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窓の外に描く

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主人公の15歳のジニとバン先生との出会い、すれ違い、成長を描いた小説です。 たまに挿し絵のイラストも描いてアップします。 ※実在の人物、団体とは一切関係ありません。
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記事一覧

窓の外に描く 第10話「餞別」

窓の外に描く 第10話「餞別」

「ねぇ、ジニ。僕もうオーストラリアに戻るんだ。二学期に最初に友達になったのがジニでよかったな。」
「せっかく言葉も覚えたのにさ。寂しいよね!」
「バン先生も転勤して、隣町の学校に春から行くんだ。みんな離れ離れだね。」
歩きながらフィリックスはジニにずっと話しかけた。

ジニは「うん。」としか答えなかったが、内心寂しそうな表情だ。
15分ぐらいで学校に着いた。警備を解除して校内へ入った。

美術準備

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窓の外に描く 第9話「隠された絵」

窓の外に描く 第9話「隠された絵」

3学期になった。

ジニは学校にやっぱり来なかった。
フィリックスは予定通りオーストラリアの高校へ進学することが決まった。

卒業式まで残り一週間となった。

ジニともう一度話さなくてはと思いつつも、自分の転勤が決まってしまったので美術室の片付けや書類の整理で忙しくしていた。
金曜の放課後の職員会議の後に、ジニの家に会いに行こうかと考えながら、美術室の掃除用具入れを開けた。

中から、キャンバスに

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窓の外に描く 第8話「バイクと絵」

窓の外に描く 第8話「バイクと絵」

その後、一週間たっても、ジニは学校に来なかった。フィリックスは相変わらず毎日学校に来て、女の子達に囲まれていたが、どこか寂しそうだった。
 「フィリックス、元気無いな。」
そう話しかけると、フィリックスは答えた。
 「先生もだよ。全然元気ない。」
いつもの澄んだ目で見透かされて、どきっとした。そうかもしれない。寂しかったのは自分自身だった。

 「先生、ジニを迎えに行こう。家まで。多分、午前中は寝

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窓の外に描く 第7話「瞳」

窓の外に描く 第7話「瞳」

 翌日も、その翌日も、ジニは学校に来なかった。バン先生は、フィリックスに言った。
 「今日、ジニは一緒じゃないんだな。」

 「うん。先生、ジニに何か言ったの?」

 「フィリックス、どうして?」

 「ジニが、先生とはもう話したくないようなこと言っててさ。何かあったの?」

 「うーん。実は、バイクに無免許で乗るな、もうよせって話したんだ。」

 「ああ、なんだ。先生が言ってることは正しいじゃん

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窓の外に描く 第6話 「友達」

窓の外に描く 第6話 「友達」

 それから、2人はどういうわけか、毎日一緒に学校に来た。登校してからは、フィリックスは教室に、ジニは美術準備室に行った。
 いつも通り、美術室でコーラを飲むジニに、バン先生が言った。
 「ジニ、フィリックスと仲良くなったんだな。お互い友達ができて良かった。」
 「友達?そんなんじゃねーよ。」
 「毎日一緒に来てるじゃないか。」
 「ああ、あいつと居たらおれが目立たないから。金髪じゃん、あいつ。」「

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窓の外に描く 5話「転入生」

窓の外に描く 5話「転入生」

 2学期になった。
バン先生が、教室の扉を開けると、ジニはやはり教室にはいなかった。できることはやったつもりだが、少し期待してしまったから悔しかった。

 新学期は、転入生がやってくる予定だった。2学期に転入して、翌年はオースオラリアに再び帰るらしい。家庭の事情らしいが、詳しくは聞かなかった。役所で手続きを終えたその子は、午後から教室にやってきた。
 名前はフィリックス。綺麗なブロンドの髪で、そば

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窓の外に描く 4話「汗とコップ」

窓の外に描く 4話「汗とコップ」

すぐに画集を持っていく気にもなれなくて、夏休みの最終日、8月31日に学校へバイクで行った。裏門にバイクを隠して、校内に入った。
「美術だっけ、あいつの教科・・・」
 移動教室は、いつも教室で寝てるから、美術室に着くのに案外時間がかかった。美術室をノックすると、バン先生がいた。
 「おう、ジニ。久しぶりだな。顔が見たかったよ。画集持ってきてくれたのか。」
 「・・・・・・。うん。これ、二冊。」「じゃ

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窓の外に描く 3話「電話」

窓の外に描く 3話「電話」

 退院してから、学校は夏休みだった。学校にはもう行くつもりは無かったが、8月に入ってから、電話がかかってきた。バン先生からだった。

 「ジニ、怪我は大丈夫か?ずっと学校に来てなかったから、今からちょっと美術室に遊びに来ないか。学校に2学期からいきなり入るの、緊張するだろ。」
 「緊張なんかするわけないだろ。学校はもう行かない。電話もしてくんなよ。」
 そう、答えた。と、同時に、びっくりした。「学

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窓の外に描く 2話「画集」

窓の外に描く 2話「画集」

暴走族に入ってから一年後、中3になったジニは、5月に初めてバン先生に会った。進級して、しばらくしても学校には行かなかった。暴走族の仲間と、無茶な走りをして、バイクが転倒して事故を起こしたのが、5月の半ばごろだったと思う。
 命こそ大丈夫だったが、右足に怪我をして、入院していた。家族はジニを見放していたから、入院の手続きで来てからは、その後はほとんど見舞いにも来なかった。
 唯一、毎日来たのが、担任

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窓の外に描く      1話「窓」

窓の外に描く 1話「窓」

 ジニは、美術準備室の隅で窓の外を見ていた。学校に来るのは久しぶりだった。授業にはいつも興味が無かった。学校には、自分の居場所は無いと、ずいぶん前から感じていた。不登校になる前も、なってからもずっと孤立していた。

 家では、誰とも喋らない。ジニが何で学校に行かないのか、家族も誰も聞かなかった。夜中出かけるなとか、髪を染めるなとか、そういった言葉しかもう何年も聞いていない。中学2年生で、暴走族に入

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