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「夜天一族」第三章「沈まぬ月の都」

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チャネリングファンタジー小説

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「夜天一族」全編完結

この作品の

初出しはアメブロでしたが
そちらで一年五か月掛かっての発表でした

小説ってそれもオリジナルであればあるほど
読者は限られてしまいフォロワー数が増えるとかそんなのはありませんでしたが
そんなの正直どうでもいいとさえ思います

要は
自分が投げ出さずに書き切った!

この達成感ともう完結目指して書くことが無くなるんだと云う執筆ロス
これらを味わえるのは作品作りを

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「夜天一族」完結章

「夜天一族」完結章

完結章 「彷徨う小鳥」サマヨウコトリ

月面都市空港「MOON CITY AIRPORT」から飛び立ち、ミクロトンネルを通過した高速シャトルの目前には美しい青い惑星が浮かんでいる。
「本当に美しい星ね。早く降り立ちたいわ」
窓の外に映し出されている青い地球にうっとりとユージニーが呟いた。
宙の漆黒に映える水を湛えた青く輝く美しい惑星が、自分達を歓迎してくれているようにも思う。
「ワクワクするでしょ

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「夜天一族」第十一章

「夜天一族」第十一章

第十一章 「銀河の中心にあるのはブラックホールの際限ない収縮」
ギンガノチュウシンニアルノハブラックホールノサイゲンナイシュウシュク

「お帰りなさいませ。菫青様。星葉様。本日はお疲れ様でございました」
「夜天家」月の邸に戻った双子を出迎えたのは、独り留守を護っていたオリオン三兄弟の一人ミンタカである。
「「ミンタカ、ただいま~」」
双子が同時にハモッた。
「「お帰りなさいませ」」
「「!?」」

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「夜天一族」第十章

「夜天一族」第十章

第十章 「天上の館」テンジョウノヤカタ

月を統べる月天人(テンジョウビト)がいる。
その聖なる領域は「月神殿」もしくは「天上の館」と呼ばれている。
月を信仰する者の拠り所として頂点に君臨しているが、その実情はいつ放棄してやろうかと四六時中考えているのである。
「ねぇ、王女?アタシ達ってば、いつここに来たのかしら?ここって月の裏側じゃないわよね。ってゆーかここ何処なのかしら」
目の前には巨大な山の

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「夜天一族」第九章

「夜天一族」第九章

第九章 「静かなる波の涯て」シズカナルナミノハテ

「ねぇ、コン兄。アタシ達、いつまで経っても最終目的地に到着しないのはどうしてかしら?」
長兄と遭遇して、一緒に月の女神の居城に乗り込むつもりで意識を集中させた。
ここ、月の塔は想念が具現化する場である。
それを信じて目標を定めたはずなのに、一向にたどり着けないでいた。
「さぁ?私に訊かれても理解し兼ねるが・・・ここがどんなところなのかさえ知らぬの

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「夜天一族」第八章

「夜天一族」第八章

第八章「魔法の言葉を唱えましょう」マホウノコトバヲトナエマショウ

天井を二つの睛が不思議そうに視詰めている。
「お兄さまとセイちゃんはナニをしてますの?それに月の貴公子までご一緒ですのね」
コザル王女が辿り着いたのは光りに溢れた空間であったが、天井部分に当たる上空では星葉とコザル王子と月の貴公子ことユージン・ムーンシャインが、ナゼか同空間にいるようだった。
「アラアラ」
コザル王女の隣りで同じく

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「夜天一族」第一章

「夜天一族」第一章

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第一章 「彷徨う小鳥」サマヨウコトリ

そう 夢を視ていた日を忘れないでいる

いつの日も最後の唄を

天上を走り唄声は駆ける

地上にはカミサマがいるのにさ

ナゼか女神の唄声だけが聴こえているのに

王様だけは余所を視ている

シナリオの始めはすでに出来ている

探る様に王は口を閉ざし

去りゆく今の現実は過去からのメッセージ

あなた達の愛は何処にあるのか ず

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「夜天一族」第二章

「夜天一族」第二章

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第二章 「月の聲が聴こえる」ツキノコエガキコエル

銀河に流れる唄声は月面のサテライトスタジオより各惑星に生中継されている。
ミクロトンネルの開通により惑星間の距離が縮まって等しい。
三次元地球も多少の次元上昇により、 他惑星との次元差がそれほど感じなくなっている。
年号が宇宙暦となり、今は昔の地球が西暦二千年代の頃に発達した動画投稿サイトがより進化したお陰で、 太

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「夜天一族」第三章

「夜天一族」第三章

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第三章 「沈まぬ月の都」シズマヌツキノミヤコ

月と地球間には次元を越えるためのミクロトンネルが存在している。
そのトンネルを通過することで、地球と月との次元移動が可能となっているため月の人間だろうが、地球の人間だろうがトンネルを越えれば身体は星々の重力に慣らされる。
二人を乗せた高速シャトルに月面空港到着を告げるアナウンスが流れた。
「着いたー!久しぶりのツッキー

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