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2020/6/20(うたの日366)
圏外になって始めたしりとりで生まれたゴリラと抜けるトンネル/ワトゾウ
(2019/11/10「自由詠」)
上手いなあ、と思う。圏外になる前は、きっとそれぞれスマホに没頭していたんだろう。そんなシチュエーションをすぐ思い描けるのと「圏外」からはじまり「抜けるトンネル」の転換がいい。また「ゴリラ」なのが力が抜けていて逆に絶妙だと思う。リンゴからのゴリラだったんだろうなってストーリーが浮かぶこともあるのだけれど、これ、ちょっと進展を見せた相手と一緒に「トンネル」を抜けるわけなのだし、それにしりとりなので、もっときれいな可愛いものを自在に選べるはずなのに敢えての「ゴリラ」なのがじわじわくる…トンネルを抜けたら見えないけれどもゴリラが一匹増えている構図も、急に増えたマスコットキャラ風で面白い。それでいて、このゴリラはそんなふたり(と決めて読んでいるけれど)の間を繋いだと解る下の句だと思う。深読みになるのかもしれないけれど、互いにスマホをいじる状況って、相手に興味がないというわけではなく、何を話したらいいのか解らない状況だからだった気がする。ひとりで潰す時間は上手くなっても、二人でする会話は相手の言葉の最後をとるすごく拙いものしかできない。でも、それでいて新たに見えたお互いの面があって、そういう場面の切り取り方がとても上手い歌だと感じた。
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