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[中間管理職の中期/事業計画の進め方]#4 STPを考える



STPについて考える

前回までで多面的な見方による分析までできました。
ここまではどちらかというと思考を発散させていくところでした。ただ、このままではやることが増えてしまい、どこが課題なのかを分析するのが難しくなってきます。また、課題だけ多くなってどこから手を付けていけばいいかがわからなくなってきます。

そこで、STP(Segmentation, Targeting, Positioning)によって分析したものを分類していき、重要課題へと絞り込んでいきます。STPと聞くとマーケティングのフレームワークのように感じると思いますが、設計や開発においてもこの考え方は使えると思います。

Segmentation

セグメンテーションを行う上で、マーケティングの視点で考えるとよく4つの変数のなかで、最適なものを選んで、または組み合わせて使っていきます。

 地理的変数(ジオグラフィック変数)
 人口動態変数(デモグラフィック変数)
 心理的変数(サイコグラフィック変数)
 行動変数(ビヘイビアル)

また、セグメンテーションする際に変数が意味がないものにならないように評価できるようにする必要があります。色んな手法が調べるとありますが、最低限として3つの視点は入れるべきと思います。

 測定可能(Measurable)
 実現可能(Achievable)
 差異化可能(Differentiable)

この3つを見ていきます。
セグメントを分けるうえで差異化は重要です。軸にする上で分かりやすくすることで分析する際の理解が進みやすくなります、

ここで少しだけブレイクですが、日本語で差別化とせずに差異化としているのには意味があります。
差別化というのは分ける時点ですでに優劣をつけています。一方で、差異化は分ける時点で優劣はつけません、単に違いをつけるというだけになります。
少し違いますがNo1ではくOnly1というニュアンスに近いかなと自分は思ってます。また、最近では差別という言葉自体がダイバシティに合わないということも言われているので、マーケティング用語としてもあまり有効ではないという感じになってきている気がします。

戻って、セグメント分けをしたとしてもそれぞれが実現できないものだと意味がないのは自明です。ただし、今はできないけど将来はできるかもというのは入れてもいいと思います。

最後は測定可能というのを入れています。これは物事を進めていく上でやったことが正しかったか、目標に到達できたかを測定できなければ改善のサイクルも回せませんし、評価もされにくくなりますので、ここは重要になります。

事業計画でのセグメントとは

ここからは中期計画や事業計画での活用を考えてみましょう。例えば開発を担う部署の部長や課長だったとして、セグメントを考えてみよう。セグメントを単純化するためには2つ選んで、2軸で考えるのがポイントになります。
その変数をどうするかはこれまでの分析で強みと弱みを分析しました。その中から変数を設定します。

例えばコストが高いのが弱みになっていて、開発コストにかかわることを変数においてみます。開発におけるコストを変数の考え方で人口動態変数で考えてみると、例えば外部リソースと内部リソースとするとします。地理的変数とした場合は国内と海外とすることも考えられます。もう一軸を心理的変数としてユーザーの視点でのシステムコストとして、ソフト開発、ハード開発としてみるというものあるかなと思います。3つの評価の視点で見ると実現可能という視点、差異化の視点、測定できるという視点も満たしていると思います。

Targeting

作成したセグメントを評価してみましょう。セグメントで2軸で作ったものは4象限に分けられます。セグメントで分けた2軸を例にしてみます。
下記のように4象限に分けられます。

このセグメントはコスト競争力の視点で作ったことを想定してます。
少しわかりやすく4象限を示してみます。これは自分自身の理解の促進だけではなく、周りへもわかりやすく伝わります。例えば下記のようにしてみました。コストを重視するうえで強みが何かといった視点でキャッチフレーズを作ってみました。

4つの象限を解説すると
 企画重視型:技術のコアとなるハードの開発を外部委託しつつ、内部ではは企画に注力して差異化を目指す。
 短期立上型:コアとなるハードは外部調達して、外部の経験あるリソースを活かして早期立ち上げにより差異化を目指す。
 自前技術重視型:コアとなるハードを内部リソースでやり切りコア技術で競争力による差異化を目指す。
 変化対応型:汎用的なハードを活用して変化が激しい中で迅速に対応するために内部リソースを柔軟に活用することで差異化を目指す。
といった形になります。

次に、この作った象限を細かくチェックしてみましょう。
DA(Decision Analysis)表のようなものを活用するのも、重要視するものが何なのかを明示するという意味で作ってみてもいいと思います。ただし、そもそも方針で決まる部分も大きいケースもあるので、DA表では実現可能性といったところを重視してやるのがいいかと思います。その上で今の状況を総合的に判断してターゲットを決めていきます。

Positioning

セグメント分けしたターゲットに対して、競争優位性が確保できるのかを比較対象との関係でどのようなポジションをとるのかを分析します。下記の例だとコストが課題ですが、それをするために製品価値が下がってしまっては競争力がなくなりますね。コストと製品価値のどこで戦っていくのかというのを認識していくことで、今の開発戦略が正しいかといったことを認識できるようになります。

このようにしてマーケティングで使うSTP分析も開発という視点でもうまく活用できますし、自分たちの目指す姿、他社とのポジショニングを明確にできると思います。このことによって、メンバにも理解がしやすくなると思います。

ここまでは分析中心で客観的な視点によって進めてきました。次は意思を入れていくために主観的な視点で取り組んでいきましょう。


#1 はじめに(2024/5/19公開)
#2 存在意義について考えてみる(2024/5/20公開)
#3 客観的/多面的な分析をする(2024/5/30公開)
#4 STPを考える(本投稿)
#5 目線をあげる(2024/6/15公開)
#6 重点項目を設定する(2024/6/24公開)
#7 幅で考える(2024/7/1公開)
#8 KPIを設定しよう(2024/7/6公開)
#9 計画と存在意義の一致(2024/7/13公開)

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