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不登校先生

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2021年の春に「うつ病」になりました。 15年間小学校の講師として働き、 この年もそのまま働くだろうと思っていた時に 突然自分にやってきた「うつ病、退職、療養の日々」について、… もっと読む
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2022年1月の記事一覧

不登校先生 (49)

不登校先生 (49)

うつの状態で退職する。

はっきりと、退職を決めた時から、頭に居座り続けている問題。

やはり生活のためのお金の問題だ。

非正規で15年、ここまで給料で貯金などはできたことはない。

先月までの給与と、夏の賞与だけが、今の手持ちの全財産。

月末までに引き落とされるものが引き落され、

このまま何もしないでおくとあと2か月、持たない。

まずは、自分の状態で出来ることを一つずつ、抜かりなく。

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不登校先生 (50)

不登校先生 (50)

駅を降りて、ハローワークまで歩く。

これまでも、二、三度、この道は通った。

いつもこの道を通るときは、気持ちが暗い。

だけど今日は、以前よりは少しだけ前向きに。

療養しながら、きちんと生活に不安がないように。するために。

その準備だから、と自分に繰り返し言い聞かせて。

陸橋を超えればハローワークだ。もうすぐの所まで来たその時、

着信が入る。登録していない番号だ。

「・・・・・はい、

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不登校先生 (51)

不登校先生 (51)

・・・・・・市役所の方から教えてもらった電話番号にかける。

「すみません、傷病手当の申請についてお伺いしたいのですが。」

「はい、傷病手当ですね。こちらの保険に加入されてから、12か月以上たたれていますか?」

「そうだと思います。」

「確認いたしますので、お名前と生年月日をお願いします。」

名前と生年月日を伝える。

「・・・ととろんさんは、3年前までは加入していますが、その後は協会けん

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不登校先生 (52)

不登校先生 (52)

一枚のはがきの繋がりが、自分を助けてくれるかけがえのない繋がりになる

そんなことを、今年ほど感じたことはなかっただろう。

退職をして、自分の生活を維持する準備もあらかた整理がついてきた頃、

Sちゃんのお母さんから、3度目の畑のお誘いがある。

退職直後の週に、二度一緒させてもらってから、

3週間ほどたったお盆明けの八月下旬。

台風などもあり気になっていた畑へのお誘いが嬉しくて、

待ち合

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不登校先生 (53)

不登校先生 (53)

「ととろん兄さん、お久しぶりです。先生ご退職されたんですか?」

8月の終わりの頃、懐かしい人からLINEが入った。

船長や、姉さんと過ごした一番楽しかった職場で、二度目の同僚になった

のりちゃん先生からの、LINEだった。返信でなく電話をかける。

「うん、退職したよ。だいぶ心をやられてね。今月から無職だよ。」

「いや、インスタに、季節外れな引っ越しの写真が上がっていたので。でもよく見たら

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不登校先生 (54)

不登校先生 (54)

※今回の54話には、ドラマ【ひきこもり先生】のネタバレが含まれます。ご了解ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

のりちゃん先生との久しぶりの電話の中で、

のりちゃん先生にもダビングして送るね、と伝えたドラマがある。

今年の五月ごろにNHKで放送された【ひきこもり先生】というドラマだ。

うつになってから7月まで。ほとんど、エンタメに触れていなかった僕が、

辛うじて、つなが

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不登校先生 (55)

不登校先生 (55)

※今回第55話には、ドラマ【ひきこもり先生】のネタバレが含まれます。ご了解ください。

何度も何度も、繰り返し。観ている。

観るたびに、涙が止まらなくなりながら、頬が痛くなりながら。

それでも、そんな風に感じることが嬉しいと嚙み締めるように。

【ひきこもり先生】は、本当に、今、自分が共感しすぎるほどしてしまい、

何度も見るうちにその共感は、立場の違う登場人物にまで、

感情移入をしてしまう

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不登校先生 (56)

不登校先生 (56)

※今回の56話の内容まで、ドラマ【ひきこもり先生】のネタバレが含まれます。ご了承ください。

真の友人になれる人とは、自分の損得よりも、

相手が本当に辛いときに寄り添い、支えることができる人だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヨーダ君は最初、ヤバい感じのひきこもりの友達として出てきた。

世の中のあらゆることを拒み、自分の親を恨み、学校も否定。

上嶋さんの相談に、命令するように、自

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不登校先生 (57)

不登校先生 (57)

何度何度もひきこもり先生を視聴して、枯れるほど涙を流して、

数日が立った。今、同じように心を病んでいるケンちゃんにも教えよう。

現場に戻れない状態ののりちゃん先生にも教えよう。

先生であることを、人生の中で選択した人たちの中には、きっと、

この、ひきこもり先生で、元気をもらえる人は多いと思った。

何より自分自身がそうだった。

そして、もう一つ、気付かされたこと。

それは、母親の存在だ

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不登校先生 (58)

不登校先生 (58)

9月に入った。

通院をした際に、傷病手当の書類の記入をお願いした。

「引き続き、週に一度の通院は継続してください。」

そういわれて、診察は終わる。睡眠障害はまだなくならないが、

退職してだいぶ、気持ちが楽になってきたように感じる。

残暑がまだ残る中、虫の声はセミから秋の虫達に、奏でる音色は変化して、

刺すようには日差しの暑さはほんの少し優しくなり、

季節は、秋に模様替えしていきつつ感

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不登校先生 (59)

不登校先生 (59)

目が覚めた瞬間、体が激しく痛んだ。

気付けば10月になっている。暑さもだいぶ和らいできた。

今日は、週に一度の診察の日。ゴミ出しをして、病院に行く準備を・・・

と思った朝の起き抜けの出来事だった。

痛い場所は、肩、背中、腰。この痛みには覚えがある。

いわゆる「凝り」だ。

僕には、二十年来付き合っている腰痛と凝り性がある。

高校時代に手術をした椎間板ヘルニアからの名残と、

二十代後半

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不登校先生 (60)

不登校先生 (60)

この半年は人生の中でもかなり異常な非日常だった。

そんな風に、自分で自覚できるようになってきた10月。

体の激しい凝りをきっかけに、整骨院への治療を再開できた。

心療内科の先生からも、

「うつの療養にも効果的だと思うのでぜひ行かれてください。」

と言われた、久しぶりに行けてから二週間は毎日通ってほぐしてもらう。

そうすると、これまで眠れない、眠りが続かない状態だったのが、

一度眠ると

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不登校先生 (61)

不登校先生 (61)

「じゃあ20日からお世話になるよ。」

電話で話していた相手は、高校時代からの親友、たけっさんだ。

たけっさんとは、お互い親元を離れての下宿生活で、

同じ釜の飯を食った仲で、3年間ずっと一緒にいた友だ。

高校時代の親友は、他にも、

こうちゃん・なおちゃん・ちゅうといった仲間がいて、

それ以外にも、ななさん、ちーさん、さっちゃん、などなど。

実は高校の時の僕らは、だいぶ特殊なクラスで、2

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不登校先生 (62)

不登校先生 (62)

今回の帰郷。

個人的な目的は、自分の心の回復度合いの確認をしたかったのと、

故郷で元気をもらいたいということなのだが、それを踏まえたうえで、

会いたい人、行きたい場所がいくつかあった。

まずは、来年米寿になる恩師が「終活を始めた」ということで、

生きているうちにちゃんと顔見せに戻っておこうという目的。

気付けば僕ももう40過ぎて後厄の年、恩師も歳を取る。

コロナ禍はリアルの再会を大き

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