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その他(2010〜2019年)

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2010年から2019年に書いた記事など
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2022年9月の記事一覧

クラウドを支える技術の重要性 (2011年5月) 三菱電機技報

クラウドを支える技術の重要性 (2011年5月) 三菱電機技報

 クラウド・コンピューティングが情報処理のパラダイムを変えようとしている。おそらくこれに異を唱える人はほとんどいないだろう。しかし,クラウドを支える技術の重要性については意見が分かれる。ITのコモディティ化の進展によって,技術はもはや重要ではないという専門家がいる。たとえば,次のような主張である。

 ハードウェアは完全にコモディティ化しており,数万円で十分パワーのあるIAサーバを手に入れることが

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ソフトウェアのコモディティ化 (2010年9月)

ソフトウェアのコモディティ化 (2010年9月)

IT Doesn’t Matter

 もう7年前になるのに、今読んでも”IT Doesn’t Matter”に古さは感じられない。この論文は、ハーバード・ビジネス・レビュー2003年5月号に掲載されたもので、著者はニコラス・G・カーである。
カーは、この翌年にこの論文をベースにして”Does IT Matter”という本を出版している。この本は2005年に日本語に翻訳され「ITにお金を使うのは、

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新しい開発手法への期待 (2010年1月)

新しい開発手法への期待 (2010年1月)

システム開発遅延の原因

 現在、日本におけるソフトウェア開発プロジェクトの大半は、ウォーターフォール・モデルで行われている。ウォーターフォール・モデルとは、ソフトウェア開発の工程を(1) 要求定義、(2) 設計、(3) コーディング、(4) テスト、(5) 保守のように分けて、それらを順に実施していくという手法である。

 最初にきちんとした計画や設計書をつくり、それに従って実行するという方法で

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「ウォーターフォール・モデルは間違いだ!」 (2009年8月)Agile Japan2010用

「ウォーターフォール・モデルは間違いだ!」 (2009年8月)Agile Japan2010用

シンプルで美しい方法

 現在、日本におけるソフトウェア開発プロジェクトの大半は、ウォーターフォール・モデルで行われている。ウォーターフォール・モデルとは、ソフトウェア開発の工程を(1) 要求定義、(2) 設計、(3) コーディング、(4) テスト、(5) 保守のように分けて、それらを順に実施していくという手法である。
 最初にきちんとした計画や設計書をつくり、それに従って実行するという方法であり

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超高速開発に期待するもの (2014年12月)

超高速開発に期待するもの (2014年12月)

 我が国の情報システム開発の多くが、契約は定額請負方式、開発はウォーターフォール型で行われている。特に大規模な情報システムの場合にはそのほとんどが、このスタイルである。これには大きな問題が2つある。

 第1に、要件定義からシステムの完成までにかなりの期間を要するため、システムが完成した時のユーザ・ニーズが開発着手時から変化しているという問題がある。

 第2に、もし要件定義に間違いや誤解があ

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クラウド・コンピューティングの現状と課題 (2014年10月)CIAJジャーナル

クラウド・コンピューティングの現状と課題 (2014年10月)CIAJジャーナル

クラウド・コンピューティングとは何か

 クラウド・コンピューティングとは、インターネット上のどこかにある計算資源(リソース)を利用して情報処理を行うことである。人によって、あるいは企業によって定義が異なるが、米国の国立標準技術研究所(NIST)は、以下のように定義している。

 この定義にある「基本的な特徴」と「サービスモデル」、「実装モデル」については後で説明するが、この定義に従えば、Gmai

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