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【これを読めばD2Cのすべてが分かる】

いきなりすいません、題名盛ってます。これを読んでもすべては分かりませんが、最低限D2Cの意味合いや流れは理解できるようになると思います。

最近「D2C」というワードが一般的にもよく言われるようになってきたと感じています。下の書籍が発売されて少し時間が経ち、ようやく自分も読むことができたので、いい機会だと思い、自分なりに今のD2Cの現状をまとめてみようと思います。

【第1章 D2Cとは】


1-1 D2Cとは何なのか

D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、"メーカーが自社で企画・製造した商品を自社のECサイトなどを用いてダイレクトに消費者に販売する仕組みのこと"を指します。
よくB2BやB2Cと並列的に並べられて、それら二つの進化系のような描かれ方をされることが多いですが、基本的には企業がコンシューマー相手にビジネスをしているのでB2Cにカテゴライズされます。

ではいったい既存のB2Cとは何が異なるのでしょうか。

あえて私なりに追加で定義付けすると「テクノロジーの力によって小売業界をディスラプトしようとしている企業」だと言えます。

最近ではFinTechのように既存業界がどんどん破壊されていますが、そうした流れが小売業界にも訪れているのです。

あとよくD2Cは自社ECだけで展開しているという少し時代遅れな説明を目にすることもありますが、普通に店舗をオープンしたりもしてます笑


1-2 D2Cが誕生した背景

少しマクロな視点でD2Cが誕生した背景的な話に触れておきます。

①「モノ」から「コト」消費への移行
②SNSを活用したデジタルマーケティング拡大
③テクノロジーによって業界の垣根の消失


①「モノ」から「コト」消費への移行

商品の所有に価値を見出す消費傾向を「モノ消費」、商品やサービスを購入したことで得られる体験に価値を見出す消費傾向を「コト消費」といいます。

最近若者は車を買わなくなったとか、高級ブランドの洋服に興味が無くなったとかそうゆう類のものです。

今の時代、若者は簡単にはモノを買ってくれません。
それはシェアリングエコノミーの発達によってモノを「所有」ではなく「利用」するようになったり、メルカリなどのリユース市場が拡大して中古で欲しいものを手に入れたり、Netflixのようなwebサービス体験にお金を使用するようになったり、様々な要素が絡んでいると思います。

だからこそ単に品質の良いものを作っても売れないのが、今の時代のメーカーや小売店の実態かと思います。


②SNSを活用したデジタルマーケティング拡大

インスタ映えというワードが流行したりして、人々の生活にSNSが無くてなならない存在となり、インフルエンサーと呼ばれる存在が様々なジャンルで誕生しました。それと並行して各SNSに広告を打ったり、インフルエンサーに商品を宣伝してもらうマーケティング手法が拡大しています。
またそもそも企業自体がSNSを活用することでマーケティングをすることも可能となっています。

さらにインスタ発のブランドなども多数誕生してします。

(インスタで大人気となった17kg)

今や、多くのメーカーなどがオンラインで物を売る時代ですが、オンラインでの売上を上げるためにはSNSをどう活用するかが最重要課題となっているのです。


③テクノロジーによる業界の垣根の消失

上記でも少し触れましたが、金融業界は今やIT企業が大きな影響力を持っています。

GAFAはもちろん、日本でも楽天やLINE、YAHOOなど多くのIT企業が金融業界に参画して既存のメガバンクなどを脅かしています。
他にも、自動車、不動産、ホテル、家電、教育、ヘルスケア、エネルギーなどほとんどすべての業界でITの力は無くてはならない要素となり、IT企業による業界への参入も日常茶飯事となりました。

もちろんメーカーや小売業界も例外ではありません。


ここで述べたいことは、

・上記のような背景があって多くのD2Cブランドが誕生したということ
・D2C(小売×テック)は一過性の流行などではなく、どの業界でも起こっている本質的なパラダイムシフトであるということ

