見出し画像

2024年(令和6年度)に考える介護現場でのChatGPTの在り方

今回は、介護業務におけるChatGPTの活用方法をより実践的に考えていきます。

結論から申し上げると、介護業務においてのChatGPTの導入価値は極めて低いです。
人材不足の補完や介助業務における業務負担の軽減は見込めないと考えてよいです。

食事や入浴、排せつなどの介助業務におて、その瞬間にその場で必要なサポートは「人」であり、ChatGPTが活かせることはありません。

例えば、入浴介助を行っている最中に利用者に異変が起こったとしましょう。
人手が欲しいけど、利用者から離れられない状況となった際に、ChatGPTに音声入力で助けを求め、chatworkなどの連絡ツールと連携させてメッセージを送信するなどの使い方はできると思います。
しかし、それであればインカムで連絡するだけで済みます。

一方で、記録業務の時間短縮や業務負担を減らすことによる業務効率化を図ることはできます。
また、ITやICTの導入は今後の新たな介護報酬加算の対象となる傾向が高いため、必要な情報、知識を蓄えておくことは決して無駄にはなりません。
むしろ、他事業所に遅れをとらないためにも収集していきましょう。

介護現場の一職員として働く方も、今の介護現場の業務改善のヒントになり得るため、ぜひ一読し、視野や価値観を広げていただければと思います。

介護職員の業務の切り分け

介護現場では主に利用者さんに対する介助業務と、その利用者さんの一日の様子やサービス提供を記録する記録業務に分けられます。

そして、多くの介護職員にとって業務への負担や不満を感じる部分の比重は、記録業務にかかっている部分が大きいと思います。

記録業務の負担

例えば、利用者の様子やサービス提供に関して、同じ内容を複数の用紙に記録したり、ヒヤリハットなど状況報告を細かく記録したりするなどが業務としてあります。

しかし、時間によって業務が決まっているため、記録の時間をゆっくり設けることができず、結果的にすべての業務が終わった後に残業としてやる現場も少なくないです。

さらに、サービス内容や状況など同じ内容を複数の用紙に書く手間があるなど、無駄と感じる部分は多いと思います。

業務効率化を図るために記録ソフトを導入し、ペーパーレス化を推進する事業所もありますが、上部層の理解がないとなかなか導入できないのが実際です。
また、導入するに関しても費用対効果が釣り合わないなど、導入したくても導入できない状況もみられます。

ChatGPTの活躍例

先述したように、chatgptの導入価値は極めて低いです。
また、使い方によっては、負担が増える可能性も
あります。

その点を踏まえ、主だった使い方を紹介していきましょう。

マニュアル作成

業務マニュアルがなく、職員が口頭で指導教育している場合には、マニュアルを作成することによって、指導者の負担軽減やサービスの質を一定水準に引き上げることができます。

