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#18 発表モノに騙されない「ニュースの見方」

今日のテーマは「ニュースのミカタ」。

ついこの間、各メディアが報じたニュースがあります。
ロシアのウクライナ侵攻に関連する話なんですけれども「ロシア国防省・日本海で巡航ミサイル発射実験に成功」このニュースを見たときですね、ついにここまで手を出してきたか、と僕は思いました。ロシアが日本海でミサイルの発射実験、このときはですね、日本の海上自衛隊とアメリカ軍の原子力空母が共同訓練を行っていました。まさにその最中に、ロシアがミサイルをぶっぱなす。とんでもないことをしてくれたもんだ、と。さらにこの世界をカオスへと引きずり込んでいくのかと。衝撃をもって受け止めたんですが、このニュースは、各メディア、フジテレビ、うちの会社も含めまして、報じました。ロシアの発表ものです。

それがですね、その数日後になって、実はロシア発表の写真は日本海ではなかったんじゃないか、という疑惑がでてきました。さらに、発射実験の日にちに関しても、ロシアが本当に発射したのはその日か、もしくは極めてその日に近い日になんじゃないか、そういう報じ方をしたんですが、そもそも全然時期も違うんじゃないかと。

つまり、ロシアとしては、日本とアメリカが共同訓練をやっているその最中にこんなことやったんだって、こういうことをしました、という発表をしたので、私も含めまして、その発表を受けたメディアはですね「おいおいおいおい、ロシアがこんなことしてきたぞ」そんな受け止め方をして報じたわけです。

ただ、本当に日本海でやったかもしれないけれど、公開された写真は別の場所で、さらに打った時期が違ったかもしれない。そうした疑いが出てきたんです。

北朝鮮がミサイルを発射した、という発表しをたときは、メディアはまず多くが懐疑的に見ます。

本当か?これは前のときの映像なんじゃないか?何か加工されてるんじゃないか?そうした疑いを持って北朝鮮の発表モノをみる、もはや癖というものが付いていて、実際に過去の映像を使っていたり加工した疑いがあったりしたことがたくさんありました。

ただ今回、ロシアが発表したとき、皆それをこぞって発表しました。
この日に発射実験に成功。日本海でやったぞ。でもそれが、どうやら、場所も時期も違うかもしれない。

その場所や時期が違うかもしれないというニュースは私達フジテレビのニュース番組の中でも報じました。もう既に公になっているものです。

人工衛星を使って確認する作業が日常化

では、どのようにして見抜いていけばいいのか。

この最近のロシアのウクライナ侵攻のニュースを見ていると、海外メディアBBCなどCNNなどは、例えばウクライナにしても、ロシアにしても、何か発表があったとき、例えば具体的な事例でいうと「どこそこの町で道路脇に何体もの遺体が、放置されている状態だった」そうしたニュースを、例えばウクライナが発表したときに、衛星写真で確認して、確かに侵攻前にはなかったけれども侵攻後何月何日に、その日になると道路上に何か放置されている物体が見える。そういうことを確認した上でその注釈をつけて報道する。きちんと確認とれましたよ、と。もしくは確認が取れなかった場合は、例えばBBCは「この発表内容について、確認は取れていない」そういう注釈をつけるようになりました。

これはかつて見ることのなかった手法です。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まったときに、双方がそれぞれ自分の都合のいい情報を出しているんじゃないか、そういった目で、特にロシア、ロシアがやはりもう、本当に適当なことをじゃんじゃか流すので、これ本当に合ってるのかなと確認するようになりました。

もちろんウクライナも、自国にとっての都合のいい情報を出している可能性があるので、それももちろん確認を取るようになっています。今回のこの戦争を受けて、特にこうした確認作業、衛星写真を使ってまで確認する作業が活発化しています。

日常生活のなかで見抜くには

では普段はどうしたらいいのか。
映像が伴うならば、はっきりとわかりやすい。例えば、車の事故、東京都内どこそこで事故がありました、火災がありました。そうしたものがですね、もう現象として目の前で起きているその映像があるならわかりやすい。

ただこうした発表もの。特に、国際的な、つまり外交舞台としたもの。今回のこのロシアのように、相手を動揺させるためにあえて違う映像を使い、それをあたかもこの日にやったかのような発表する場合もありますし、既成事実化を狙って、まだ行われていないのに、あたかもその方向性で決定したかのような報道発表がされることなどがあります。

なので、一般の視聴者、読者は確認のしようがありません。このメディアが報じているから、と信じるのではなく「いや、ひょっとしたら、この発表ものにはこういった意味合いがあるんじゃないか」とか、その相手国との関係性をいま一度調べてみて、こういう争いがあるからあえてこの情報を今出してきたんだなとか、そのように発表モノに対する裏に何があるのか、背景に何があるのか。その対象者、対象国との関係はこれまでどうだったとか、そういったものを調べた上でそのニュースをみていかないと騙される。その国の思う壺にはまっていくおそれがあるわけです。

私達も、そこに今回乗っかってしまってるわけですね。こんなに今ロシアの発表ものに対して懐疑的・猜疑心を持って見ているのにもかかわらず、のっかってしまった。ロシアが、これこれこうしました、と発表しましたと報じていること自体は間違っていないんですけれども、本来ならばこれはもう結果論なんですけれども、例えば、そのBBCなどの手法をとるならば「私達は、実際にここで発表された通りのものが行われたかどうかは確認は取れていない」とか、もしそこで日本政府の見解を乗っけることができるならばそこをもう少し細かく丁寧に乗っけていく。そうした必要性もあるのかなとちょっと反省しました。

一方で、それを受け取る側も本当かな、これ本当なのかな、まったくもって全てを疑う必要はないんですけれども、何でこのニュースが出てきたのかな、なんでこのタイミングなのかな、そういったものをやはり、考える癖をつけていく、そういう必要が特に今のこの国際情勢の中では、あるのかなと思ったのでした。

(voicy 2022年4 月18日配信)

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