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【商品紹介】マジックマーケット2021春に出店します!【Insight Out】

今年もマジックマーケット用にコアでディープな商品を準備しました!
私は、黒川智紀と「Insight Out」というサークル名で出店しております。
今回の記事はInsight Outで出品する商品3点のご紹介となります。

マジックマーケットとは?

マジックマーケットは、言うなればマジック版のコミケ。
マジックの道具、トリック、マジック関連の小物や、マジックをより楽しむための情報など、毎年様々な出展者がおもしろいものを販売しています。

今年は5月1日(土)~5月3日(月)にオンラインでの開催となります。
詳細はこちら↓

4月21日(記事執筆時点)では、主催の戸崎さんが出店品一覧を公開されています。ぜひご覧ください!

既に33サークル、116品、おもしろそうなものが並んでいます…!

マジックマーケットでは、マジックのトリックやマジックの道具がたくさん出品されているのですが、Insight Outで準備しているのは、マジックのトリックでもマジック道具でもありません。

ちょっと変わった商品なので、この記事でご興味を持っていただけたらうれしいです!

①第7回いろはてじな

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・てんとうむしがいたかー!あー、かたつむりも!えー!すげー!(歓喜)
・ムダ毛…。ムダ毛をこう剃って…。剃っても生えてくるってすごい視認性悪いですよね。(大真面目)
・麦わら帽子のメリケンハットから出てきて、おー、なるほどね!って思うもの、何があります?(中略)生の魚とか出たらうれしいですね。まぁ面倒くさいっすね、それやるの。 ―第7回いろはてじなより

「いろはてじな」はこんな楽しいひとりごとが飛び交うマジックの制作現場にカメラをまわした映像作品です。

マジックの世界大会 FISM 2018のジェネラル部門の日本代表 黒川智紀がランダムに選ばれたひらがな一文字から始まるものをテーマに、演技をつくる過程が映像に収められています。

今回のお題は「む」。

「む」の演技を作るアイディア出し、テーマの吟味、道具やギミックの作成、演技、演技の実況解説までです。

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                         ↑ムダ毛を剃る黒川

実は、私は今回まで「いろはてじな」シリーズを見てこなかったのですが、とてもおもしろい…!

純粋にひとつの演技のアイディアが生まれて形になる一部始終を見られることってまずないですよね。

FISMレベルの演者がどのようにテーマを選定して、それを展開して、道具やシークエンスのどんなところに意識をして演技を組み立てるのか。その考え方の断片と、楽しみながら演技に取り組む姿を見られるのは、そうそうないことじゃないかと思います。
(黒川が楽しそうに演技を作っている姿があることは保証します)

作られる演技はステージマジックですが、クロースアップマジックをされている方も、観ているだけでおもしろいと思っていただけるかもしれません。

<注意点>
・ある程度マジックについての知識がある方のほうが楽しめます。
マジックの道具の名前や、有名なマジシャンの名前などが注釈なく出てきます。知らなくてもある程度楽しんでいただけるとは思いますが…。

・映像を見ても、制作されたマジックはできるようになりません。
演技のセットやひとつひとつの技法全てが解説されているわけではありません。道具の製造過程でも、当たり前のように3Dプリンタを使っていますので、マネをするのもかなり難しいと思います。あくまで鑑賞用の映像作品だと思っていただければと思います。

なお、第6回以前のいろはてじなは下記から確認できます。こちらもぜひ!

②もしも野良言語学者が選択体系機能言語学でクロースアップマジックを分析したら—Paul Gertner UNSHUFFLEDを例に—(もし野良)

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マジックのセリフについて考えたことはありますか?

特にクロースアップではセリフが大事と言われますが、具体的にどのようにセリフを考えればよいかを考えた理論本は多くないと思います。
そこで、選択体系機能言語学という言語学の手法をつかって、一流のマジシャンの演技のセリフを分析・考察してみたのがこの本です。

分析したのは、米国のテレビ番組「Penn & Teller: Fool Us」でPaul Gertner氏が演じた UNSHUFFLEDというアクトです。

この番組はマジシャン・コメディアンであるPenn & Tellerに対して、ゲストのマジシャンがマジックを演じ、Penn & Tellerのふたりを出し抜けるか、というもの。

Paul Gertner氏はFISM 1985のマイクロマジック部門で1位を獲得した、言わずと知れたマジシャン。氏が番組出演にあたってどれほどの準備をしたのかは、自身のブログに3回にもわたって記載されています。

