[中間管理職の中期/事業計画の進め方]#2 存在意義について考えてみる
存在意義について考えてみる
持続可能な会社となるために”Purpose”を定義したり、”Mission/Vison”で会社の在りたい姿を定義しています。これが存在意義になりますが、このままだと自分たちの業務と離れすぎていてピンとこないといったことが発生します。
中期計画や事業計画も最終的には会社の存在意義に貢献できるかという視点が重要になるので、抽象的な”Purpose”や”Mission/Vison”を自分たちの目線にして、実感の持てるものに変えていきましょう。
PurposeとMission/Vision
会社の存在意義というと最近では”Purpose”や”Mission/Vison”を定義している会社が多いと思います。持続可能な社会の中で存在意義を示す目的という意味合いととらえることができますが、それぞれの説明については様々なビジネス書やWebでも書かれています。私は大きな意味でWhy/Whatを定義しているということだと解釈しています。
このWhy/Whatをそれぞれの置かれている立場で理解できるWhy/Whatにするということが重要になります。ただ、Why/Whatとしてダイレクトに書くと周りに伝えた際にメッセージ性が弱くなり、伝わりにくい印象を感じることもあり、”Purpose”や”Mission/Vison”として考えるといいと思います。。
個人的にはですが、会社のレベルでは”Purpose”のほうが社会におけるという意味合いが強くなり、”Mission/Vison”というと企業の目指す姿のような意味合いが強いと思います。
”Purpose”にするとより社会における役割のような印象を強く出せると思うので、意図的に使うのもいいかなと思います。
ここでは中間管理職でこの項目を考えるということを取り扱いますので、視点は、”Purpose”よりは”Mission/Vison”のほうが作りやすいかなと思います。
”Mission/Vison”を考える意味は大きく2つの意味合いがあります。
・会社の存在意義をメンバ含めて認識し、エンゲージメントを高める
・これから立てる計画の判断基準を獲得する
ということになります。
自組織の一つ上の”Purpose”や”Mission/Vison”を確認して、そこから自組織の”Mission/Vison”について議論していきましょう。ここでポイントは上位の”Purpose”や”Mission/Vison”をみんなで理解して、これを自分たちの組織でいうとどういったことなんだろうということを参加したみんなが述べるということが重要です。
その中でキーワードを拾っていき、組織”Mission/Vison”として定義します。この議論が会社の存在意義を認識することにつながりエンゲージメントを高めることにつながります。まとめた結果としての組織の”Mission/Vison”はこれから立てる計画の判断基準になります。
また、その下の課やグループにおいても”Mission/Vison”を議論するということも事業計画を進めていくうえで、進む方向性の認識を合わせることに役に立ちます。また、個人が目標を立ててコミットする際の指針にもなると思います。
行動指針/価値観/信条/哲学
存在意義の理解により計画における目標を立てる指針についてはできたと思います。次に行動指針/価値観について考えてみたいと思います。
こちらも多くの会社で"Value”や”Credo””といった形で箇条書きにかかれていたり、”Philosophy”という形で企業理念を実現する指針のような形で示されています。
それぞれ直訳すると
・Value 価値観
・Credo 信条
・Philosophy 哲学
といった形になるかと思います。いずれも行動指針としてとらえられるのが理解しやすいではないでしょうか。感じ方かもしれませんが、哲学というと普遍的なものとして起業時の考え方を行動指針としておいているもので、信条は行動をする上でのベースの考え方、価値観は具体的な判断基準を示しているイメージではないかと思います。
また、企業のスタイルによって使い分けているイメージがあります。
社長の意思がすごく込められている場合にはPhilosophyを使うイメージがあります。自分のイメージでは稲盛会長が出てきますが、経営者と紐づくイメージがあります。
Credoについてはあまり日本では聞きませんが、海外でいくつかあります。不正防止等のために企業ガバナンスとして設けているイメージがあります。
Valueは解釈が広く取れるということと、MVVやPurpose&Valuesという形でWhy/Whatと組み合わせてHowとしてくっつけてまとめるイメージで使われているケースが多いと思います。
同様に行動指針として自分たちの業務に近い形で定義する必要がありますが、Mission/Visionに比べると上位での言葉がそのまま使用できるケースもあります。理由としては行動指針はどのフェーズでも普遍的なものであり、解釈の違いが出にくいからになります。
むしろWhy/Whatを具体化したために追加で上位の行動基準では足りないといった場合に追加するケースが出てきます。また、この行動基準によって、計画における目標からアクションプランを作成していく中での判断基準となります。
ここでもメンバの理解や気付きを得るためには十分な議論をして決める必要があります。上位の行動指針(Value/Credo/Philosophy)の議論から自分たちにの行動指針をつくることや上位の指針の解釈をメンバと共有することでメンバの意識統一を図るることができます。
MVVの浸透
作成したMVV(ここでは組織レベルではMVVを作った前提)を継続的に認識して、意識しなくても使いこなせるようにしていく必要があります。作るための議論で終わってしまっては意味がなく、実際に使いこなさないと何のための議論なのかということになります。
浸透させる方法として、メールや会議等でことあるごとに共有をするということもありますが、どうしても受け身の情報共有となり浸透度に限りがあります。
有効なのはMVVを考える機会を作ることだと思います。例えば進捗確認の場であったり、承認等の事前確認といった場において、その判断基準はMVVのどれに基づいているのかといったことを質問や確認をすることで意識を改めて持つ機会になります。同様に個人の目標設定面談や中間面談、1on1のような機会でもその目標設定はValueに沿ったものかどうかを確認することで改めて認識できることにつながります。
まとめ
企業の存在意義を上位から自分たちの立場での言葉(ここではMVV)にすることで”エンゲージメントを高める””これから立てる計画の判断基準を獲得する”ことにつながります。MVVをつくるために議論する過程を大事にしつつ、継続的に考える機会を与えていくことが重要。
#1 はじめに(2024/5/19公開)
#2 存在意義について考えてみる(本記事)
#3 客観的/多面的な分析をする(204/5/30公開)
#4 STPを考える(2024/6/9公開)
#5 目線をあげる(2024/6/15公開)
#6 重点項目を設定する(2024/6/24公開)
#7 幅で考える(2024/7/1公開)
#8 KPIを設定しよう(2024/7/6公開)
#9 計画と存在意義の一致(2024/7/13公開)