私は初めて自分を表現することに熱中した
弊学デザイン科の授業である「価値創造デザイン演習Ⅱ」で、こんな課題を出されました。
「自分」を表現するロゴを作成してください
え、まじ。むずくね。
でも「自分」について考えることなんてそうそう無いし、学生時代だからこそやる意義があると思って全力で取り組みました。
この記事は、私が「自分」を表現するために経た思考のプロセスを詳細に記述し記録するために書きます。いつも以上に読者の方々にとって意味わからない部分も多くなると思いますが、私的には面白いと思っているので、是非最後までご覧ください。
第1週:私の頭の中はデザインのことばかり
授業だから、先生が考え方を導いてくれる。まずやったのは「私」を中心にしたマインドマップ。私といえば?を考えて考えて考える。
私はやっぱりデザインが好きで、なんやかんやデザインのことばっかり考えている気がした。
レトロ調が好きで、ヴィンテージが好きで、現代アートが好きで、宗教とか数学も好きだけど結局デザインに回帰する。そんなマインドマップが生まれた。
私はデザインもアートもサイエンスもエンジニアリングも好きだけど、やりたいなって思うのはデザインだったりする。なんか楽しいし。
そんな感じで、書きまくったら全部デザインに繋がったから、きっと私の頭の中はデザインのことばかり。
第2週:ロゴって何、どうゆうこと
マインドマップは簡単にして、とにかくデザインが好きなことがわかった。でも、ロゴの制約には使えるけど、コンセプトには使いづらい。だから、他に好きだった洋服とか、そっち系でロゴのラフ画を描こうと思って色々描いてみてた。
私はヨーロッパのドレスが好きで、なんとも言えないレトロな感じと、他の年代とは違う小物の使い方とかに魅了されてた。
だから、それをモチーフにしたくて、Pinterestで色々みてたんだけど、なんかいまいち私っぽくなかったからモチーフを禅に移した。
侘び寂びとかが禅宗からきてるから、私は漠然と禅に興味がある。京都の文化とか空間が好きで、和のテイストも好きだし、伝統を感じるデザインも好きだったから、他のモチーフにはちょうどいいかもと思って、色々描いてみたけど、これもなんか違った。私らしくなかった。
友達に聞いたら、私はいつもリュックにピカチュウのしっぽつけてるから、それをモチーフにしたら?って教えてくれたから、限界の画力でピカチュウ描いたり、しっぽが頭から生えてたりした絵を描いてみた。これも違う、私だけど私じゃない。
なんか出てこなさすぎて先生に相談したら、タータンチェックとかベクトルとかワードが出てきたから、色々調べたけど、私を模様なんかで表せないと思ったからすぐ飽きちゃって、色々お絵描きして遊んでた。
第3週:迷走する、走る、走る
とりあえず、授業の最初は自力で色々描いてみる。
私は紙に考え事を書くのが好きじゃ無いから愛用してるiPad ProでAutodesk Sketchbookを使って描いてた。黒もなんか黒くて嫌だから、私の好きなターコイズブルー的なので描いてた。
この日は、参考になればとバンクシー完全版、ファッションインジャパンの公式図録、レトロ印刷集を持っていった。
バンクシー完全版を眺めてて、私は何かを発信したり、自分の意見を誰かに伝えたいとか思うことが多いから、バンクシーがやってる政治的告発は、とても参考になると思って自分でも書き出してみた。
高校生の時に倫理を勉強した時に、私の価値観の一つが「個性の画一化への嫌悪」だと言語化できた。今でもそう。
だから、現代哲学で問題視され続けている個性の画一化をテーマにしようと思って、刺激的な絵をたくさん描いた。
でも、これも私じゃ無い気がして先生に相談したら、
私は「誰よりも個性的でありたい」という気持ちが「私らしさ」なんだ
ってことに行き着いた。
色々先生と話して、方向性が見えてきたぞ。
雲に隠れるくらい高みにあるとか、みんな一緒だけど私だけ違うとか、色々ビジュアルのヒントをくれたから、色々書き出してみた。
途中、地球じゃ私を表現できないから宇宙スケールで考えようってなった。
なんか、みんなは地についてるけど、私は飛んでるっていうのが面白そうだったから、限界の画力で宇宙飛行士を描いて、私を飛ばせてみた。
