ともたか

読書、映画、旅行、ワイン、歴史、サッカー… その時その時の気まぐれな散文でも、読み返し…

ともたか

読書、映画、旅行、ワイン、歴史、サッカー… その時その時の気まぐれな散文でも、読み返して自分を俯瞰する、みたいなことが楽しくてnoteを公開しています。

マガジン

  • やっぱり本はアナログがいい

    どんな本を読んできたかを辿ると気づくことがある。

  • シネマTomore

    映画に関わるエッセーです

  • Photo taken by me

    写真を使っていただいている記事をまとめました

  • 2015年~2020年に書いたエッセイ

    別のブログで書いていた古い原稿をインポート。少し加筆修正しています。

  • スポーツ観戦の思い出

最近の記事

「怪物に出会った日」を読んで考えたこと。

面白いスポーツノンフィクションに出会うことが少なくなった。 インターネット、SNSの普及で速報的な記事で溢れているから。 チーム発信、選手発信の情報量に反比例してスポーツライターたちの情熱が萎えている気がしている。 選手の心情に迫り、勝負の綾を描く。 こんな時代だからこそ秀逸な作品に出会えたときは嬉しい。 熱心なボクシングファンではないけど、怪物と形容されるチャンピオンに敗れたボクサー、元ボクサー本人とその周辺を取材したということに興味をもって手にしたこの本、嬉しい出会

    • 角田光代の「方舟を燃やす」

      僕は1964年生まれ。「ノストラダムスの大予言」も「こっくりさん」も「口裂け女」も小学生の時に流行した。みんなが見ているテレビ番組があったし、キャンディーズやピンクレディを知らない日本人がいるなんて考えたこともなかった。 隅々まで行き渡った大衆感、右肩上がり空気。終末思想も流行でしかなかったし、ゴジラを環境破壊への警鐘だと捉える人など皆無。「春休み映画まつり」で楽しむ怪獣でしかなかった。 僕は、マジョリティに身を置く心地良さも狡さも考えたこともなかった。 今思えば、今では考え

      • 最近毎日聴いている。きっかけは7.8億回再生MV

        少し前に、スペイン人の友人が教えてくれたLa Oreja de Van Gogh (ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ)というバンド。「rosas」という曲のYouTubeを見た時、それまでほとんど聴くことがなかったラテンポップスのメロディに何故か懐かしさを感じ、個性的なボーカルに惹き込まれた。 びっくりしたのはそのMVが「7.8億回再生」と表示されていたこと。 音楽に詳しくないとはいえ、ほんとにびっくりした。日本ではあまり知られていないと思うのに。 ちなみに、MVには日本人らしき

        • 30年ぶり3度目の”深夜特急”はNetflixで

          最初に観たのは確か中学生のときに都内の映画館で。 2度目は20代のときにレンタルビデオで。 そして3度目、このまえNetflixで観た。 「ミッドナイト・エクスプレス」(1978年アメリカ) 中学生の僕には、当時流行っていたホラー系の映画よりずっと怖かった記憶がある。 また観たいけど、なかなか踏み切れないような、映画好きの友人と話すときには、最初に観たときの衝撃をたびたび話すし、だから「また観たい」と思ってきたのだけど、ついつい先延ばしにしてしまってきた、そんな存在の作品

        「怪物に出会った日」を読んで考えたこと。

        マガジン

        • やっぱり本はアナログがいい
          122本
        • シネマTomore
          77本
        • Photo taken by me
          67本
        • 2015年~2020年に書いたエッセイ
          48本
        • スポーツ観戦の思い出
          32本
        • VIEW ON THE ROAD
          98本

        記事

          「明治維新という名の洗脳」という本を読んだ。

          幕末、若い萩藩士5人が命がけの密航でロンドンへ留学した「長州ファイブ」。出航の4か月前に同じメンバーが英国公使館焼き討ち事件を起こしていたことは知らなかった。 なぜ、敵視した国の手引きで留学できたのか? 幕末前後、誰が何を描いていたのか、どんな野望を持っていたのか、知らないことばかりだ。 150年を経て尚、日本政治のコントロールの中枢に萩藩の血が勢力を握っているから、わずか150年前の史実すら僕らは知り得ないのか。 「竜馬がゆく」に感化され将来を描いた学生時代を送った僕は

