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分散投資の必要性と投資ユニバース

当方のブレストも兼ねながら、改めて資産運用のユニバースを考えてみましょう。

資産運用なんて「株の指数に預けとけばいい」と考えている方もします。実はこれは決して暴論ではなく、合理性だけを言えば、たとえばS&P500に100%投資は一つの有効策となります。

出所:マネックス証券(https://info.monex.co.jp/news/pdf/2020/20200427_02/sbi201911.pdf)

あるいは世界株を選ぶ人も一つの正解です。現在はアメリカの経済力が世界をけん引しているため「S&P500がよい」となるわけですが、将来もしかしたら中国など他の国が覇権を握る時代がくるかもしません。

米国株に投資していたら、その時にパフォーマンスが低下しますが、世界株ならうまく投資先がその時の経済状況に応じてリバランスされるため、経済のリーダーが変わっても安心です。

机上の空論でいえば、いまはS&P500に投資して経済の覇権が変わる直前に、中国株など新たなリーダーの国に投資するのが最高なのですが、経済の覇権が変わる瞬間を予想するのはプロでも困難なので、放っておけばリバランスされる世界株に投資するというのはとても賢い選択です。

あれ?じゃあ投資ユニバースなんか考えなくてもいくない?となりそうですが、トウヤの場合はそうはいかないのです。

トウヤが分散投資を徹底する理由

上記の事情を理解しながらも、トウヤは長期の資産形成を考えるうえで、分散投資を徹底しています。そこにはおおきく三つのポイントがあります。

現実には大暴落に耐えるのが難しい

米国か世界株式に投資しておけばいいと考える背景には、これらの株式市場が「右肩上がり」で上昇し続けてきたことがあります。

右肩上がりなら、たとえ一時的に下落しても、構造が変わらなければまた復活するため、持ち続けていれば大丈夫、というのが「株式指数一択派」の前提にあります。

しかし、トウヤは理論ではその通りでも、実際に暴落が起こって自分の資産が目減りするのを見ているのは個人的に厳しいと感じています。

最近の暴落の例にはコロナショックがありますが、この暴落は投資家にとって「優しい暴落」でした。当時はものすごく暴落した気分でしたが、下落率はS&P500で30%超に「とどまり」ました。

リーマンや世界恐慌は50%やそれ以上の下落を引き起こしているのをふまえると「暴落の中ではマイルド」な下落だったのです。

また、「戻りが早かった」のも投資家にとってはうれしいポイントです。一時的なマイナスに耐えなければならない期間がごく短く、見る見るうちに損益が復活し、さらに含み益に至った投資家が多かったため「暴落大したことないじゃん」と思ってしまう局面でした。

リーマンを乗り切って「暴落大したことない」といえる人は、確かに株一択でいいかもしれませんが、コロナショックを乗り切っただけでそのように判断するのは危険だと考えています。トウヤも資産運用はコロナ直前から始めたので、もっとヘビーなショックが起きたときには、株一択では気持ち的にも家計管理的にも耐えられないと感じているのです。

「パラダイムチェンジ」はいつ起こるかわからない

トウヤは長期での資産形成を想定しているので、投資ホライズンはひとまず30年かそれ以上になると見据えています。トウヤには未来を見通す力がないため、30年後の世界がどのようになっているか全くわかりません。

それは株式市場も同じで、今右肩上がりの市場が、30年後までにパラダイムチェンジを引き起こして「上がらない」市場になっていないとは到底自信を持てないのです。

特にこの国では株式が「右肩上がりにならない」状況をいち早く体感しています。日経平均はいまだにバブル末期の高値を30年以上更新していません。

これが日本特有の事情ならいいのですが、日本は先進国の衰退を「さきどり」しているという考え方もあります。もし他国も将来同じようなパスをたどるとなると、同じように「右肩上がり」ではなくなる可能性もあるのです。

そうならないかもしれませんが「絶対にそうならない」という確信は私にはもてません。だから株式市場一択は危険だと考えています。

資産運用は「保有している資産すべて」の管理である

日本では投資は「余剰資金」でおこなうべきもの、という概念があります。この前提があるからこそ、投資資金以外に必要資金が確保されているため、余剰資金が大きな損失を出しても問題がない、だから「株式のようなリスクの高い資産に100%投資してOK」という考え方が浸透しているのです。

しかし、富裕層や海外の一定数の人にとって資産管理と投資はイコールに近いもの。すなわち、保有資産のすべての配分を考えるのが「投資」であり「資産運用」なのです。トウヤも基本的にはこの考え方に則ってポートフォリオを形成しています。

ちなみに、これは「現預金を一切持たない」という意味ではありません。現預金は本来、預金利率を得る安全性の高い「投資」の一つなので、ポートフォリオの「最も安全性の高い投資先」として機能します。

この考え方をもとにすると、余剰資金は少しリスクを取った投資に回せますし、必要資金も「ある程度換金性が高く、リスクが低い投資」に回すことができます。

たとえば投資信託なんかは売却後数日で現金になりますので、1-2日などまさに今必要となる現金以外は投資信託に入れてもよいと考えることができます。

ただし、この考え方の場合、余剰資金以外の部分はどこかで換金が発生する可能性があります。もしその時に市場が暴落していると、損失をなくなく確定する必要があるため、自然と換金リスクが高い資産ほど「安全性の高い」投資先を選別することになります。トウヤの場合はこうした事情から一定量を債券ファンドに組み入れています。

