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【25年のカメラ機材史】フリー1年目でナショナルジオグラフィック表紙を撮ったフォトグラファーがどんなカメラをどう使ってきたか?📷🌸

 どうも、晴れ男☀️フリーランスフォトグラファーの花井亨(@toruhanai)です。東スポ-ロイター通信と報道業界の対角線をあゆんで25年。2019年フリーランス独立1年目でナショジオ表紙撮りました。

 1996年に東京スポーツ新聞社に入社して貸与していただいたカメラはニコンF4Eでした。2台のボディと2本のレンズを手にした時の感動は今でも忘れません。学生時代からニコンを使っていたのでカメラに馴染みはありましたが、フィルムを巻き戻した時にベロを巻き込まないようにする(素早く現像するために、ベロ出し作業短縮のため)「ベロ出し」改造を施してあり、黄色い「プロスト」(プロフェッショナル・ストラップ)と共に、これがプロの機材なのかと、その重さを感じた事を思い出します。その後、F5となったフィルムカメラと同時進行でデジタルカメラ使用し始めました。

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 はじめて仕事で使ったのはフジフィルムとの共同開発のニコンE2N(130万画素)と言うカメラでした。その後、D1、D1Hと進化して行きました。
 その頃は社の方針でフィルムとデジタルを併用していました。急ぐものはデジタルで撮り、急がないものはフィルムで残すと言う事でしたが、この方針は何とも現場泣かせです。なぜなら、急ぐかどうかは撮影が終わった後に決まるからです。そういった意味でも当時のカメラマンには「予測能力」が求められていました。
 D1Hが出た頃にはカメラはデジタルのみになり、同時にカメラマンの荷物にPCが含まれるようになりました。PCはニコンとの相性から東芝のダイナブックでした。

 2005年にロイター通信に移り、機材はキヤノンに変わりました。レンズの回転方向が逆になり、特にショートズームでは持ち変えた直後の瞬間的な撮影ではじめはよく失敗していました。当時はキヤノンがシェアをリードしており、憧れのフォトグラファーの方と同じ機材を手にする喜びを噛み締めていました。
 EOS1Dから1D Mark II -Mark Ⅳ -5D Mark II - 5D Mark III、そしてEOS1DX - 1DX Mark IIとカメラの進化のスピードは早まり、撮影技術は操作技術や設定技術の重要性が高まってきました。

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 フィルムからデジタルに変わった頃(概ね21世紀になったあと)から、写真が写っているのは当たり前で、大事なのは「何をどう撮るか?」と言うことに変化して行きました。私はこれがデジタル化の最大のメリットだったと思っています。
 少し解説すると、フィルム時代は撮影フィルムを現像してネガを見るまで、上がりが分かりませんでした。ところがデジタルになり結果がすぐに分かるようになると、限られた時間の中で、どんどん新しいチャレンジができるようになりました。流し撮りやズーミングなどなどのテクニックもフィルムのコストを気にする事なく、いくらでも出来ます。確実に撮れたのをその場で確認できれば、あとは全て新しいことへのチャレンジに費やすことが出来ます。このチャレンジが「何をどう撮るか?」と言う写真の表現の幅を大きく拡げました。

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 2019年にロイター通信を退職して、フリーランスになりました。ずっと会社からの機材貸与があったので、初めて自分で機材を選ぶ事になり、私はソニーを使わせていただく事にしました。決断に至った理由は大きく2つです。

📷 ソニーがカメラの心臓部であるイメージセンサーに関して、大きく業界をリードしている事。
📷 無音シャッターでローリングシャッター現象(画像が歪む現象)の無いカメラはソニーしかない事。

 他にも理由を挙げればキリがありませんが、この2点がソニーの機材に変える事を決めました。最初こそ「一眼レフじゃないんですね?ミラーレスに違和感が」と言う方もいました。ところが気になる、バッテリーの持ちと液晶ファインダーの精度は間違いなく時間が解決しますが、逆に軽さや無音シャッターのアドバンテージは決して埋まる事はないと思います。おそらく東京オリンピック(延期されてしまいましたが)が終われば一気に一眼レフからミラーレスへの世代交代が進みます。と言うより、あと数年で一眼レフが懐かしのクラッシックスタイルのカメラになるのではないかと思っています。

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 デジカメと携帯、スマホの進化と普及とともに街にはカメラが溢れ、国民総カメラマンの時代とも言われています。これは私たちの仕事のカタチをも変えました。報道機関は事件、事故、災害などのニュースが起きれば、そこに居合わせた人が撮影した映像・画像を探します。今はTwitterなどでリアルタイムで一般の人からのニュース写真が世界を駆け巡ります。街中に張り巡らされた、防犯カメラが良くも悪くも、人々を撮り続けます。
 その場にいた人よりも、後に現場に着くフォトグラファーが何をどう撮るか?カメラの進化とともに「撮り手」も進化しなければなりません。写真にはまだまだ私が見えていない、可能性が無限にあると思います。それを探す旅。まだまだ先は長そうです。


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