です。

そして、小売業・製造業は、これから具体的に説明していくD2Cの波に乗れないと新規レイヤーに破壊(ディスラプト)されてしまうと考えられます。


【第2章 D2Cの特徴】

第2章では実際にD2Cの特徴やビジネモデルをより詳細に説明していきます。私はD2Cの特徴として大きく以下の4つの要素があると考えています。

①ダイレクトアプローチ
②デジタルファースト
③イミ消費
④共創性

もちろん4つは別個として存在しているのでは無く、互いに複雑に絡み合っていて、このような分け方が正しいかどうか不明ではありますが、一旦上記を1つずつ説明していきます。

2-1 ダイレクトアプローチ

冒頭でD2CはB2Cに含まれると述べたが、正確に言うと今までB2Cと言われてきた企業の多くは本質的にはB2Cでは無く、真の意味でB2Cとなる企業がD2Cから生まれているのです。今まで、多くのB2C企業は、消費者との間に広告代理店が入ったり、百貨店をはじめとする小売店が入ったり、プラットフォーム型ECの楽天市場やZOZOが入ったりしてました。そのため正確にはtoCではなかったのです。一方でD2Cブランドというにはそういった仲介会社(広告代理店、小売店など)が無いというのが一番の特徴です。ゆえに真の意味でtoCであり、Direct to Consumerと言う名前がついているのです。

従来のアパレル業界などでは企画、生産、販売など、細かく役割分担され、それぞれの部門で専用業者を通し、巨大なサプライチェーンを構築していました。ただ、多数の工程を経るため、マージンがかさみ、消費者は何十ものマージンが乗った価格設定で商品を買わされていました。

こうした高額なマージンを積み重ねる仕組みを変革すべく登場したのが、例えば眼鏡市場のD2C企業「Warby Parker」である。「Warby Parker」は企画から製造、販売までを自社で行い、仲介業者を取り払うことで高品質な商品を低価格で提供することで大きく成長しました。

2-2 デジタルファースト

基本的にD2Cブランドは自らが関与する領域の多くの部分においてデジタルファーストに業務が設計されていることが多いです。それは既存の小売店やアパレルメーカーなどが今までの業務をデジタル化していくのとは少しベクトルが違うこともよくあります。

例えば、ショールーミングやウェブルーミングを前提としたO2O(Online to offline)の店舗設計とECをほとんどのブランドが当たり前のように行っていたりします。

ショールーミング : 商品購入の際に実店舗に訪れて現物を確かめ、その店舗では買わずにオンラインショップで購入すること
ウェブルーミング : 商品についてあらかじめインターネットで情報収集を行い、最終的に実店舗に行って、直接商品を購入すること

またO2O(Online to offline)の一歩先といて最近ではOMO(Online merges with offline)とかニューリテールを取り入れているブランドも多いです。

OMO : オンラインとオフラインのようにチャネルを分断して考えるのではなく、オン・オフのチャネルを融合して、よりよい顧客体験を提供していこうという考え方のこと。つまり、得意なことをオンとオフのそれぞれで担い、どちらか一方では消費活動が完結しない。
ニューリテール : アリババのジャック・マーが提唱したモバイルインターネットとデータテノロジーを用いることで、小売業のデジタルトランスフォーメーションを実現し、オンラインとオフラインを融合させた新しい消費体験を提供すること

そしてOMOの代表的な存在なのが、日本発のD2Cブランド「FABRIC TOKYO」です。単にサイズが合うだけでなくよりライフスタイルにフィットするオーダースーツを提供しているブランドで、オンラインとオフラインのそれぞれ得意としていることを理解して顧客体験を提供している印象があります。

またデジタルファーストとして欠かすことはできない要素としてデータドリブンであることです。これはどの業界でも同じですが「データを制するものはビジネスを制する」と言われています。そのためには当然データを分析する人間が必要ですし、データを適切に収集、保管する環境作り、分析した結果を即座に製品、顧客体験に生かす流れも必要となります。

2-3. イミ消費

1章で「モノ消費」から「コト消費」に移行していると述べたが、私は最近さらに一歩進んで、「イミ消費」に突入していると強く感じるようになりました。

「イミ消費」 : 商品・サービス自体の機能だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的な「価値」オリジナリティ溢れる「世界観」に共感して選択する消費行動のことである。私の体感では、日本においては3.11以降に発達した感じるが、世界的に見ても同時期ぐらいから徐々に発達しているように思う。

