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窓の外に描く 4話「汗とコップ」

すぐに画集を持っていく気にもなれなくて、夏休みの最終日、8月31日に学校へバイクで行った。裏門にバイクを隠して、校内に入った。
「美術だっけ、あいつの教科・・・」
 移動教室は、いつも教室で寝てるから、美術室に着くのに案外時間がかかった。美術室をノックすると、バン先生がいた。
 「おう、ジニ。久しぶりだな。顔が見たかったよ。画集持ってきてくれたのか。」
 「・・・・・・。うん。これ、二冊。」「じゃあ、オレ帰るから・・・・・・。」
 帰ろうとした時、バン先生はコップにコーラを入れてジニに渡した。
 「暑かっただろ、外。飲んでから行けよ。」
バン先生は、そう言って、いつもの細い目で笑った。
 「あ・・・。ありがと・・・・・・。」
 礼を言って、コーラを飲んだら、訳もなく泣けてきた。こんな風に、誰かに優しくしてもらった記憶がジニには無かった。でも、泣いてる姿を見られたくなかったから、背を向けて一気に飲んだ。
 そのまま、振り返らないでコップを机に置いて、汗を拭いてるふりをしながら帰った。後ろからバン先生の声が聞こえた。
 「明日から、2学期だから。会えるの楽しみにしてる。」
 ジニは、振り返らずに、そのまま帰った。

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