したところ、村越は工事に欠陥があることを指摘して、残代金約1196万円の支払を拒みました。そのため、丸共は残代金の支払いを求めて提訴しました。これに対して村越は、欠陥工事の補修をしてもらう代わりに約82万円の損害賠償を求め、その代金が

          同時履行の抗弁で残代金支払拒否事件

          婚姻をする意思事件

          こんにちは。  今日は、結婚する意思が法的に問題となった最判昭和44年10月31日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 昭和28年8月、大阪市立浪速保健所に勤務する女性が、天王寺高校を経て大阪大学工学部1年生になった男性の家に同居するようになり、その後に女性は妊娠しました。ところが、男性の両親が出産を許さなかったため、男性と相談して中絶をしました。その間、2人の間の愛情は高まり、やがて固く結婚を誓うようになっていました。しかし、2人の結婚には男性側の両親が強

          歯科医師電気容量事件

          こんにちは。  今日は、歯科医が開業のためにマンションを購入しようとしたが、途中で契約をやめたことが問題となった最判昭和59年9月18日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 歯科医師の池田忠雄は、4階建ての大野ハイツの建設を計画している角谷義政から、102号室の購入に向けての話を聞いていました。このとき、池田は検討する時間が欲しいと伝えて、1カ月後に10万円を支払っていました。その後、池田は間取りスペースについて要望を出したり、レイアウト図面なども交付してい

          推定を受けない嫡出子事件

          こんにちは。  今日は、夫婦間に生まれた子が、夫の子ではないと争われた3つの事件(最判昭和44年5月29日、最判昭和44年9月4日、最判平成10年8月31日)を紹介したいと思います。 1 昭和44年の事件と平成10年の事件 昭和44年の大阪事件と東京事件はともに、夫婦が結婚した後に、2年以上別居状態になり、その間に妻と別の男性との間で子どもが生まれました。夫婦が正式に離婚した後、300日以内に子どもが生まれていましたが、子どもは夫婦の嫡出でない子として出生届がなされていま

          トランス男性の嫡出子事件

          こんにちは。  今日は、トランスジェンダーの男性が出生届を提出したところ、父親の欄を空欄にして母の非嫡出子として処理されたことが問題となった、最決平成25年12月10日を紹介したいと思います。 1 どんな事件だったのか 女性から男性へと性別変更したトランス男性は、女性と結婚し、第三者から提供を受けた精子を用いて子どもをもうけました。その後、子どもを夫婦の嫡出子として東京都新宿区長に出生届をしたところ、戸籍事務管掌者が、父母との続柄欄に不備があるとして、父の欄を空欄にして、