櫻坂46「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に至るまでの1年間のキセキ。

2022年11月8~9日開催「2nd TOUR 2022“As you know?”」ファイナル、東京ドーム公演2Days。自分としてはやはり、話をそこから始めたい。

菅井友香が櫻坂46のキャプテンとして立った最後の舞台。

チケットの表記はSOLD OUTだった。が、アリーナ席の配置はスカスカだった。スタンド席には暗幕が目立っていた。その時点での櫻坂46の立ち位置が如実に表れていた。

その1日目。本編を〆る楽曲『摩擦係数』が終了した直後、会場全体が緑に包まれた。

そしてアンコールが明け、菅井友香の卒業セレモニーが始まった。

『Overture(欅坂46)』が流れると同時に、大多数の観客の内で湧き上がった「何か」が放出され、それがどよめきとなった。会場が揺れた。

1曲目『10月のプールに飛び込んだ』のイントロが流れたそのとき、誰かの嗚咽、むせび泣く声をマイクが拾っていた。そのマイクはすぐに電源を落とされた。森田ひかるはステージにいなかった。

2日目。『Buddies』2番の冒頭、各々が自由にポーズを決める箇所にて、藤吉夏鈴は頭を下げ、その前で手を組み、観客側に祈りを捧げていた。


2022年、櫻坂46はこれまで毎年参加していた紅白歌合戦に初めて落選した。


2022年12月8~9日開催「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」。

この年のアニバーサリーは所謂ファンミーティングのような形式で開催された。そこでは、クリエイティブ面を中心に、櫻坂46において多岐にわたる役割を担うTAKAHIROが自らステージに立ち、自身が組み立てるパフォーマンスを軸に楽曲の解説、言語化を行う時間が設けられた。

選ばれた楽曲は、1stアルバム「As you know?」収録曲にして改名以降初めてナスカが作曲を担当した楽曲『条件反射で泣けてくる』および、デビュー曲『Nobody's fault』であった。

今までの欅坂というグループだったら最後、みんなから背を向けて奥の世界に入っていく。でも、そこから前を向いて未来を指していく。そこが新しい櫻坂のみんなから感じる魅力です。

そして、これからのその未来を作っていくのは、本当に、メンバーのみなさんと、本当に思うのは、ここにいるBuddiesのみなさんだと、本当に思っています。

なので、Buddiesのみなさんが、これがいい、こうなんだ、こうなんだ、と思ったら、その方向にメンバーは導かれていくし、メンバーもそれと呼応して私たちはこっちに向かっていくんだと、全部のストーリーを変えられる。ストーリーを作っていくのは、本当に、みんな次第。

過去は必ずある、今も変わらない、今も今日はある。でも、明日はみんなの手で変えられる。それをするための今日だ。それをするための今のみんなの集まりなんだよ。なので、今がすごく大事。この瞬間、すごく大事です。今日はこの場所に居させていただいてありがとうございます。一緒に櫻坂を応援していきましょう。

TAKAHIRO.「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」.2022/12/8

ひとつひとつの振りは、全部、実は与えられたものじゃなくて、メンバーが作っていく世界です。

そして、今回こうやって振りの内容をお話していますが、振り付けは生きています。実はこれは初めの形だけであって、メンバーがどんどん変えていってくれる。

たぶんライブに来ると、「あれ?この前とちょっと違う」。生きているんですよ。だから、面白い。だから、僕が話しても、メンバーがきっと成長させてくれるから、ここでそこにならない。ここが始まりになる。

あぁそこからどう変わっていくんだろう、って作ってくれるのがメンバーで、それを一緒に盛り上げて、一緒に形を作っていってくれるのがBuddiesのみなさん。

だからこそ、ライブが面白い。だからこそ、僕は、ずっと見ていたい。一緒に応援していきましょう。これからもよろしくお願いします。

TAKAHIRO.「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」.2022/12/9


そして年が明けた。

2023年は三期生の加入と、彼女たちを交えたうえでのリリースとなる6thシングル「桜月」、それを引っ提げて回る(グループ史上初となる)春開催のライブツアーから始まった。


三期生の加入について。

1月5日、ティザー映像の公開に始まり、個人Vlog、小分けにしたドキュメンタリー映像、未公開メンバーの満を持しての発表と、3月4日~5日開催「櫻坂46三期生おもてなし会」に至るまでの話題を絶やさないような、そして、観客側の意識を涵養するような綿密なプロモーションが組まれていた。

6thシングル「桜月」および、「3rd TOUR 2023」について。

6thシングル「桜月」の発売が2月15日。ツアーの期間が4月12日~6月1日。新キャプテン松田里奈体制による初の制作であり、初のライブツアーである。

MVのある楽曲のセンターに、そしてツアーにおける最重要ポジションに抜擢されたのは守屋麗奈と大園玲だった。言わずもがな、ともに研修生として活動した後、正式に配属が決まったメンバーだ。

ツアー本編は大園玲センター楽曲『Cool』で始まり、守屋麗奈センター楽曲『桜月』で幕を閉じる。

4月13日、東京公演Day2にて、11月25~26日「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」をZOZOマリンスタジアムにて開催することが発表された(同時に、今年は「W-KEYAKI FES.」を行わないことも発表された)。

