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保健室を飛び出して、出前保健室を始めました

「あなたさえ生まれてこなければ、私は幸せだったのに・・・」
私の進むパワーの源は、母からもらったこの言葉です。

こんな言葉を言ってしまう人を、こんな言葉を言われてしまう子どもを、言葉にされなくても「自分なんていなければ・・・」と思ってしまう人を、ひとりでも減らしたい。
私はきっと、この願いを叶えるために、幼い頃も、そして今も、動き続けているんだと思います。

家が怖い、胸が苦しい、逃げ場がない

奈良県の田舎で育った私には2歳年下の妹がいました。
夜になると鳴り響く、両親の喧嘩の声。
怒鳴る父の声、叫ぶ母の声、
そしてお決まりの
「ドーン!!」と閉まるガレージの扉の音。

母はよく
叫び続けた後に、すごいエンジンの音と共に
家を飛び出していました。

2階の子供部屋で、それを聞いては、泣きじゃくる妹。
私は耳を塞いで、布団にもぐり、
繰り返される日常に、嫌気がさしていました。

保育園から幼稚園に変わった頃には
家が怖い、胸が苦しい、同じことがずっと続くということを
「仕方のないことだ」と、あきらめて過ごしていたような気がします。

外の世界では、教育者として素敵な顔をふりまき続ける母。
私には「生まれてこなきゃ良かった」と繰り返していましたが、
自分の生徒のことは、あれやこれやと、一生懸命に果てしなく話していました。

受け継がれてきた会社を継承するポジションにいた父は、会社を守ることが自分の全てだと思い、仕事と自分の一体化をしていました。
会社を守ることが自分の人生の全てだと、真っ直ぐに信じていました。

狭い地域で育った私は
「ああ。あそこの娘さんね。お父さんにもお母さんにもお世話になってるわ。」と、
キラキラママと、できるパパの家柄の娘として、
えこひいきをされることが多かったのですが、
私が見ている家庭の内情と、
世間が勝手に思い込んでいるうちの家庭イメージのギャップを感じすぎて、「人って表面しか見えない生き物なんだな。」と
世界を斜めから見るようになっていました。

学校でもそう。
「あそこの子どもさんかぁ。」と、家柄が分かられた途端に
優しくなる先生。

警察もそう。
すごく冷たい職務質問をされても、住所と苗字を答えると
「あぁ。お父さんって〇〇会社さん?」と
いきなり、質問をやめて、優しく見送るという、変わりよう。

人間のドロドロした部分を、幼い頃から、たくさんみてきました。

そして、父と母は、お互いの親族にまでも仮面をかぶっていたので
「こんなにいいお母さんと、お父さんなんだから、心配をかけちゃ親不孝だよ!」と何度となく言われました。

「家が辛いよ」
「喧嘩がすごくて、苦しいよ」
「逃げたいから助けて」
なんて言ったところで
誰も信じてくれないなぁ・・・と小学生で、はっきりとわかっていたのです。

だから私は
自分の役目に徹しました。

毎晩、母の愚痴を聞く役目。
「あの人と出会ったから、私は不幸になった。」
「あの人とさえ出会っていなければ、あんたさえ、生まれていなければ、私は、本当に好きな人と結婚してたはずなのに。」
「あの人、死んだらいいのに。生命保険で暮らせるし、そっちの方が幸せやわ。」
「ああ、あの人さえいなければ・・・」

これが毎晩、何周か繰り返されます。
私は、これを「うん。うん。そうやね。」と聞く役目です。

それを聞くことで、少しは喧嘩が減るなら、少しは怖い夜が減るなら、それは私の安心につながると、幼いながらに、考えていたのだと思います。

初めてのいじめと、初めての彼氏

私が人生で初めていじめられたのは
幼稚園の頃です。

今思えば、母親の影響で
幼い頃から「女の人が怖い」と感じていたのだと思います。

女の子が怖くて、自然と男友達が多くなっていた私に
幼稚園の女子たちは、厳しかったのです。

「女の子は編み物をするかピアノをするのが決まりなのに、ともちゃんはルールを守らずに、お外遊びをしている。だめやん。」という主張のもと、
私のお弁当のお箸が、トイレに流されました。