「イミ消費」にとって大事なのは製品の性能などに加えて、ブランドの世界観やコンセプトです。例えばスーツケースブランドのAwayは旅をテーマとする雑誌を作っています。


他にもアパレルブランドのEverlaneは徹底的な透明性をコンセプトに商品に対してどれほどお金がかかったのかや工場の様子を公開することで消費者が納得して購買できるようにしています。

衣料品の工場がある途上国の過酷な労働環境が問題視される中で、エバーレーンは委託先の工場の生産過程や従業員の写真、取引開始までのエピソードまで丁寧に伝えている。これにより生産拠点の大部分を占める途上国から、労働・環境問題対策への共感を得ている。結果、口コミなどによる集客を可能にしている。従来のブランドから見ると間違いなくタブーだけれど、同社の掲げるスローガンは「Radical Transparency(徹底した透明性)」。そこに競合はいないことが、一番の強みだと思う。
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO35710890V20C18A9H46A00/

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また上記のような崇高な世界観や価値とまではいかなくても、「イミ消費」というのは身近なところでもどんどん生まれてきています。例えばインスタで有名になったインスタグラマーがTシャツをデザインしてファンが買うといったことが最近よく目にすると思います。機能としては普通のTシャツであったとしても、インフルエンサーがデザインすることで独自の世界観がそこには生まれ、同時にインフルエンサーを応援するといった意味を兼ね備えているのです。これは立派なイミ消費であり、今後もどんどん増えていくと考えられます。

だからこそ製品単体の性能や質だけでなく、いかに世界観やブランドメッセージを製品に吹き込み、イミ付けをした状態で顧客に提供するかが大事なのである。


2-4. 共創性

共創性とは、簡潔にいうと顧客と共により良い製品/ブランドをつくっていくということです。今まではより良い製品を作るのはブランドの職人や製品開発部の社員だったりしていましたが、D2Cブランドでは消費者の声をデータとして直接製品に反映することが可能となりました。また消費者一人ひとりのサイズや好みをデータとして蓄積していくことで一人ひとりにとってパーソナライズされた商品を届けることも可能です。

またマーケティングの領域においても共創性が重要な要素になってきています。今までのアパレルブランドなどは広告としてテレビCMを打ったり、雑誌に広告を出したりしてきましたが、D2Cブランドの主戦場はSNSです。SNSで広告を打ったり、自社のSNSを運営していくことは当然だが、大事な要素として消費者の口コミがあります。D2Cでうまくいっているブランドは例外なく、消費者の口コミで拡大していると言えます。つまりいかにして消費者に愛されて、SNSで投稿してもらえるかが、D2Cが成功する鍵を握るのです。

インスタグラムのフォロワーでD2Cの中でダントツに多いのがコスメブランDのGlossier (フォロワー266万人)ですが、

Glossier CEOのEmily Weissは以下のように述べています。

One of the things we really rely on is our customers as co-creators and sort of co-conspirators of our company.
私たちが大事に思っていることは、顧客を私たちの会社の「共創者」であり、「共謀者」と思っていることです。

引用 : D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

そのためは、いかに熱狂的なファンとなってくれる顧客を増やしていくかが大事なのです。

また製品開発においてもマーケティングにおいても顧客との共創性が大事となってきていますが、それがさらに発展すると次のような現象が業界によっては発生したりします。

サプライチェーンの流れの逆転

今までは製品が
メーカー→小売店(EC)→消費者
といった流れで動いていました。

しかしこれからは
消費者→小売店(EC)→メーカー
と言った流れになっていくと思います。

それは小島さんの言葉を借りればC2Mとも言えます。

C2M(Consumer to Manufacture) : 受注生産で、「ユニクロ」が島精機製作所と組んだホールガーメント・ニットや「カシヤマ・ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」の短納期パターンオーダースーツが代表的なもの。究極は生産仕様をオンラインで送って消費者の目の前で製品化する3Dプリンター生産である。