4月30日、福岡公演Day2にて、関有美子が卒業した。

5月23日、神奈川公演Day1にて、6thシングルのティザー映像が流れた。

5月24日、神奈川公演Day2にて、突如『BAN』に三期生が合流した。なお、会場である「ぴあアリーナMM」は、およそ3か月前に「櫻坂46三期生おもてなし会」が行われた場所であり、三期生単独による『BAN』が披露されたその場所である。

5月30日、Youtubeにて、6thシングル表題曲『Start over!』のMVがプレミア公開という形で公開された。一期生と二期生全員が参加する初めての表題曲であり(活動を休止していた遠藤光莉を除く)、そのセンターに選ばれたのは藤吉夏鈴であった。

6月1日、彼女の出身地である大阪にて開催されたツアー最終公演が『Start over!』初披露の舞台となった。


6月28日、6thシングル「Start over!」が発売された。

特典映像には「2nd YEAR ANNIVERSARY ~Buddies感謝祭〜」「櫻坂46三期生おもてなし会」の映像が収録されており、先ほど引用したTAKAHIROの解説は本商品を購入すれば後追いすることができた。三期生の物語をこのタイミングで読み返すことができた。


2023年の夏、櫻坂46は新曲『Start over!』を最大の武器としながら、様々な舞台に乗り込み、数多くのライブを行った。ファッションイベント、夏フェス、そして海外。パリとマレーシアへ。

中には三期生が単独で乗り込む機会も設けられた。

7月15日「Japan Expo Paris 2023 Sakurazaka46: Showcase」

7月23日「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2023」

8月7日「IDOL RUNWAY COLLECTION Supported by TGC」

8月12日「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023」

8月19日「Japan Expo Malaysia 2023 / Sakurazaka46 First Live in Malaysia」

8月27日「ラヴィット!ロック2023」

9月30日「Rakuten GirlsAward 2023 AUTUMN/WINTER」


また、それと同時に、グループ初の展覧会「新せ界」が開催。展示の中心は企画書や絵コンテといったクリエイティブ面の裏側で、メンバーひとりひとりが抱く今後のヴィジョンを展示する区画も用意された。

フェスのようなアウェーの場所でもっと戦ってみたい。
心が折れるのかもしれないけど
そういう場所にも
チャンスが転がっていると思う。

田村保乃.「新せ界」

個人としてやりたいこと、と聞かれると
今は考えていない。
みんなと一緒に並んで歩いていきたいだけで。

森田ひかる.「新せ界」

いつか自分たちの本当の力で
東京ドームに立ちたい。

守屋麗奈.「新せ界」


ところで、この期間の裏側では新たな制作が行われていた。

10月18日、7thシングル「承認欲求」が発売。

本シングルでは選抜制度が復活すると同時に、三期生が本格的に一期生二期生と合流した。表題曲『承認欲求』のセンターは森田ひかる。フロントには三期生の谷口愛季、山下瞳月が抜擢されており、さらには中嶋優月、村井優も選抜入りを果たしている。

そして、特典映像には「3rd TOUR 2023」が早くも収録。最新シングルを購入するだけで、最新のライブツアーを(一部カットされているとはいえ)摂取することができた。

また、三期生の活動機会に関しては、表題曲に選抜された上記4名に限らず非常に手厚い。

11月より、乃木坂46五期生、櫻坂46三期生、日向坂46四期生が単独公演をそれぞれ10公演ずつ披露する企画「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」が行われた/行われている。


その他、数多くの活動があったが、こうして、11月25~26日開催「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」にたどり着く。単独公演としては「3rd TOUR 2023」ぶり。実に半年ぶりだ。


極寒のZOZOマリンスタジアム。

蓋を開けてみれば、それは正真正銘の満員だった。

1年前、東京ドームで見たあの光景が想起された。

あれからの1年……

1曲目『Buddies』のイントロで、自然と視界が滲んでいた。


一期生、土生瑞穂は自信げに卒業していった。

活動を休止していた遠藤光莉が復帰した。


ライブの直前、11月13日。紅白歌合戦の出場歌手が発表された。

そこには櫻坂46の名前があった。

あれからの1年……


それにしても、それにしてもが過ぎるのではないか。メンバーの活動、制作に携わる人間の活動、運営に携わる人間の活動、ファンの活動、全てが上手く行き過ぎているように思う。

計画的にできるものなのか?いやぁそんなはず……

いまだに現実感が湧いてこない。ずっと夢の中にいるような、そんな感じがずっと続いている。

本当に、この2023年という年はなんだったのだろうか。

それは一時の狂乱に過ぎないのかもしれない。いや、そうでないのかもしれない。仮に狂乱だとしても、それが狂乱のまま持続し続けるのかもしれない。もしかしたら、狂乱すらも支配してしまうのかもしれない。そのとき狂乱は狂乱で無くなるのかもしれない。しかしもちろん、そうでないのかもしれない。

そういう意味では少し、心配しているところがある。

2023年を経た櫻坂46の2024年から目が離せないことは間違いない。

自分としては、それが「また」危うさに起因するものにならないことを切に祈るだけ。

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