今の時代には、そんな性差別をする幼児はいてないやろ。と思いますが、30
年以上前は、女の子はピアノを習う。男の子は外遊び。のような暗黙のルールがあり(私の行っていた幼稚園ではそうでした。)、それを破ったことは「悪」であり、正すことは「正義」だという感覚があったのだと思います。

幼い頃から、どちらかといえば気の強かった私ですが、さすがに、お弁当を食べようとしたらお箸がなく、トイレに泣きに行ったら、自分のお気に入りのキャラクターのお箸が便器の中にあるのをみて、とても悲しくなりました。

けれど、本当に悲しかったのは、その後の話。
家に帰って、悲しさが残っていたので、いつもの「母の愚痴を聞く時間」に集中できなかった私。
そんな私の変化に気づいて母がかけてくれた言葉。

「どうしたん?なんか様子が違うね?」

お母さん・・・!やっぱり私のお母さんだったんだね!
心配してくれている。嬉しいな。
すごく悲しかったから言いたくないけれど、勇気を出して話してみよう!
と思って、お箸の事件を話しました。

すると・・・。

「あんたが悪いわ。そんなことされて仕方ない。」

そう言って、私の元から離れていきました。

え?

え?

え?私が悪いん?

幼い頃から、いろいろな角度で物事をみる習慣がついていた私にとって
私が「悪い」で終わることではない。
ということがわかっていました。
だからこそ、そう言い放った母に失望しました。

それ以来、辛いこと、しんどいことを
母に話したことはありません。

幼稚園のいじめをきっかけに
「母には何も話さない方が安全だ」と
学んだのです。

それから10年後
中学3年生になった私に
初めての彼氏ができました。

家には居場所がない。
優等生を演じていたので、学校では呼吸がしにくい。
そんな私にとって
「ともが好きだ。俺には甘えていいよ。」と言ってくれる彼氏との時間は
私が唯一、自分でいられるホッとできる時間でした。

幼い頃から、ずっと苦しかった世界が
やっと限られた時間だけは、自分らしくいられるカラフルな世界。

けれど
そんな世界を、そんな私を大切にしてくれる人を紹介したくて
母に会わせたことが大きな間違いでした。

母は八方美人なので、紹介した日は「いつもありがとう。」なんて
にっこり笑って、部屋にお菓子を出しに来てくれました。
けれど、帰ってからすぐ
「あんな、たこ焼きみたいな顔の子、どこがいいの?ママは気に入らない。」と言って、すごく馬鹿にされました。

その数日後、優しかった彼が、口を聞いてくれなくなったのです・・・。

そして、そのことに母が関わっていたということを知ったのは、数日経ってから。

「お前のお母さん、うちのお母さんに電話したらしい。家に来るなって。俺、おかんにそれ言われたわ。もう行けないし、俺もおかんに、お前とは会うなって言われてしまった。」

これは、私の人生でスタートに過ぎなかった出来事です。

私のつくった友達でも、母が気に入らないと
「うちの子とは遊ばないで」とこっそり連絡されます。

私が着たい服装でも
「ママは好きじゃないからだめ。ママが選んだこれを着なさい。」と。

習い事もそう。進路選択もそう。

究極の最後は、
初めて授かった、私のお腹の命が、流産してしまって落ち込んでいた日に
「よかったわ〜。私まだおばあちゃんになる気はないし、忙しいから。」と。

今では、自分の中では、これが全ていい経験だったと心から思えています。

こんな経験をしたからこそ、今の私の中には、いろいろな価値観や、アイデアの引き出し、そして、人の心の変化に素早く気付ける能力が身についたのです。

すんなりと、身についたのか?

