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2020/6/21(うたの日366)

ドーナツの穴から覗く街あかり東京よきみもひとりぼっちか/大葉れい

(2014/10/1「東京」)


ドーナツの穴を詠んだ歌、またはそこから覗いた歌というのはたくさんあると思うのだけど、これは下の句との組み合わせが良いなと思った。と、いうのも実際にドーナツの穴を覗いてはいるのだろうけれど、そこから東京の街が本当に見えているわけではないのだろう。…実際に見えていてからの呟きとしての下の句、とも勿論読めるのだけど、個人的には東京の街を幻視しているものとして読んだ。ドーナツの穴が「ひとりぼっち」同志を繋ぐための魔法としての役割を果たしていて面白い。ドーナツの中心の空洞は「東京」のイメージとも響き合っている気がする。
「きみ」は主体の特定の「きみ」かとも読めるけれど。まだ見ぬ「ひとりぼっち」に呼びかけれているのだと読んだ。けれども、「東京」という街を指して呼びかけている雰囲気もある。東京「都」ってつくのは東京しかないわけで、まずひとより先に孤独な街というか。
また、ドーナツの〇はふたつ並べれば∞に変わる。もし同じくひとりぼっちの相手も同じようにドーナツを覗いてて、新たなストーリーがはじまりそうな雰囲気も良いなと思う。


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