ふぉんでゅ。

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最近の記事

日向坂46「四期生ライブ」感想。

 2024年8月27~29日に日本武道館で開催された日向坂46四期生による単独公演3Days。  千秋楽のダブルアンコールを除けば、セットリストの最後に配置されていたのは彼女たちの始まりの楽曲『ブルーベリー&ラズベリー』だった。  『ブルーベリー&ラズベリー』といえば、そのMVが公開されて初めてそれを観たときに、自分の目にはメンバー全員が同じように見えていた。全体がぼんやりとしていた。似たようなスタイリングと、統一された衣装。全体的に個々の見せ場は控え目で、なんというか抑揚

    • コミックマーケット104、サークル参加感想。西配置のムズカシサ。

      会場内を適当にフラつき、なんとなく見本誌を手に取り、ぱらぱらとページをめくって、なんか雰囲気おもろいすね、と購入する。 自分らのような、所謂マイナーどころのジャンルでニッチな同人誌を頒布する小規模サークルがコミックマーケットという場に期待するのは、こういうタイプの参加者との偶然的な出会いだと思う……のだけど、残念ながら今回はそのムズカシサを突きつけられる形になった。 ここ数回のサークル参加について自分の記憶を振り返ると、総頒布数の半分、とまではいかなくとも、1/3程度はこ

      • 「櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム」感想。

         逆向きに時を刻む時計と、浮かび上がる「Go on back?」の文字。  東京ドームの中央にひとり登場する山﨑天が右腕を高く掲げる。手の先は櫻ポーズから、グループの始原、そして彼女自身の始まりを想起させるポーズへと変化する。コインを天高く放り投げ、一曲目『何歳の頃に戻りたいのか?』から、ライブ本編の幕が上がる。  2024年6月15,16日に開催された「櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム」は、同年3月

        • 作品という鏡に映して見る、櫻坂46の今。

          2015年に欅坂46として始まり、5年後に改名し、そこから数えて4年目となる2024年の櫻坂46。このグループが歩んできた道のり、そして現在の立ち位置を、作品(=表現)という観点を中心に一本の流れとして捉えていくとき、私たちはそこに「近代」およびその地続きにある「今」という、喧噪の時代のうちで揺らぐ現実の人間たち、つまり私たち自身のすがたを映し見ることができる。 通底するのはアイデンティティに関する問題。我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか。 書こう

        日向坂46「四期生ライブ」感想。

          「齊藤京子 卒業コンサート」「5回目のひな誕祭」。どのような姿勢で、その先へ。

          「齊藤京子 卒業コンサート」と「5回目のひな誕祭」2Days。 横浜スタジアムで三日間にわたって開催された日向坂46のライブに通しで参加して、自分が思ったこと、考えたことについて。魅力的なことが行われていると強く感じた一方で、どうしてもチラついてしまう、坂道アイドルというシステムの根本に潜む「残酷さ」。 そういうことをフックに、今の自分の頭の中を少し、言語化しておく。 ~~ 誰の目にも明らかなように、東京ドームの地に立つという目標を達成した日向坂46は、以降、大きな原

          「齊藤京子 卒業コンサート」「5回目のひな誕祭」。どのような姿勢で、その先へ。

          櫻坂46『静寂の暴力』について。静寂の多義性と、その表現について。

          『静寂の暴力』を『サイレントマジョリティー』と重ねて咀嚼するというアプローチは既に多くのファンによって行われているが、自分も、それに乗っ取る形で歩みを進めていこうと思う。櫻坂46は過去(欅坂46)に扱った事柄について、異なる視座からの景色を描き、それを多層化する傾向があると感じていて、それはこの楽曲についても多分に当てはまると思うからだ。 表現者と観客。過去から未来へと一方向に流れていく時間的拘束のもとで、両者は常に変化する。「子ども」から「大人へ」。 であれば、同一のテ

          櫻坂46『静寂の暴力』について。静寂の多義性と、その表現について。

          櫻坂46における選抜制度を考える。バックス楽曲『油を注せ!』MV感想を含む。

          選抜制度の導入は、グループを、選ばれるメンバーと選ばれないメンバーに二分する。 この椅子取りゲームはメンバーに切磋琢磨しあうことを促し、それがグループ全体の質(平たい言い方)の向上に大きく寄与する一方で、負の側面が決して少なくない頻度で前景化することも明らかだ。数多の終わらない議論がこれまで行われてきていることから分かるように、この問題に関する意味合いや捉え方は多義的で、明瞭な着地点はおそらく無い。 今回はこういった話題について、言葉を転がし、整理してみたい。自分が十全に

          櫻坂46における選抜制度を考える。バックス楽曲『油を注せ!』MV感想を含む。

          櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に至るまでの1年間のキセキ。

          2022年11月8~9日開催「2nd TOUR 2022“As you know?”」ファイナル、東京ドーム公演2Days。自分としてはやはり、話をそこから始めたい。 菅井友香が櫻坂46のキャプテンとして立った最後の舞台。 チケットの表記はSOLD OUTだった。が、アリーナ席の配置はスカスカだった。スタンド席には暗幕が目立っていた。その時点での櫻坂46の立ち位置が如実に表れていた。 その1日目。本編を〆る楽曲『摩擦係数』が終了した直後、会場全体が緑に包まれた。 そし

          櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に至るまでの1年間のキセキ。

          櫻坂46『承認欲求』感想。現代に生きる私たちがデフォルト状態において抱えざるを得ない欠如について。

          現代に生きる私たち人間の大半において、「承認欲求」とは否定的であれ肯定的であれ、実に身近なホットワードであることは言うまでも無い。 他人から承認を得ることはとても気持ちが良い。 承認という快楽は多くのことを成し遂げる動機として十分値すると思われるし、実際、承認の連鎖を軸にして活発な活動をしている人間は少なくない。承認の肯定的な側面である。 しかし、そこには危険が伴っていることを付け加えねばならないだろう。具体例を挙げるまでも無く、承認を得る心地良さは承認への耽溺へと滑り

          櫻坂46『承認欲求』感想。現代に生きる私たちがデフォルト状態において抱えざるを得ない欠如について。

          櫻坂46の第二章について、「3rd TOUR 2023」を終えての感想。

          1stアルバム「As you know?」を引っ提げ、菅井友香の卒業をもって幕を下ろした「2nd TOUR 2022“As you know?”」。それが櫻坂46としての第一章、青の時代の余韻が良くも悪くも残る、難しい状態の締めくくりであったことは恐らく間違いなかったであろう。 全11公演が終わった今、思うのはそんなことである。 それまでの軌跡を振り返りつつ今後の地盤を固めんとした「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」、それを踏まえたうえで

          櫻坂46の第二章について、「3rd TOUR 2023」を終えての感想。

          最近考えていたことの総まとめと、櫻坂46三期生おもてなし会。

          最近考えていたことの総まとめから始めます。 ……まぁ、そういう感じの話です。 ・自分らしさ、個性、自由意志について 僕たちが生活している今、この世の中はどうやら、こういった類の概念をとても大切にし、絶対に侵されてはいけない確固たる存在として扱うことを当たり前とする傾向が強い。世界はその讃歌で溢れているし、つい先日公開された映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』は『僕らの「らしさ」が世界を救う』というキャッチコピーどおり、まさにそういったテーマを取り扱うものだった。

          最近考えていたことの総まとめと、櫻坂46三期生おもてなし会。

          櫻坂46『Cool』感想。

          櫻坂46、5thシングル『桜月』がついに発売。その中で最もピンときた楽曲『Cool』についてのアレやコレを少し書き残しておきます。 まず、シンプルな話。 MVのビジュアルがめちゃくちゃ好みでした。性癖すぎる。観ていてとても楽しいのが本当になにより。 舞台は薄暗いアメリカンダイナー(的な施設)。それ自体に内包されている明るい前向きなイメージと、MV冒頭に流れる陽気なラジオのナレーションが全体の閉塞感をこれでもかと際立たせている。そんな中、1番サビ前付近、宇宙服を着た本作のセ

          櫻坂46『Cool』感想。

          櫻坂46「2nd TOUR 2022“As you know?”」がただただ最高に楽しかった話。

          櫻坂46「2nd TOUR 2022“As you know?”」12公演が無事すべて終わりましたので、その話を書きます。 前回、前々回の流れを踏襲するのであればココは2年目の櫻坂46のことをずらずらと書くことになるでしょうが、とはいえそのためにはきたる「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」を待たねばなりません(そのイベント名はなんなんだよ)。 前回のnoteを読み返した際に感じた事として、全体の流れを書くのが楽しくなってしまい個々の細かい

          櫻坂46「2nd TOUR 2022“As you know?”」がただただ最高に楽しかった話。

          「今」の櫻坂46について自分が思うことをようやく整理する。 ~櫻坂46 1年目編

          前回のnoteにて今の自分が思う欅坂46についてのアレコレを書いたので、ようやく櫻坂46の話に移れる。 引き続き今回も主観全開。「私はこう見ました・思いました」というのを中心に進めていく。どうやったところでメディアというフィルター、自分というフィルターを通して変形された情報を、自分が切り取り、並べ、繋ぎ合わせ、さらには自分が選んだ言葉使いで言語化していくことにならざるをえないのだから、そこには客観性なんてものは存在しない。というかそもそも厳密な意味での客観性など確認のしよう

          「今」の櫻坂46について自分が思うことをようやく整理する。 ~櫻坂46 1年目編

          「今」の櫻坂46について自分が思うことをようやく整理する。 ~欅坂46時代編

          櫻坂46の話をしたいので、その前身である欅坂46の話をする。 まずは導入から。 2018年4月6~8日開催「欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」 自分が初めて欅坂46の現場に足を運んだライブ。2016年にデビュー曲『サイレントマジョリティー』のMVを見てから興味自体はあり、情報こそ追ってはいたものの、そのときは別の現場に通っていたため、自分の初現場はこのタイミングになった。理由は特に無くて本当に単なる思い付き、偶然。 そしてそこで披露されたのが

          「今」の櫻坂46について自分が思うことをようやく整理する。 ~欅坂46時代編