そんなわけはありません。どうやって立ち直って、どうやって今に活かしているのかをゆっくりとお伝えしていこうと思います。

機能不全家族で育った人が生きづらさを抱える理由

「機能不全家族」という言葉を聞いたことはありますか?
私の人生がどなたかのヒントになればと思い、機能不全家族についてご紹介します。

機能不全家族とは、
ありのままの気持ちを表現でき、お互いが支え合うという「家族としての機能」がスムーズでない家族
のことを表しています。

私の育った家族は、まさにこの「機能不全家族」でした。

これまでの書籍では、親がアルコール依存やギャンブル依存症であったり、生活困窮状態にあるといったケースが多く語られていました。
けれど、必ずしも「機能不全家族=外から見ても問題がある家族」とは限らないのです。

他の人たちから見ると、「素敵なお母さん、素敵なお父さん、憧れの家庭」にしか見えないのに、機能不全となっている私の家のようなケースも多々あります。

そんな、機能不全家族の中で育った子どもは、感情や欲求を押し込めることを学び、それを身につけて生き延びて育っていきます。

外見は立派な大人であり、どちらかというとしっかりしていて、真面目、または頼れるように振る舞うことが得意なのですが、
心の中では「辛い」「孤独」「空虚感」を持ち続けて
大人になる人が多いのです。

そんな状態の大人をアダルトチルドレンと呼びます。
私は、自分の苦しさが、アダルトチルドレンという言葉と結びつくということを、大学の心理学の授業で初めて知りました。

ここで、アダルトチルドレンを育ててしまう家族の8つの特徴を紹介しておきます。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン1


「親と子供との距離感が適切ではない」という親

子供や家庭を「自分の持ち物・私物」といった感覚で捉えている親に育ったという背景です。このタイプの親は、新しい洋服や家具に飽きたかのように、子供に対して急に、徹底して無関心になる場合もあります。
一方、子供のすべてに干渉しようとする親もいます。このような親は、自分の価値観や好みを選ばせることが「子どもの幸せだ」と考えています。「親が叶えられなかった夢をかわりに叶えること」「親よりも優秀であること」など過剰な期待を子供に寄せているということもあります。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン2

「共依存」してしまう親

機能不全家族には、共依存が多いです。
お互いの欲求の足りないところを、相手の存在で補って、自分のバランスをとっているのです。自分のバランスを取るために、子どもの存在や、パートナーの存在があるので、相手の存在をなくすことが恐怖になり、コントロールしようとしてしまうのです。
そして、親の過干渉により子供は自分で判断せず、すべて親の言う通りにするようになります。
親も子供に依存し「あなたにはまだ早い」「あなたには無理」などと自立させないようになります。このようになると、親子が互いに依存しあう共依存の関係になります。
外から見ると「親の言うことを素直に聞くいい子」と「子どものことを大切に思う親」に見えるので、他人からの評価も良く、なかなか依存から抜け出せずに、高齢化していくというケースも多いです。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン3

条件付きの愛を押し付ける親

機能不全家族の親たちは、子どもを愛していないのか?というと、そうではありません。
彼らなりの愛し方に自信を持っているのです。だから、厄介なのです。
けれど、その愛情が「自分の期待に叶っている場合」「自分好みの子供に育っている場合」などの「条件付き」である場合には注意が必要です。
少しでも自分の気に入らない部分があったり、子供が自分で選んだ道を進もうとすると、親は一気に子供に対する評価を下げ、冷淡な態度を取ったり、様々な虐待を行います。 「親からの愛情を受けなくては」と子どもは、親の顔色を常にうかがうようになり、自分の価値観や、自分らしさがわからなくなって成人してしまいます。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン4

親の欲求を子供に求める親

「機能不全家族は片親である」と思っている人がいたら、それは大きな間違いです。
両親が揃っていて、一見、困難がなさそうに見える家庭でも、「家に居る時間が短い」「会話がない」「喧嘩が多い」「浮気や不倫をしている」などがあると、子供に対して、足りない役割を押し付けようとするのです。

