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【世界酒場放浪記#4】キューバの配給ラムを飲みながら社会主義に思いを馳せる

キューバで飲むのはもちろんラム。
日本でも有名な「ハバナクラブ」もミントたっぷりのモヒートも、観光客しか手が出せない高級品で、地元の人はもっとカジュアルなラムを嗜んでいます。
私が滞在中によく飲んだのは、紙パックに入った100円ラムの「キューバン鬼ころし」(勝手に命名)。これをキューバ産のコーラ的なものやスプライト的なもので割って飲むのがデイリースタイルです。

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さらに地元の人には配給ラムも。給水車みたいな車が来ると住民が大きなボトル片手にぞろぞろ集まってきて、水を汲むようにラムをチャージ。なかなかシュールな光景です。
ほんのり濁った配給ラムを少し味見させてもらいましたが、ラムというかアルコール。何かで割らなきゃ飲めないワイルドな味でしたが、地元の人はコップになみなみ注いでストレートで楽しんでいました。これ絶対あとで頭が痛くなるやつだ。。

配給ラムできゃっきゃ言っていたら、そろりとおばさんが近づいてきて
「ハポン(日本人)?」と声をかけてきました。
そうだよ、と答えると、
「ニンハのお友達、いる?」と、小声で聞いてきます。
ニンハ?ニンハってなんだ?と思ったら、
「ほらあの黒い服着て、魔法みたいなの使って、敵をやっつける人よ」とおばさん。
ああ、忍者ね!Ninja!「ja」はスペイン語で「ハ」と発音するから、ニンハになるのか!
「忍者のお友達かー、ごめん、いないよ」
こう言うと、「なーんだ、使えねぇ」みたいな顔で彼女はあっさり去っていきました。
情報統制されていたこともあり、キューバの特に高齢の人たちは、海外に対して時にびっくりするほど偏った知識をもっていることも。

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キューバは私にとって初めての社会主義国。頭ではふんわり理解していたつもりでいましたが、実際に街を歩いてみるとカルチャーショックの連続で、資本主義を客観的に見られるいい機会でもありました。

学校も病院も住む場所も食べ物も(何ならお酒や葉巻といった最低限の嗜好品まで)与えられる代わりに、それ以上のものを求めることは許されない。「カゴの中の鳥」のように、野心さえもたなければ平穏に生きていけるんですよね。競争がないから、国民同士は仲がいいし助け合いの精神も強い。
そんな様子を見て「社会主義、悪くないじゃん」と思う一方で、いちいちはみ出したがる私がカゴの中で静かにしていられるかというと甚だ疑問。
ガツガツと競争の中で自由を勝ち取る資本主義と、カゴの中で細々とでも穏やかに生きる社会主義。この中間がうまいこととれるといいんでしょうけどねー。

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旅のFood & Drink

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キューバで安く滞在するなら、一般家庭の一室を貸し出している「カサ パルティクラルCasa Partiqural」、いわゆる「民泊」の一択。宿泊だけもできますが、「食事付き」にするとリアルな家庭料理が食べられてとても楽しい。料理のレベルや内容はどうしても家によって変わりますが、それもまたよし。旅先の家庭料理ってなかなか味わえるものではありませんからね。特に有機農業が一般的なこの国は野菜や果物がとにかくおいしい。おかげで滞在中は体の調子がすこぶるよかったな。

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