マガジンのカバー画像

歴史本書評

67
オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

【書評】南川高志「ローマ五賢帝」(講談社学術文庫)

【書評】南川高志「ローマ五賢帝」(講談社学術文庫)

副題は「『輝ける世紀』の虚像と実像」となっている。副題の通り、一般に流布してきた「ローマ帝国最盛期」の実像を明らかにする良書である。

紀元1世紀~2世紀にかけての100年は、いわゆる「五賢帝」が即位し、ローマ帝国が最盛期を迎えた時代だったとされる。

五賢帝とは、ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス=ピウス、マルクス=アウレリウス=アントニヌスの5人の皇帝である。

彼らは、帝位を息

もっとみる
【書評】「新説の日本史」(SB新書)

【書評】「新説の日本史」(SB新書)

 皆さんは、学校で習ったり、本で読んだりして歴史の知識を得ていると思う。しかし、歴史学の研究は日々進んでおり、通説が変わっていくことは珍しくない。

 本書は、従来知られていた見解と、最近の研究動向をわかりやすく紹介している。執筆陣はいずれも第一線の研究者だが、一般向けに分かりやすい解説となっている。

 例えば、鎌倉時代に後鳥羽上皇が起こした承久の乱。最近では、鎌倉幕府の打倒が目的ではなかったと

もっとみる