こうした受注生産に近い形で商品が生産されるようになればもはや消費者はブランドの一部であり、立派なデザイナーと言えるのかもしれません。



【第3章 国内外の事例】


この章では、アメリカと日本でのD2Cブランドの事例を紹介していこうと思います。

3-1. Casper

Casperは2014年ニューヨークにて創業。立ち上げから2年で100億円という驚異的な売上高を叩き出したマットレスブランドで先日IPOを果たしました。同社は「顧客と繋がった初めての睡眠ブランド」と自らを呼び、100日間無料トライアル、10年保証の付加サービスなどが特徴的です。

例えば、睡眠トラッカーアプリや睡眠をサポートするチャットボットなどを開発してデジタルな接点を確保しつつ、多くの実店舗やトレーラーやポップアップによってリアルな顧客体験も充実させています。また雑誌「WOOLY」を発行するなど睡眠を軸に様々な角度でビジネスを実施するD2Cの代表格である。

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一方で、2019年の7月から9月の四半期でネット売上が$128M(約128億円)で前年同期比で約+25%となっていますが、その内訳は売上を100とすると、製造原価が49.3%、グロスマージンが50.7%になり、さらに営業マーケティング費用が約35%、販管費が33%かかっているため、営業利益率が-17%になっている。というのが、Casterの現在の実態かと思います。

現在では、大手小売のTargetでCasperが販売されているなど、もはやD2Cブランドではないと言う方もいます。ある程度まで成長したD2Cブランドがその先、どうグロースしていけば良いのかはまだ未開拓であり、その一つの答えをCasperは今後見せてくれるかもしれません。


3-2. Quip


Quipはサブスクリプション型の電動歯ブラシD2Cブランドです。ビジネスモデルの中心は3カ月毎の定期購入のコースです。ユーザーはまず40ドルを支払い、電動歯ブラシの本体とヘッド、歯磨き粉からなるスターターキットをオーダーします。そして本体カラーは8色の中から選ぶことができて、スターターキット購入以降は3カ月毎に10ドルでサブスクリプションすることで新品のヘッドと単三電池、歯磨き粉が送られてくる仕組みになっています。

また全米数千の歯医者のネットワークを持つ「Dental Connect」というサービスも開始しています。これはユーザーに定期的な歯科検診を促して、ローカルの提携歯科医院にQuipユーザーを向かわせることによって、ユーザーが何らかリワードを貰えるという仕組みになっています。

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個人的にはこのスタイリッシュなデザインだけでも少し面倒な歯磨きが楽しくなりそうで買う価値がある気がします。ちなみに一部では歯ブラシ界のテスラと呼ばれているそうです。


3-3. Minimal

Minimalは、自社でカカオ豆の仕入れから製造までを一貫して行うチョコレートの製造法Bean to Barのチョコレートブランドです。

Minimalのチョコレートは余分な添加物を使わず、
「豆に砂糖を加えるだけ」という必要最小限の成分でつくられます。
今までのチョコレートが、味や香りを「足し算」で加えていくものならば、
Minimalは、チョコレートを「引き算」して日本食の発想で再解釈しています。これまでの大量生産のために最適化された製造工程ではなく、
“素材最適”にチョコレートの製造工程を見直して「リ・エンジニアリングする」という姿勢で挑んでいます。
https://mini-mal.tokyo/pages/story HPより引用

Minimalの特徴はカカオ豆の仕入れから消費者に届けるまですべて手がけていて、特にカカオ豆の“香り”にこだわったチョコレートを製造してします。そして豆ごとに最適解を探し、最も香りを感じられる6~10倍の粗さに豆を仕上げるなど、独自の製法を編み出しています。今までカカオ豆の産地や品種を関係なく様々な豆を混ぜ、高熱で焙煎して大量の生地を作ると言った大量生産大量消費の中でチョコレートは生まれてきたが、Minimalはそこに一石を投じたブランドなのです。

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(出典 Bace資料)

