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[中間管理職の中期/事業計画の進め方]#7 幅で考える


幅を考える

目標設定する際に点で目標設定をしてしまうと、二つの弊害があります。
一つは設定した目標が何らかの要因で未達になってしまった場合に、そもそも目標設定がよかったのか、無理な目標をしていないか。
もう一つは順調に進み早々と目標達成をしまった時に目標設定がどうだったのか、甘い目標設定ではなかったか。
という点です。

もし、目標達成が難しいとなったときに、目標設定がよかったのかを考えた場合に、外的要因で目標未達の可能性があったとして、それをはじめから盛り込んで低い目標を設定してしまうのはどうでしょうか?
逆に設定した目標設定を早々とクリアしてしまった場合にそれで終わりにしてもいいのでしょうか?といった問題もあります。

目標設定

目標設定する際に重要なのは評価ができることです。打ち上げ数値のようなものはイメージしやすい指標ですが、開発においても達成の度合いが評価できることが重要になります。
そこで目標設定する際に意識する5つのポイントがあります。これは組織の目標だけでなく、個人の目標を考えていく上でも重要とされています。
5つの頭文字を並べてSMARTと呼びます。

  • Specific (具体的)

  • Measurable (測定可能)

  • Achievable (達成可能)

  • Realistic (現実的)

  • Time-bound (期限がある)

具体的(Specific )にということを考える場合に、まず仮に立てた目標に対して自分でその目標を達成するためにはどうすればその状態になるか?と問いかけていくとどんどん具体化していきますので、試してみてください。
例えば、設計において期日通りに問題ない設計をするとか置いたとします。(そんな置き方はしないと思いますが例として)
そこで、

 問題ない設計ってどうすればその状態になれるか?
  →不具合がない状態になればいい。
 さらに不具合がない状態ってどうすればその状態になれるか?
  →レビューですべて検証をすること
 さらにレビューですべて検証できているのはどうすればその状態か?
  →検証のカバレージを100%とすること


という感じで具体化していくと実際に自分でやることが見えてきます。
具体化をすすめると測定可能(Measurable)という視点でも管理できそうですね。
次に達成可能(Achievable)についてはどうだろうか?ここは今のツールでも100%のカバレージは難しいかもしれません。ではどう設定するか、過去の良い結果を参考に設定するといったことも考えられます。

現実的(Realistic)かどうかも重要です。この次の項目で期限がある(Time-bound )にも関連しますが、時間をかければできるかもしれませんが、限られた時間のいう中で、できるのかというトレードオフが存在するとした場合に現実的なのかどうか?ということになります。

このように考えていくと、目標設定といっても具体化することで、開発難易度やチームの状態、使えるツール、時間的な制約といった色んなパラメータで目標設定が替わるといえると思います。 

リスク&オポチュニティ

目標を一旦、定めたうえで、今度はそれを達成するためのリスクオポチュニティを考えていきます。
ここまでに色んな分析が役に立ちます。リスクとして考えられる外部からの要因で、要求事項の変更が入るであるとか、新規技術導入でデザインパラメータが決まらないとか、自分でコントロールできないような事項の発生が考えられます。
また、内的要因ではリソースが決まらずに開始する可能性があるとか、新規設計での難易度が高く、不安定要素が高いといったようなことも考えられます。
逆にオポチュニティとして考えると、想定していた難易度が過去事例があり難易度が下がったであるとか、想定していた試作の過程をせずに済んだといったことも考えられますし、要求仕様が想定していたものからやりやすいほうに変更になるといったことも想定されます。
また、時間軸に対してはいろんなことをトレードオフにするといったことも考えられます。

最適値と最尤値(さいゆうち)

目標値とするものとリスクオポチュニティが解ったとして、何をセンターの目標とするかですが、最適値の考え方と最尤値の考え方があると思います。

 最適値:望ましい状態にするということ
 最尤値:もっともらしい状態にすること


この2つについて考えてみましょう
例えば売上のような目標をする場合にはいろいろ分析したうえで、最適値よりも最尤値がいいとなります。特に外部に出す望ましい数値として、もし無理な目標であった場合は、達成できない数値を出してしまうことになります。最尤値は分析結果からもっともらしい値ということで、統計的にコミットできる値としての提示になりますので、売上のような目標としては適切だといえます。

設計の場合はどちらがいいでしょうか?上で考えたように検証のカバレージとなると最適値は100%となってしまいますでしょうか。
次に最尤値だと今できることで考えてしまう可能性もあります(少し甘めな設定になる可能性)。
なので、最適値最尤値のギャップを何か施策を打って埋められるかという視点で考えて目標値を置くのがいいと思います。

幅の設定とBプラン

リスクオポチュニティの設定もでき、センターとなる目標値の設定ができました。そこで幅の設定を考えてみましょう。ここで注意したいのが、リスクオポチュニティをそのまま積み上げて設定してしまうと幅が広くなってしまいます。全てのリスクオポチュニティが発生することを想定して幅を設定してはそれは目標値としては正しくありません。

  リスク(オポチュニティ) x 発生頻度 x 影響度

という形で考えて、それぞれのリスクオポチュニティを算出して足すことで設定するのが正しいといえます。
そこをいかに幅を狭くコントロールできるかは計画の正確度精度が高いといえ、いい計画といえると思います。ここで話した2つの考えを整理します。

  正確度 (accuracy):設定した目標にいかに近いかを示す
  精度 (precision):繰り返したときに差が小さいことを示す

一年を通した目標値だった場合には正確度が高いほうがいいといえます。
毎月何かをして一年間通して評価するとした場合はばらつきが少ないほうがよいという場合には精度が高いほうがよい(計画としてよい)といえると思います。
また、目標値からずれていくときにどこかで修正をかけるということをあらかじめ計画を立てておくことをBプランとよく言います。発生した、リスクやオポチュニティに対して何もしないということではなく、修正によってリカバリするといったことは常に考えていくことが重要です。

次の章では目標達成に対してKPIを設定しPDCAでマネジメントしていくことを考えていきます。


#1 はじめに(2024/5/19公開)
#2 存在意義について考えてみる(2024/5/20公開)
#3 客観的/多面的な分析をする(2024/5/30公開)
#4 STPを考える(2024/6/9公開)
#5 目線をあげる(2024/6/15公開)
#6 重点項目を設定する(2024/6/24公開)
#7 幅で考える(本投稿)
#8 KPIを設定しよう(2024/7/6公開)
#9 計画と存在意義の一致(2024/7/13公開)

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