          「明治維新という名の洗脳」という本を読んだ。

          たとえば僕が好きな「吉田拓郎」は。

          1971年11月20日にリリースした2ndオリジナル・アルバム 『人間なんて』のB面の1曲目に収録されている。当時吉田拓郎は高円寺の妙法寺横のアパートに住んでいて、新宿で飲んで帰って、ジェームス・ブラウンのバラードを聴いていたら、妙にしんみりした夜で、無性に染み入る曲を書きたくなってギターを手に取ったら、その頃ハマっていたコード進行で一気に書けたという。1976年のアルバム『明日に向かって走れ』にリメイクバージョンが収録されている。こちらの編曲は松任谷正隆。作詞・作曲:吉田拓

          たとえば僕が好きな「吉田拓郎」は。

          7年前に見た夢

          誰の手も借りず契約をものにしたいと思ったのに、元総理の森喜朗が商談に付いてくることになってしまった。 頼んだわけではない。 森が俺をサポートする理由などあるわけがないが、世の中には理解できないことはいくらでもある。 商談相手はテレビCMをガンガン流している大手家電メーカー。 商談場所の本社は、田園地帯を見渡す丘の一番高いところに、古城のように建っているけど、○○ポイント2倍セールなどと書かれた大型バナーがかかっている品のなさが笑える。 本社玄関まで数百メートル続く坂道は、商

          7年前に見た夢

          原作へ敬愛の念を感じるリメイク

          黒澤明の「生きる」(1952年)とカズオ・イシグロ脚本によるリメイク版の「生きる・LIVING」(2022年イギリス)を数日あけて両方観た。 原作黒澤「生きる」のクライマックスは、葬儀通夜の席の場面。顔芸とも言いたくなるぐらいの役者たちの熱演にひきこまれてしまった。 かたやイギリス版。カズオ・イシグロが小津安二郎の影響を公言した小説「遠い山なみの光」で感じた行間。間(ま)を感じさせてくれた。 原作への敬愛の念を感じるリメイクだった。 映画っていろいろ面白い。

          原作へ敬愛の念を感じるリメイク

          思い込みネパール

          先月、初めてネパールへ行ってきた。 首都カトマンズで3泊、サランコットで4泊。 カトマンズからプロペラ機で1時間のポカラ空港。そこから車で30分のところからロープウェーを使って着く高地村がサランコットだ。 ネパールは、いろいろ意外だった まず、寒くない。 プロペラ機の窓から見た真っ白なヒマラヤ山脈は、それは息をのむ美しさ。なんだけどカトマンズもポカラも寒くないし、雪は降らない街だった。 奄美大島と同じ緯度の亜熱帯気候だなんて知らなかったし。 それと、食べ物が美味しい、

          思い込みネパール

          今年前半のヨーロッパはスポーツの話題で賑やかになる。イチオシはEUROドイツ大会。

          6月14日、ドイツ10都市で行われるEURO2024サッカー欧州選手権(–7/14)が開幕する。その後すぐに隣国フランスでパリ五輪(7/26ー8/11)、そしてパリパラ五輪が続く。五輪のおかげで、自転車レースの最高峰ツールドフランス2024(6/29ー7/21)は、最終日恒例のパリ凱旋門周回がニース会場に変更された。 とにかくヨーロッパはスポーツで賑やかな半年になる。 なかでも僕はEURO2024が楽しみだ。 前回大会EURO2020はコロナ禍によって2021年にずれ、ヨー