またMinimalのもう一つの特徴としてブランディングがあげられると思います。D2Cの特徴として世界観を伝え、イミ消費を促すことを挙げましたが、そういった点で、Minimalは秀逸なブランドであると思います。
まず世界観を伝え、ファン作りを促すイベントが多いです。そして店舗もパッケージも極めてクールな印象です。

ブランドについては代表の山下さんがnoteをたくさん書かれているので、そちらを参照するのが良いかと思います。


【第4章 最近のD2Cの動き】

第4章では最近のD2Cの動きについて紹介していこうと思います。

4-1. インフルエンサーのブランド立ち上げ

D2Cの中でも異質な存在かもしれませんが、個人的に最近大きく変化してるなと感じていているのが、インフルエンサーのブランド立ち上げです。主観では2、3年前にインスタなどで有名になった女子大生などの多くはYoutuberになったか、ブランドを立ち上げている印象です。

例えば、ミス青学でファイナリストに選ばれた中村麻美が立ち上げたブランドCACHECは初月の売上がEC限定で3500万を達成しました。

またさらにインフルエンサーによるD2Cブランド立ち上げを支援する企業も出てきたりしています。

そういった個人単位でどんどんブランドを創業できるようになった背景としてはやはりBASEstoresshopifyなどを利用して手軽に自社ECを作れるようになったことが要因の一つかと思います。特にBASEやstoresは基本ベースは無料で使用でき、決済のタイミングで数パーセント手数料を取られるだけなので、ハードルが低いです。個人的にもBASEを使用して物販した経験がありますが、送料の設定や割引、販促機能など多くのAPIがあり非常に管理が楽だったと感じました。

ちなみに小嶋陽菜さんのファッションブランドのECサイトもBASEで作成されています。


4-2. 大手小売の参入

最近では多くのD2Cブランドが大手小売店での販売に踏み切ったり、大手小売店と提携したりしています。大手老舗小売店のTargetはD2Cブランドにデータを共有するなど、D2Cブランド側にも配慮をしながら多くのブランドと提携を進め、Harry’s、Quip、Flamingo、Casperなど多くのD2Cブランドを商品を店頭に並べています。

またアメリカ最大の百貨店NordstromでもWarbyParkerやAllbirdsをはじめとする多くのD2Cブランドの取り込みを開始しています。

そして米内で5,000店舗超を展開するWalmartはBonobosを買収するなど、D2Cブランドを次々と買収することでデジタル戦略を進めようとしています。

D2Cブランドにとって顧客とダイレクトに繋がれることはもっとも大事なことではあるが、さらなる顧客層拡大、スケールの拡大をするためには、すでに全国で店舗が展開されている大手小売店の力を借りることは選択肢の一つとして上がるのは当然かと思います。こういった大手小売店で販売するという流れは日本ではまだあまり一般的ではありませんが、近い将来この流れが日本にも訪れることでしょう。

4-3. 大手メーカーのD2C化

小売店だけでなく、メーカーも最近のD2Cブームを黙って見てはいません。大手消費財メーカP&Gも次々とD2Cブランドを買収しています。
ざっとあげるだけでもFirst Aid Beauty (スキンケア)、Snowberry New Zealand (スキンケア)Walker & Company (ヘアケア等)、This is L (生理用品)、Native Cos (自然派デオドラント)などがあります。

P&Gの最高ブランド責任者マーク・プリチャード氏は以下のように述べています。

eコマースとD2Cは伸びている。大手ブランドがより機敏になるには、小規模(ブランド)が助けとなると、我々は考えている。そして、大手ブランドは小規模がより早く成長する助けができる

またワコールも近年ミレニアル世代の支持を高めつつあるD2CブランドLIVELYを買収しました。

今後はますます大手メーカーによるD2Cブランドの買収や小回りのきくD2Cブランド立ち上げが活発になっていくものと思われます。

【第5章 今後予想される展開は?】

5章では今後予想されるD2C領域の展開について自分の考えを書いていこうと思います。

5-1. Amazonによる侵食

今の時代、ものを売る上で常に話題に上がるのが巨人Amazonです。しかしECも含め、ブランド世界観や顧客体験を何より大事にしてきた多くのD2CブランドにとってAmazonとの提携には否定的です。理由としてはAmazonの現状のUXでは適切にブランドを伝えていくことが困難で他ブランドに埋もれてしまったり、データを得ることができず、デジタルファーストから逸脱してしまうといったことなどが挙げられます。

