徳を積んだらポイントがたまる?~中国の「功過格」システムとは
仏教にせよキリスト教にせよ、あらゆる宗教は善悪の教えを説きます。こうした宗教的な善や悪は、数値化とは相性が悪いような気がします。「徳は数値化できるものではない」と坊さんに窘められそうですよね。
しかし、中国には善行や悪行をポイントのようにスコア化するシステムがあります。民間で広く信仰された道教の書物『功過格』がそれです。
現存する最古のものは、金代(12世紀後半)の『太微仙君功過格』ですが、民衆に広まったのは明末以降のことです。
功過格では、さまざまな行いについて、善行ならばプラス、悪行ならばマイナスとして計算します。例えば、一人の人の命を救えば+100、一人の人の命を奪えば-100です。一人の浮浪者を助ければ+50、一人の者を誹謗中傷すれば-30、旅人を一晩泊めてやれば+1です。
また、神社や仏殿を修理すれば+0.01、物を粗末にすれば-0.01といった細かいものもあります。
ある人が貯めた「善行ポイント」が高ければ良い報いがあり、逆ならば罰が当たる、というわけです。男児を授かりたいので、頑張って計3000ポイントを貯めよう、といった具合です。
まるで、現代人が買い物をしてポイントを貯め、景品をもらう感覚ですね。
功過格は分かりやすい上に、目標に向けて前向きに善行を積もうと考えることができます。一見すると笑ってしまうようで、非常に合理的なシステムであるとも感じます。
さて、私は先ほど室内にいた小さなハエを殺してしまいました。-1点。
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