例えば「お父さんは頼りにならないから、お兄ちゃんが頼りだよ」と父親役を押し付けたり、「女の子なんだから、家庭を持ちなさい」と母親役を押し付けるケースも珍しくありません。
これは、大人の埋められない欲求を「子どものための教育」と言う正義を盾にして、責任転化しているだけです。
このような家庭で育ったアダルトチルドレンは、自分の意志ではないことを正義と思い込んでしまうので「どれだけ正義を実行しても心が不安定になる」という状態に陥ってしまします。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン5

「できないこと」に目を向ける親

機能不全家族のわかりやすい特徴は、子供の「できること」よりも「できないこと」にばかり着目しがちで、良い点を伸ばそうとしないことです。
そして、子どもが頑張っても「この程度か」「もっとやれるはずだ」と努力ばかりを期待します。
子どもは、認めて欲しくて、頑張り続け、ストレスをため「バーンアウト」を起こしたり、「どうせできないから」とまったくやる気を見せなくなってしまいます。
無気力なアダルトチルドレンを生み出してしまうのには、この背景が関わっています。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン6

比べる親

兄弟や姉妹で比べられたことはありませんか?
「妹はできるのに、あんたはどうしてできないの?」
「お兄ちゃんはすぐにできたよ」など、些細な言葉が引き金になったりします。兄弟や姉妹で、1人だけを可愛がるというケースも、少なくありません。そして、いずれも、親自身は良かれと思ってしていることが多く、
「この子のために、競わせなきゃ」と言う親の不安を安心に変えるための手段として使われることが多いのです。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン7

無視する親

虐待も大きな背景です。
なぐる・けるといった暴力はもちろんですが、目の前で物を壊す、物を投げる、殴りつけるフリをするといった行為も、立派な物理的虐待に含まれます。
また、精神的暴力には、外見をバカにしたり、「産まなければよかった」といった言葉や、大きな声で威嚇することも含まれます。
「私の言うことを聞かないから」と存在を無視するといったことも、心の発達を止めてしまうことにつながるのです。

アダルトチルドレンを育ててしまう親のパターン8

脅迫する親

いつ親がどなる、無視をするかがわからないような環境も緊張状態を生み出します。
経験の積み重ねによって、子供たちは、家では常に緊張し、息を止め「叱られないこと」だけを重視するようになっていきます。

学校の中でも恐怖の環境は生み出される可能性があります

この1から8は、家庭だけではなく、学校の環境下でも起こりうる背景です。
学校では「先生の言うことを聞きなさい」と言う、集団的な環境形成も含まれるので、家庭の傷よりも、もっと深く刻まれるものになります。

また、教室という密室でも出来事は、外に漏らされることも少なく、先生一人ひとりの意識において環境が作り出されるので、とても注意が必要です。

あなたはどうですか?

今回ご紹介した背景に、心当たりがあって、生きづらさを感じている方は、明日が楽になるチャンスを見つけたということです。

アダルトチルドレンの克服には、自分自身と向き合い、これまで押し込めていた心の底の感情を、自由にしてあげることが必要です。

私も、苦しい原因が、周りではなく、自分自身の中にあったということに気づくまでは、親のせい、友達のせい、同僚や上司のせい、制度のせいなど、外側にばかり原因を探しては、使わなくていいエネルギーを使って、また疲れての繰り返しでした。

出前保健室では、これを克服するための、自己認知と、行動認知、そして感情認知を柱にしています。
実体験をもとに、そして、保健室で出会った子どもたちの変化をもとに、内容の構築をしてきたからなんです。

とにかく、あなたの苦しさは、軽くなるということだけ、ここでは伝えさせてください。

この執筆は、今後も続きますので、また私のスイッチが入る日をお待ちくださいね。



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