なんかいい感じな気がしてきて、色々描いてみたら、めっちゃ宇宙になった。ここで、「宇宙で飛んでる私」という思考がへばりついて、凝り固まって、まじで迷走する。
それでも、なんとなく、私らしさが言語化されてきたから、宇宙飛行士がいっぱい飛んでるこのキャンバスを先生に見せた。
やっぱり宇宙に凝り固まってるって言われて、先生に物理現象での表現とか模様での表現とか色々ヒントをもらって、全然違う観点でちょっと考えてみた。
第4週:降ってきた、人格
なんとなく、私が見えてきたころ。
この時の私は、なんだかいつもよりも個性的な気分だった。
前回もらったヒントを参考に、たまに好き勝手に動いちゃう模様とか、湧き出る飛ぶ落ちるとかの物理現象を描いてみたけど、なんか違った。
色々考えて、なんか「普通」って言葉に一瞬敏感になった。
最果タヒさんの「死んでしまう系の僕らに」の後書きに、こうあった。
「音痴で、絵が下手で、思ったように踊ることも出来なくて、それでもなにか伝えたい人が、使う道具が言葉であることを、私は知っている。」
「普通」に囚われている私に気づいた瞬間。
ロゴを考える、が必ずマークじゃなきゃいけないが普通なら、
ロゴをロゴにしないのが普通じゃない。
私はこの数週間、どんなビジュアルでも私とのギャップを感じてた。
多分、ビジュアル表現そのものと私が相性悪いんだって気づいた。
私は文章にしないと伝わらない。
だから、文章を描いて、それを私のロゴとすれば、いいのでは?
となったのだ。
こんなんで出していいのか。と思ってしまったので先生に確認、面白いって言ってたから多分いい感じ。
初めて私は、これが私だ。と感じた。
嬉しかった。
たくさん言葉が浮かぶ。それでも、一つに決められなかった。
先生に持っていったら、全部ギュッてするのに賛成してくれたから、私が考えた私の言葉を、一番私らしい言葉だけをギュッてしてロゴにすることが決まった。
なぜか、昔から縦長等幅の文字を書くことが好きだった。
何かを訴えたい時は、よくこの文字を書く。
今回のロゴ制作は、この自作フォントで挑もうと思う。
第5週:ただひたすらに言葉を編んだ
ラフが落ち着いたから、実際に制作をする。
授業時間で作りきれなかったから、実際のロゴ制作とプレゼンボードは空き時間を使って1週間で仕上げる。
この1週間、哲学者の友達に聞いたり、私の友達の中で一番感性が豊かだと思う先輩に聞いたりして、表現について試行錯誤した。
A3、A4で印刷してみて、印刷でも目立つようなインパクトのあるデザインのプレゼンボードを作りたかった。
私的には、ロゴの完成度よりも
「いかに私らしさが伝わるか」
だけを考えて作っていたからこそ、インパクトとか普通からの脱却という観点からのデザインが大事だったのだ。
イラレを開いてうんうん唸りながらやっていた。
ただ、ここは色々書いても伝わらないから、ここで作ったものを見てもらう。
意味がわからないけど、これは私だ。
こうゆうことだと思う、自己表現ってのは。
私は結構満足している。
私がこんなアウトプットも考えられるんだ、って思うと驚いた。
何より、自分の制作物に納得感があるというのが一番嬉しかった。
ただ、これが「授業の課題である」ということを考えると、ロゴとしての完成度が低いと考える人も、そもそも意味がわからないと考える人も多くなるし、評価は必然的に下がったとしても異論はない。
でも、お絵描きしたくて大学来てないし、私はデザインが好きだからこそ、お絵描きスキルで決まる成績とかをつける時点で大学そのものがナンセンスであると思う。
ただ、少なくともこの授業を担当してくれている先生は、この思考を含めて面白いねって思ってくれていることを実感しているからこそ、私が自由に考えて作ることができた。
とにかく、ここまで読んでくれた人に伝わって欲しいのは、
私は初めて自分を表現することに熱中した
という事実だけ。
制作を見てどう思ってくれてもいいけど、私がこんなこと考えたりしているんだなって思ってくれていれば嬉しい。
なんか、私の価値観をダイレクトに見てくれているという事実だけで私は嬉しいのです。
今まで、理解されないからって人を選んでいた私が、多くの人に伝わるかたちにしたことだけでも価値観が成長していると思う。
デザイン楽しいな。
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