言語学、英語のセリフの分析ときくと少しハードルが高いようには思われますが、言語学に全く触れたことのないマジシャンを前提に説明していますので、ついてきていただけたらと思います。英語のセリフについては、簡単ですが全訳もつけています。

分析結果は、大野真央さんの『奇術師の理論』のマジックのフェーズについての考え方や、エヴァ―ハード・リーゼの『ファウンデーションズ』の殺人者/被害者という考え方などと合わせて考察しています。

否定表現による観客の予測や、演技のインタラクティブ性の操作などについての仮説は、言語学の視点だからこそ見えてきたひとつのアイディアです。

ただし、英語のセリフについての分析となりますので、日本語のセリフについてそのまま理論を適用できるかは検証が必要ですので、その点のみ事前にご注意ください!

黒川による「もし野良」紹介動画もぜひご覧ください!言語学者ではなく、マジシャンである黒川の視点から見たこの本についての魅力の紹介になります。

なお、この本の内容は2021年1月の言語学フェスというオンラインイベントでポスター発表をさせていただき、言語学の分野の方にも興味を持っていただけました!
本の内容にも一部言及していますので、こちらの記事もどうぞ!

③エンタメとしてのマジック論―他ジャンルとの比較分析(増補版)

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マジシャンは、より不思議でおもしろいマジックを追求していますが、
そもそもマジックってエンタメなんでしょうか?
そもそもエンタメって何なのでしょうか?
マジックがエンタメなら、他のエンタメとどう違うんでしょうか?
他のエンタメの強みを理論的にマジックに生かせないでしょうか?


そんなことを丁寧に考えてみたのが、『エンタメとしてのマジック論―他ジャンルとの比較分析』です。

この本では、『ターベルコース・イン・マジック』などの文献から、マジシャンがマジックをエンタメと捉えていることを確認したのち、他のエンタメと比較分析する土台として、エンタメの構造モデルを試論的に提案しています。続いて、モデルに基づいてマジック、映画、ゲーム、音楽の4つのジャンルを捉えたのち、マジックにしかない性質とは何か、マジックに他ジャンルの性質を応用することは可能かを考察しています

また、増補版として、エンタメとして人を満足させるとはどういうことなのか、について考察を追記しています。

マジック自体の解説はありませんが、マジックそのものについてエンタメという枠組みで捉えることで、新しい発見があるかもしれません。

この本については、とんでもない数のマジック書籍等をレビューなさっている、ほんわかさんのブログに記事がございますので、こちらもご覧ください!

お礼と次回予告

マジックマーケットはオンライン開催になって今回が2度目です。

Insight Outはこれで4度目の出店になるのですが、私がこれを続けようと思えるのは、作品を手にとっていただいたり、(多くはなくても)楽しみにしていただいていたり、コメントを頂けたりするのが本当にうれしいから、というのが大きいです。

自分は「おもしろい」とはどういうことなのか、という巨大な疑問ついて、私的に、小さく、楽しくアプローチしているのですが、そのアウトプットに触れていただけたり、楽しんでいただけたりするのは、月並みですが本当にうれしいものなんですね。

私の作品で言えば、マジックの理論本なんてとてもニッチなものなのに、2018年の初出店のときから「この本を買いに来ました!」と会場早々にブースに来ていただいた方は忘れられないです。同じマジケ出店者の方で当日本を買っていただき、夕方ごろには本を早々に読破してブースへ議論しにに来ていただける方もいらっしゃったり。本当に励みになります、ありがとうございます!

あとは、気持ちの面だけでなく、頂いたお金で次の作品用の文献を購入させて頂いており、本当に助かっております…!(専門書は購入するとなると1万円弱するものもあり、躊躇しがちなのですが、思い切って投資だ、と思える勇気も頂いております)支援して頂いた分、また次回の作品で還元しようと考えています。

改めまして、ありがとうございます。

そしてこのような場を作ってくださった、主催の戸崎さんにも感謝です。

次回作は、マジックマーケット2021秋に、「マジックをみた人はどのように不思議を感じるのか」というテーマでの本を準備しております。

無事に次回のマジケで出品できたときには、手にとっていただけるとうれしいです。

まずは今回のマジックマーケット2021春、Insight Outをよろしくお願いします!

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