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窓の外に描く 第7話「瞳」
翌日も、その翌日も、ジニは学校に来なかった。バン先生は、フィリックスに言った。
「今日、ジニは一緒じゃないんだな。」
「うん。先生、ジニに何か言ったの?」
「フィリックス、どうして?」
「ジニが、先生とはもう話したくないようなこと言っててさ。何かあったの?」
「うーん。実は、バイクに無免許で乗るな、もうよせって話したんだ。」
「ああ、なんだ。先生が言ってることは正しいじゃん。でも、めずらしいね。先生がジニを注意するのって。」
「うん。確かにそうかもな。ジニが無茶するのが、他人事とは思えなくてさ。」
「どうして?」
フィリックスが、キラキラした瞳で不思議そうにたずねた。フィリックスの澄んだ目を見ると、過去を打ち明けたい気持ちが湧いてきた。この子の瞳は、何かを見透かしたかのような不思議な瞳だ。
話してしまおう。そう思った。
「昔、高校生だった頃、先生もバイクが好きで乗ってたんだ。でも、高校2年の夏休みに、友達とバイクで海に行く途中で、友達は事故で亡くなった。スピードを出しすぎて、カーブを曲がれなかった。対抗車線から来たトラックに轢かれて即死だった。その時のことは、一生忘れられない。ジニには、自分の生徒には、危険な目にあってほしくないんだ。」
堰を切ったように、一気に話した。そして、フィリックスは言った。
「その、友達、ジニに似てたんだ。」
全てを見透かした、澄んだ目だった。
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