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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2021年3月の記事一覧

【書評】乃至政彦「謙信越山」(JBPressBooks)

【書評】乃至政彦「謙信越山」(JBPressBooks)

越後の戦国大名・上杉謙信は「義の武将」として知られている。北条氏に敗れて没落した関東管領・上杉憲政を保護したり、武田氏の侵攻を受けた信濃諸将の求めに応じて武田信玄と戦ったりしたため、「損得より正義を重視した」イメージが強いのだ。

個人的なことを言うと、上杉謙信については敬遠気味というか、理解しがたい人物という感情を持っていた。乱世ならば自己の生存や利益を追求するのが普通だ。義を押し通した謙信は、

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【書評】飯田洋介「グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争」(NHKブックス)

1870年、プロイセンとフランスの間で普仏戦争(独仏戦争)が始まった。宰相ビスマルクの率いるプロイセンは、入念な準備もあって戦いを優位に進めて勝利し、ドイツ統一を成し遂げた……と、高校の世界史で習う。

フランス皇帝ナポレオン三世はセダンの戦いで捕虜にされ、第二帝政は崩壊した。また、ドイツ皇帝の戴冠式は占領されたヴェルサイユ宮殿で行われ、アルザス・ロレーヌ地方の割譲もあってフランス人に大きな屈辱を

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【読書】小笠原弘幸「オスマン帝国英傑列伝」幻冬舎新書

書店で新刊本として平積みになっているのを見て、「幻冬舎から本格的な世界史本とは珍しいな」と思った(失礼)。もっとも、著者は中公新書「オスマン帝国」などを書かれている研究者の方なので、購入するときの心配はなかった。中公新書「オスマン帝国」を読んで通史を理解してから、本書に進むとよいと思う。

オスマン帝国の有名人といえば、やはりスルタンを思い浮かべる。メフメト2世やセリム1世、スレイマン1世などだ。

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