もちろんAmazon側も黙ってはいません。

AmazonはAdobeと共に、D2Cストア「Magento Branded Stores for
Amazon Sellers」
を発表しました。MagentoとはAdebe傘下のECサイト企業でありshopifyやBASEのような独自のECサイトを作ることができます。そして「Magento Branded Stores for Amazon Sellers」では商品の受注から決済に至るまでの業務全般に渡るAmazonのフルフィルメントやクラウドのAWS、Amazon Payを独自のMagento上の独自のECサイトと連結させることができます。

またAllbirdsなど多くのブランドのECサイトを支えているshopifyとAmazonが提携するなどといったことが仮にあるとするならば、一気にAmazonによるD2Cブランドの侵食が進むと思います。


5-2. 動画を活用した世界観作り

こちらのnoteで各SNSのフォロワー等が綺麗にまとめられていたのですが、特に私が注目した点はYoutubeです。

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(https://note.com/junsakurada/n/n274acb824230 上記noteより引用)

インスタなどと比べてYoutubeの登録者が予想以上に少なかったのです。ブランドの世界観やストーリーを伝える手段として動画の持つポテンシャルは図りしれないと思い、今後はD2Cブランドが一気に動画に注力していくと思われます。

動画で世界観を伝えると言う意味では北欧、暮らしの道具店は動画に注力している唯一のブランドかもしれません。

北欧、暮らしの道具店はYoutube上で短編ドラマまで作っているのです。一回見ていただければ、すぐお分かりになると思いますが、写真だけでは何ヶ月もかかってしまうであろう世界観を伝えるというフェーズを、ほんの数分で達成してしまっています。ユニクロでさえ3万人強しかおらず、上記ランキングで1位のGlossierでも15万となっている登録者数ですが、北欧、暮らしの道具店は同じく15万人の登録者をすでに獲得しており、今後もハイペースで増えていくことでしょう。

つまりここで述べたいことは既存のD2Cブランドはまだまだ動画を活用できておらず、無限の可能性があるということです。そして個人的には、ブランドの世界観を最大限含ませたドラマを製作して、Netflixなどで配信するような事例が出てくると予想しています。

5-3. すべてがD2C化する

現在ではファッションやフードの領域を中心に次々とD2Cブランドが誕生しましたが、今後はすべてのものづくり領域でD2C化が進むであろうと思います。単に質や機能が良いだけでなく、しっかりとしたブランドの世界観があり、よりサスイテナブルで、個人にパーソナライズされた製品を小ロットで生産できるD2Cブランドがどんどんシェアを伸ばしていくと考えられます。こうした未来は、ものづくりとしての歴史と伝統、ノウハウが溜まった日本産業にとって、追い風のように思えます。大量生産ではなく、目の前の顧客のためによりエモい製品を作るD2Cブランドが日本からたくさん生まれることを願っています。


各SNSでシェアしていただけると次のモチベーションになりますので、ぜひお願いします。





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本業は外資系企業で新卒社員 / 学生時代にファッションブランド創業 / 趣味はカメラ
コメント (9)
恐ろしく長かった~ 何千字ですか~? と、とても勉強させていただいた読み手!

書き手はそれに数倍して大変であったろうに~ ありがとうございました!
CharentaiseGymCom->
1万字は超えてたと思います笑 長いですよねw
読んでいただきありがとうございます〜
記事、すごく参考になります!
「スキ」のメッセージ見て、ついつい書いてしまいました…。

変化の波を嗅ぎ分けた人が、どんどん進んでいくのかなと。
どの業界にも起こりうることなので、
自分の仕事にもこの流れを活かしていきたいと思います。
ひょいっと見にきたら、夢中で全部見てましたw
桃太郎さん->
読んでいただきありがとうございました!D2Cの流れはいろんな分野での学びを得られると思いますので、ぜひ参考になればと。
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