世界遺産アヤソフィアのモスク化のニュースを知って
イスタンブールの世界遺産アヤソフィアが86年ぶりにモスク化された。
イスラム保守層を支持基盤にする大統領の目論見、近隣キリスト教国との緊張。政治はいつもシンプルではない。
そうだと思い立って、14年前に泊まったイスタンブールの宿をグーグルマップで探したら、アヤソフィアのすぐ南側のドミトリーなど小さな宿がひしめく界隈に見つけた。
たしか3階建。屋上テラスの朝食の席に客は僕だけで、英語を話さない物静かな若い女性給仕とジャスチャーでやり取りしたこと、周辺にも屋上で朝食をとっている光景がいくつもあったことを思い出す。
僕にとってのアヤソフィアは、一人旅の思い出ともう一つ、ローマ帝国衰退の始まりを想起させる場所。
寛容をDNAにして、ある意味民主的(民主主義とは違う)な統治を続けたローマの長い歴史が終わりに向かう契機が宗教、イスタンブールにある。
さまざまなタイプの皇帝、歴代のリーダーたちが、自らの判断で継続したローマも、コンスタンティヌス大帝がキリスト教を支持し、帝国を東西に分けて終焉までの道を進むことになった。
信心深さからかけ離れている僕でも、人にとって宗教が救いになるだろうことはわかる。
しかし組織統治には劇薬。
フィロソフィもルールも改善できるけど、
宗教は絶対だから。
モスクの、壁画に残された聖母マリアとイエス。東ローマ、オスマンそして近代と、政体が変わっても「寛容」はトルコの人たちが受け継いできているのかな、って思っていた。
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