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うたの日366

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うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。
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2020年6月の記事一覧

2020/6/30(うたの日366)

ふたりきりふたりきりでも夏の夜をぼくらはまるい輪になって歩く/雀來豆 (2016/5/24「歩」…

toron*
4年前
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2020/6/29(うたの日366)

対岸に亡き犬が居てこれは夢 来いと呼んでも来ないから夢/けら(2018/11/1「犬」) 対人間で…

toron*
4年前
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2020/6/28(うたの日366)

スカートを折るのがへたくそだったころ世界は綺麗な水色だった/ネネネ (2016/6/27「制服」)…

toron*
4年前
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2020/6/27(うたの日366)

「死んで」ってモールス信号送るからごきげんなリズムだと思ってて/櫻井 (2019/1/29「死」) …

toron*
4年前
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2020/6/26(うたの日366)

書き込みの多い楽譜を恥じている君はむくげの花に似ている/小宮子々 (2016/7/13「楽譜」) …

toron*
4年前
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2020/6/25(うたの日366)

雑草とまとめて呼んでたくさはらに不意にミントの香りただよう/遠木音 (2016/7/31「雑草」)…

toron*
4年前
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2020/6/24(うたの日366)

詩人らの数だけ創られる海のどこも鯨が座礁している/酵母(2020/1/18「鯨」)好きです。すごく強い短歌だと思う。フレーズで切り取ってもかっこいい。「詩人らの数だけ創られる海」というのは、何故か不思議な説得力がある。これは詩人が海を創るのではなく、詩人の数だけ海を創っている誰かがいるということなのだろう。軽率にそれを「神」として良いのかは解らないのだけれど、まずその存在に詩人として選ばれ、その後に海ができる。この序列に、「詩人」というのは後天的になるものではなく先天的なもの

2020/6/23(うたの日366)

とびうおが大気のほうへ飛ぶときの姿勢でつかめ死ぬまでの日々/藤 かづえ (2019/7/29「姿…

toron*
4年前
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2020/6/22(うたの日366)

なみだとは血と変わらない成分と知りつつふたり手を振っている/逢(2015/5/4「血」) そうい…

toron*
4年前
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2020/6/21(うたの日366)

ドーナツの穴から覗く街あかり東京よきみもひとりぼっちか/大葉れい (2014/10/1「東京」) …

toron*
4年前
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2020/6/20(うたの日366)

圏外になって始めたしりとりで生まれたゴリラと抜けるトンネル/ワトゾウ (2019/11/10「自由…

toron*
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2020/6/19(うたの日)

てのひらでガラス戸押せば押し返し街もわたしもまだ生きている/スコヲプ (2017/7/31「手のひ…

toron*
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2020/6/18(うたの日366)

常識が崩れ去る日の空は青 髭の剃り方忘れた父よ/朧(ろう)(2019/10/30「常」)上の句も下…

toron*
4年前
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2020/6/17(うたの日366)

まだ少し違和感はある 叙情詩のようなあなたの実家の雑煮/木蓮 (2019/1/14「抒情詩」) 雑煮×抒情詩の取り合わせが面白い。「叙情詩」が何か知らなくても(自分もそういえば説明できないな…と思って検索しました。「詩人個人の主観的な感情や思想を表現し、自らの内面的な世界を読者に伝える詩」らしいです)なんだか腑に落ちる比喩だと思う。また、雑煮についての描写がないのにどんな雑煮なのかイメージできる…自分は白味噌の甘い感じで、具が豪華な感じなのかと想像した。主体はそんな雑煮に「