マニュアルを作成する場合には、ChatGPTにマニュアルの概要を伝える必要があります。

例えば、食事介助のマニュアルを作成する場合、以下のような指示をします。

的確に細かい指示をすれば精密なマニュアルを作ることができ、曖昧な指示をすれば簡単なマニュアルとなるように、指示文と完成度は比例します。

そのため、ChatGPTへの指示文を考えることが負担となります。

記録業務のサポート

文章を書くことが苦手な人はどのように書いたらいいかを考えることに時間を取られてしまい、精神的苦痛を感じます。

文章をChatGPTに考えてもらうことで考える時間を削減し、効率化を図ることができます。

ネット上に転がっている使えそうな活用方法はこの2点ぐらいです。

留意点

ChatGPTは大量のデータから一般的な知識を学習していますが、専門性の高い知識は不得意としているため、精度の高い回答が得られない可能性が高いです。

また、ChatGPTが生成する文章は必ずしも正しいことはなく、誤りがあることも多いため、最終的に人の目で校正をする必要があります。

ChatGPTを無料で導入するべきかの判断

無料で導入したい場合、次の項目に該当する人におすすめです。

  1. 考えることが負担ではない

  2. 問題に対して、ある程度の解決策のイメージがある

  3. 言語化および文章化ができる

この3点に該当する人はChatGPTを上手に活用できる、もしくはその可能性が高いと思います。

2と3に関しては、トレーニングすれば習得できるため、実際にChatGPTに触れていくことで身に付けることもできます。

1に関しては苦手な人はとことん苦手で、1番負担となります。
しかし、現場に考えることが得意な人がいれば、役割を任せることもできます。

そのため、導入のハードルは比較的低いと考えて良いでしょう。

もし問題は抱えているけど、漠然とした解決しかイメージできない、ChatGPTを使いたいけど、どう使っていいのか分からないなどありましたら、お問い合わせいただければ相談に乗ることもできますので、お気軽にご連絡ください。

アイデア集

いくつかこんなChatGPTの使い方もあるというのを紹介します。

ヒヤリハットの報告

ヒヤリハットの報告書の記入において、最も時間がかかる項目が今後の対策についてだと思います。

そこでエクセルやスプレッドシートをChatGPTと連携させて、セルに質問を入力すると、隣のセルにChatGPTが自動で応答してくれるシステムを構築することができます。

IT機器導入に関する最大限の活用方法

最近では、国がDX化を推進している背景もあり、見守り介護ロボットやAI搭載した機器の導入が進んでいます。
補助金が下りる関係から地方でも導入している施設が増えてきています。

しかし、いざ導入しても一部の機能しか使いこなせず、職員は導入に対する効果をあまり感じられない、事業者は導入コストや運用コストが実際の活用と釣り合わないなど、持て余している施設も多いと思います。

そこで、ITやICT、AIなどの最新技術の情報に長けているChatGPTに活用方法のアイデアを提案してもらうことも可能です。

もちろん、より詳細に有効的な提案はコンサルタントに相談した方が確実ではありますが、まずは無料でできることをやってみるのも一つです。

介護記録ソフトの開発

記録ソフトを導入するのには、導入コストと運用コストがかかります。
特に、買い切りであればまだよいのですが、継続課金(サブスク)はコストがかかり続けるため、事業者としてはあまり使いたくないのが正直なところです。

また、基本的に介護ソフトは半永久的に使用し続けます。
その理由としては、一度使い始めたソフトを途中で変更することはとてつもない手間がかかるため、なるべくは変更はしたくないからです。

しかし、自社でシステムを開発することにより、開発に係るコストは発生しますが、それらコストを削減することができます。

さらに、実際にある介護記録ソフトの機能では足りないもしくは不要な機能があるなど、自施設にある現場と合う完璧なソフトはなかなか存在しません。

そういった点も自社開発のメリットです。

ホームページ制作

ホームページ制作には必須なコードやプログラムを組むことはできなくても、ホームページ制作に関する知識は多少あれば、ChatGPTにコードを生成してもらうことができるため、簡単なものからちょっとした遊び心のあるホームページを制作できます。

自動応答AIチャットボット

また、ホームページが制作できれば、ChatGPTを活用した自動応答AIチャットボットをつくり、24時間お問い合わせに対応することができます。

介護施設においてあまり需要はないかもしれませんが、ChatGPTの使い方を深めるために試してみるのもありです。

まとめ

ChatGPTは必ずしも導入が必要なものではありません。
むしろ導入する必要はないとすら思います。

もちろん、導入することにより業務効率化を図ったり、職員の負担を軽減につながる可能性もありますが、ChatGPTでなくても、ほかのITやICTなどのサービスはありますし、それらを導入した方がよっぽど成果を生み出すことができる場合があります。

大切なことは自分の現場がどのような問題を抱えていて、それを解決するために何が必要なのかという分析を的確に行えているかどうかです。

円安による物価上昇や水道光熱費の高騰が続き、今年度からは訪問介護の報酬引き下げなど経営を圧迫する状況です。
さらに、求人を出してもなかなか応募は来ず、介護職員の人材確保は大変難しいです。

求人広告や施設紹介などに必要なホームページやパンフレットの制作も受け持っていますので、お気軽にご相談ください。
厳しいこの時代を頑張っていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?