世の中では「投資=余剰資金で行う」という考えが浸透している印象ですが、それは日本の投資がまだ未成熟な証拠で、それがゆえに余剰資金=投資=ハイリスクでOKという考え方に流れるのかな、と感じています。

投資のユニバース整理

ここからはブレストにも近い内容になりますが、あらためて個人の投資にはいったいどのような選択肢があるのか?考えてみましょう。株のインデックス一択!という人も多いと思いますが、余剰資金以外の部分にも資産運用を広げるとなると、そうもいって入れられない人も少なくないはずです。

個人の投資手段は多様化している

思いつく限りでは、このような投資方法がいま、個人には与えられています。以前紹介した通り、トウヤは投資できない商品も多いですが。

直接個別銘柄を購入する投資

  • 個別株(日本、海外、上場株、IPO株)

  • 個別債券(日本、海外)

  • 仕組み債

  • 外貨預金

  • 預金

デリバティブを活用する投資

  • FX

  • CFD(さまざまな指数先物などに投資するもの)

ファンドへの投資

  • 投資信託(株、債券、不動産、コモディティなど)

  • REIT

  • ソーシャルレンディング

  • オルタナティブファンド(富裕層向け)

実物資産への投資

  • 不動産

  • 一部の美術品、宝飾品

こんなところでしょうか。一部は富裕層向けなので個人の投資といえるか微妙なラインのものありますが、それにしても多いですね。

これらをさらに投資する国、通貨などで考えていかなければならないので、厳密な管理というのは難しいものです。

せっかくなのでざっくりリスク順に紹介してみます。ただしリスクの高さは独断と偏見で評価しているので、あくまで参考程度にしてください。

低リスク

低リスクな投資方法は次のようなものがあります。

  • 現預金

  • 個別債券(先進国の国債や社債)

  • 投資信託(債券ファンド)

  • 一部のソーシャルレンディング(投資先が大手企業など)

損失リスクがほとんどないか、あっても年間数%以内にとどまることを期待されて投資されるゾーンです。

換金リスクが高いなら、現預金や投資信託の債券ファンドが適していますし、換金はすぐにはおこなわないが確実に確保しておきたいなら、個別債券・ソーシャルレンディングなどで投資ホライズンのあった銘柄を選べばよいでしょう。

中リスク

中リスクとはこのような商品になります。

  • 外貨預金

  • FX(レバレッジ1倍以内程度)

  • 個別債券(新興国)

  • 債券ファンド(新興国やハイイールド)

  • ソーシャルレンディングの大多数

  • 不動産投資

  • オルタナティブファンド

実は株以外に目を向けるとミドルリスクの商品が多数あります。グローバルで主流である「資産全体のマネジメント」を念頭に置くと、株式はハイリスクすぎるので、一定量がこのゾーンの資産に集まってくるからと考えられます。

意外なのは為替かもしれません。先進国通貨であれば本来リスクは株よりも低めです。また円高は輸入物価を押し下げ→日本国内のデフレ圧力→金額が目減りしても実質的な価値の低下は限定的、円安は輸入物価を押し上げ→国内のインフレ圧力→金額がふえないと実質的な価値が低下、というパスになるので、外貨保有は日本国内のインフレをヘッジするうえでも有効な資産となります。

FXはハイリスクの代表格なイメージがありますが、そのリスクの高さはレバレッジによってもたらされるもの。1倍であれば外貨預金とリスクは変わりませんし、通常FXの方が手数料(Bid/Askスプレッド)が狭いため、効率的に運用できます。

不動産投資は最近トウヤも始めた投資です。賃料収入の積み上げを前提に行う不動産投資のリスクは株式よりも低め。株式は企業が倒産すれば無価値になりますが、土地は国がなくならない限り地価が残って無価値にならないので、株式より「価値がゼロ」になるリスクは低いのです。

高リスク

残りの投資がハイリスクということになるかと思います。

  • 金投資

  • 株式

  • レバレッジ型投資信託

  • FX(レバレッジを高くした場合)

  • CFD

金はやや微妙なのですが、キャピタルゲインをもとに投資しなければならず、その値動きは比較的激しいので高リスクとしました。ただし価値がゼロになることはないので、株よりはリスクが低い投資といえるでしょう。

FXや一部投資信託ではレバレッジをかけた投資が可能ですが、これらはリスクの高さがレバレッジの高さに比例します。

相場環境にもよるので現実な計測は困難ですが、FXの場合は2倍以上レバレッジをかければすでに株式よりリスクが高いと考えられます。おそらく現在の日本国内業者の最大水準である25倍のレバレッジをかけた取引は、個人が行える投資で最もリスクの高い方法であると考えられます。

リスク不明

美術品、宝飾品を投資目的で保有する人がたまにいます。これらの値動きは一概に分析するにはデータが少ないため、リスクの高さを図るのは困難です。

それぞれ考え方がありますが、トウヤ個人としてはこのようなリスクのわからない商品を投資目的で持つのはあまり有効ではないと考えています。

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