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[中間管理職の中期/事業計画の進め方]#6 重点項目を設定する


重点項目の設定

バランススコアカード(BSC)

ここまででマクロ分析ミクロ分析といったボトムアップ的なアプローチと目線を上げてバックキャストのトップダウンのアプローチの両面から課題を見てきました。どうまとめていくかという中で色んな手法があります。
課題のまとめ方についてはいろいろありますが、ここではバランススコアカードを用いて戦略マップを考えていきます。
まず、いきなりですが、イメージしやすいようにBSC戦略マップテンプレートを見てみましょう。

テンプレートは色々あると思いますが、部とか課のレベルでも使い勝手がいいと思って、私は使い続けています。
戦略マップでは事業戦略に基づいて4つの視点を考えていきますが、ここでは#2存在意義について考えてみるMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)策定したと思いますので、そこを中心において考えます。

上位の戦略や指針をもとに自部署に合うMVVは一番しっくりする組織の戦略といえるのでここを基礎に置くというのは理解がしやすいと思います。
テンプレートの戦略マップでは重点項目を置いていくことになりますが、前の章までに様々な課題を導出してきたと思いますが、この課題を解決することが重要な成功要因となりますので、そこを4つの視点でマップにして整理していくことになります。
次に4つの視点をそれぞれ考えてみましょう。

財務の視点

会社や事業部という視点だと財務の視点というと売り上げや利益とダイレクトな指標があります。開発部や各課のレベルでいきなり売上と利益と書いて離れすぎていて理解しにくい課題となる可能性があります。
例えば開発部署であれば開発費というのが財務の視点では指標になるかもしれません。ここで、今まで課題とあっているかどうかを振り替えてみてください。

そうして見てみると、設計品質が悪いことでその改善が重要ということであれば、品質問題による手戻り費用削減というのを上げてみてもいいかもしれません。また、新規技術での差異化が重要であれば開発費の新規開発の割合を置いてもいいかもしれません。

売上とか開発費、利益といった上位的な指標に自分たちの組織にわかる色を付けて考えるということでメンバの理解も進むと思います。
ここで設定した指標は結果的には事業の売り上げや利益貢献や企業価値向上につながるものなので、会社貢献を見えるかすることにもつながります。

顧客の視点

次に顧客の視点ですが、ここは4つの視点で一番重要だと思います。
事業を進めるうえで顧客や市場を無視しては成り立ちません。開発部署であっても同じです。どこを向いて仕事をするのかということで組織メンバに対しても示す意味でもここでの重点項目の設定というのが重要になります。

ここでの設定に際しても財務と同様に自分たちの顧客視点というものを理解できる形にすることが重要になります。また、考えていく上で、財務の視点への関連が重要になります。
財務の視点で、不良による手戻り費用削減と置いていたとすると、顧客の視点では、顧客からのクレームに対して重点項目として置くといった出口側をどう抑えるかという視点や、不良が顧客との仕様面での不整合をなくすことが効果的だとした場合は仕様合意の進め方といったところに重点項目として置くといった入口側を設定するといったことが考えられます。

さらに、新技術導入の開発費比率といったような指標を財務でおいたとすると、導入する新技術が市場や顧客に受け入れられないと競争力が保てません。となると顧客の視点でどのように重点項目を置くのかが重要になります。ここでも入口出口の考え方がポイントになります。

まず入口側の考え方ですが、新技術を導入が目的ではなく、市場や顧客での課題を正確に把握してそれに対してどのように技術を選択するかが重要になります。市場や顧客の課題把握が重要項目になります。
出口側の考え方としては導入した技術の検証や顧客での導入をどうするかという視点になります。導入した技術が課題を解決できるものなのか、実際に導入しやすいかといったところが重要項目になります。

業務プロセスの視点

業務プロセスの視点は実際の業務の重点項目になるので、一番設定をしやすいと思います。ただ、ここでタスクという形でバラバラにおいていくのではなく、グループを作っておいていくのがいいかなと思います。
これは抜け漏れがしにくいという効果と重点項目に関連性を持たせることを明示でき、連携がしやすくなるという効果があると思います。
グルーピングのやり方ですが、顧客の視点への関連ごとにグルーピングしてい見るというのも一つあると思います。
私はIPOでグルーピングしてみると理解しやすいかなと思います。

 ・I(インプット)
 ・P(プロセス)
 ・O(アウトプット)

インプットでは情報収集や顧客要求といったことだけでなく、環境整備といった開発部署で開発業務の前にかかわる部分をまとめます。
アウトプットは開発結果の活用や発信、品質問題、改善活動といった開発が終わった後に発生するものをまとめます。

ここで出した重点項目どうしの紐づけを進めますが、顧客の視点との紐づけだけではなく、業務プロセスの視点の中での関連性を明示するのがいいと思います。IPOで考えているとつながりが理解しやすいと思いますし、抜けがあった場合も気づきやすいと思います。

学習と成長の視点

中期戦略を考えていくためには学習と成長の視点はとても重要になります。
ここでも偏りがないように、グループで考えてみるといいと思います。

 ・専門分野の視点
 ・業務遂行の視点
 ・ヒューマンスキルの視点

専門分野の視点というところでは単に、個人で学習と成長をするということだけではなく、知の継承や相互に成長するということも含まれます。ここでもインプットとアウトプットの視点は重要で、学習するというだけではなく、それを横展開するとか、外部に発信するといったことも考えられます。

業務遂行の視点というところでは、分析スキルやPMOスキルといったような汎用的に使うことができるものがここにあたります。組織としてもこういったスキルを使いこなすことで成熟するものが多いと思いますので、組織で特に足りないものを挙げていくのがよいでしょう。

ヒューマンスキルは例えばロジカルシンキングやクリティカルシンキングのようなものから、リーダーシップ、コミュニケーションスキルといったようなものが当たります。ここはキャリアのステップアップに向けての人材育成になると思います。(組織形態によらず置かれるケースが多いと思います)

この章では重要項目の設定までしましたが、まだ定性的に項目として置いただけです。ここからアクションプランまで持ってくのですが、次の章では重重要項目からアクションプランを考えていく上で、オポチュニティとリスクを考えてみたいと思います。


#1 はじめに(2024/5/19公開)
#2 存在意義について考えてみる(2024/5/20公開)
#3 客観的/多面的な分析をする(2024/5/30公開)
#4 STPを考える(2024/6/9公開)
#5 目線をあげる(2024/6/15公開)
#6 重点項目を設定する(本投稿)
#7 幅で考える(2024/7/1公開)
#8 KPIを設定しよう(2024/7/6公開)
#9 計画と存在意義の一致(2024/7/13公開)

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