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主体性のない、体感を失ってしまった男は平気で過剰反応するし、そのことに金輪際気がつけない。団塊的な物知らずで、平気でそれが罷り通ると思っている枯尾花の正体はたいがいこれ。橋本治『革命的半ズボン主義宣言』からスタート。〜橋本治な覚書(1)。

まあでもこれがいまだに通用してしまうところに、事態の
情けなさはあるよなあ、な文章からスタートしてみる。

体感を失ってしまった男は、実は一杯いるのである。主体性のない男は平気で過剰反応するし、そのことに金輪際気がつけない。

(中略)

原初の体感に殉じたまま、現在の状態が判断不可能になっている、そういう男は実に実に多いのである。そこまで男は官僚なのだ。

橋本治『革命的半ズボン主義宣言』
(河出文庫版,1991)p136

これと最近のtogetterの記事が対になってしまうあたりが、
ホントに世知辛い。

基本週1〜2で在宅勤務してたんだけど、もちろんチーム内の了解取ってるし、状況見てフル出勤の週もあるのに上司から手のひら返された話 - Togetter

ぬこ3y&1yワーママ 
@nuko_hibinomemo

ここでさ、チームの上司から、業務状況的に出勤しろ在宅勤務こまるって言われたら、そりゃ出勤するよ。出勤が基本の職場だからな。

「育児の兼ね合いで在宅したいよね?状況みてどんどん活用してね」って言ったの誰だよお前だよ。

人の言葉使ってくんな

  2024-05-29 17:16:51

ホントに、意味のない義務感、というものほど人を狂わせる
ものはない。

橋本治『革命的半ズボン主義宣言』
(河出文庫版,1991)p167

そうした普遍的な即時性のある言葉がちゃんと見つかるのも
また橋本治のコラムではある。
(当然そこには勿体がいろいろついてるから、これを理解できない人には
消化が出来ないのでね。そこは注意されたし)

日本の男における“夏の暑さ“という体感の喪失を考えていくと、
どうしても“大学出““銀行員““官僚““高度成長“という、
戦後日本の民主化を支える四大要素の複合汚染の話に話は進むのである。

橋本治『革命的半ズボン主義宣言』
(河出文庫版,1991)p120

なもので、応用編的に以前このロジックで典型例を書くこともしましたが。橋本治『革命的半ズボン主義宣言』にはその
最終結論がはっきり書かれている。

Q.現代とは?
A.とりとめなく現在は流れる。

 禅問答のようですが、このニ行で、全部が分ります。
 分らない人間は現代に生きてないんだからしようがない。
そういう人達は別に現代、というものを分る必要はないの
であぁる、といういとも簡単な結論も出ます。

橋本治『革命的半ズボン主義宣言』
(河出文庫版,1991)p10

団塊的な物知らずで、平気でそれが罷り通ると思っている
枯尾花の正体はたいがいこれ(現代に生きてないんだから)
なんだな、と。


で、この『革命的半ズボン主義宣言』から四方に枝分かれしていくのが橋本治のテリトリーですが、『貞女への道』を伝うと少女まんが評論の礎になる『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』へ向かう。
(これはやれればのその1)

最近大和和紀と山岸凉子がタッグを組んで北海道出身の
漫画家の動きは熱いのですが、その配剤と連綿が北海道教育大出身の
市川春子『宝石の国』まで伝わっていることを示す一端を
『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』の山岸凉子論でも
描いていて、ここだけでもちょっとぞくぞくする。

作者山岸凉子は伏線の張り方が実に達者な作家であり、余分
な所に余分な人間を登場させることはまずありえない。

橋本治『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ(上巻)』
(河出文庫版,1984.02)p189

なお、私が持ってたのは前編後編表記だったので、その初版
が出た年次を記してはみたが、写経ノートは上巻下巻の表記だったので、
一応そちらの表記に準じます。


ここ(『革命的半ズボン主義宣言』)から『恋愛論』に
向かうと『ぼくたちの近代史』に向かって、これは結局
『貧乏は正しい!』を通じて『わからないという方法』
なんかの集英社新書本に至るのかと。

でも「ばかぼんぼん」が「いかに空とぼけて疎い」ってことが
罪深いものなのかは「過疎」の本来の意味・意義を過剰に無視
している一面において、たぶん紛れもなく罪深いなの、だろう。

「過疎化」はあちこちで頻発しているけど、人口が密集している
地域に住んでいたとしても「ばかぼんぼん」が「過剰に疎(うと)い」
とそこから自ずと「過疎」が一層進む、ってこともあるにはあるのだ。

「Neutral(ノイトラール)」は「中立」というよりは「どちらでもない」。
でもないでもないないでもない。|torov

こと距離の詰め方として東京がある意味健康的
なのはこの類の「お徒歩(かち)行為」が
交通網の発展と阻害のなさに基づいて、
未だに健在な部分に宿っている何かがおそらく
あるのだと思う。


ここ(『革命的半ズボン主義宣言』)から『風雅の虎の巻』に向かうと
大概は歴史文学に向かうのでここは研究者沢山
いるし、『絵本徒然草』(立川志の輔が兼好法師やってた
薄謝協会の「徒然草」編原作)や『源氏供養』くらいなら
戦えそうだけど、こちら方面へは当面行かない。

まあ橋本治の小説はあまり読んでないけど、漢字テストで
最難関だった語句「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」が
何かはわかったし、「窯変源氏物語」で頻発した語句
「齎(もたら)す」の漢字は書けるようになった、ってのが
まあ初歩的な「橋本治の文章を読んで」身についた成果の一部
ではある。


 で、『江戸にフランス革命を!』方面に抜けるものとの
対立軸にあるのが「89」で、これから集中して書いていこうかと思うのは、それ以降の「90's」「ああでもなくこうでもなく」の連作時代観察者の
時代(広告批評の巻頭時評)シリーズからその後に至るまでの現代時評を
メインで綴って行くことになるかと。
 習作としてはこの記事の路線でラインになるかなと。

探究学習を続けていくと、探究対象も次第に推移していく。
ならばそのあたりをまた少しつまんでみますか。あの話の
その後の推移「探究学習の、その続き」。|torov


橋本治『革命的半ズボン主義宣言』からスタート。〜橋本治な覚書(1)、でした。





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