          今年前半のヨーロッパはスポーツの話題で賑やかになる。イチオシはEUROドイツ大会。

          三島由紀夫「潮騒」を読んで、AIへの恋愛感情についても考えたりした

          読み終えて思い返せば、ひたすら清く美しい、清さも美しさも過ぎるほどの純愛物語。といっても、そこは三島由紀夫。文庫解説の重松清は「あまりに人工的な物語」と書いたけど、三島が小説に込めた意図を考えるのが楽しい読者も多いのだろう。 作家は、古代ギリシャの物語、地中海の島を舞台にした恋愛ものを下敷きにしてストーリーを作り、それに適した候補地から選んで鳥羽湾沖の神島を取材して書いたという事実。知らなかった。 僕はこんなことを考えた。 AI自体が感情を持つことが無いけど、人間の感情を認

          三島由紀夫「潮騒」を読んで、AIへの恋愛感情についても考えたりした

          元旦の朝、僕は標高4,130mアンナプルナBCに立っていた

          元日の朝、僕は8,000メートル級の山々見上げる場所、標高4,130mの「アンナプルナベースキャンプ」に立っていた。 ヘリコプターから、堅く締まった雪の上に普段履きスニーカーで降りた。 キンとした冷気が間違いなく薄かった。 ヘリは、標高1,600mの滞在したホテルのヘリポートから飛び立ち20分足らずのフライト。高山病にならないよう15分程度の滞在制限とされた。 僕は、ずっと地に足が付かないような高揚感の中、時間感覚を失いフワフワ気分で歩きまわったのだった。 着陸地点の近くに

          元旦の朝、僕は標高4,130mアンナプルナBCに立っていた

          写実絵画の世界 ホキ美術館

          素晴らしかった。 それぞれの作品から伝わってくるものがシンプル。シンプルというのは抽象画を前にした時の感じ方を対照にした僕なりの捉え方かもしれない。 そして伝わるものの階層の多彩さは楽しかった。 少し前に読んだ小説で写実絵画がモチーフになっていて、それまではリアルな絵ぐらいの認識だったのに。 やっぱり本物は違うな。 想像を超えていた。 あと意外だったのは、静物画により心を揺さぶられたこと。

          写実絵画の世界 ホキ美術館

          よしもとばなな「ハゴロモ」

          失恋で弱った心で帰郷した女性ほたる。 彼女を包み込むように現れる人たちと、夢の出来事。 昔と変わらない地元に流れる大きな川の、その流れ。 僕も大きな川のそばで育った。 土手まで100mもないところだった。 小学生の時に草野球をやったのも、高校生の時に無免許でバイクを練習したのも河川敷だった。 離れたところで暮らすようになってからも、若いうちは帰郷すると必ず土手に登って川の流れを眺めたんだけど、もう30年ぐらいそんな時間を持っていないことに気づかされた。 そうだ、あの悠々と

          よしもとばなな「ハゴロモ」

          ブルックリン・ドジャースがメジャーリーグ初の黒人選手J・ロビンソンを獲得したことを知った映画の話

          ニューヨーク、ブルックリンの街角、さもない交差点脇の小さなタバコ店。店主オーギーと次々にやってくるその知り合いたちとの対話劇、群像コメディとでも言うのかな。 場面のほとんどはその狭い店内や店先で、全体を通したストーリーはない。 1本のタバコを手にこれを最後に禁煙すると言いながら話し続ける人や、アンケート調査で「トイレを流す前に自分のモノを確認しますか?」と尋ねる人、踊りながら電報を読み上げる女・・・。 ドジャースのロサンゼルス移転を恨む人、メジャーリーグ初の黒人選手J・ロビ

          ブルックリン・ドジャースがメジャーリーグ初の黒人選手J・ロビンソンを獲得したことを知った映画の話

          千早茜「男ともだち」

          もし僕のことを知らない人が、僕の書棚を見る機会があったとしたしても、僕の人物像、趣味や年齢を当てられないと思う。かなり脈絡のないラインナップだから。 ありのままの書棚を見せる行為はかなり恥ずかしいけど、乱読ぶりだけは伝わるはずだ。 という言い訳を先にしたのは、先週末読んだ小説は、さすがに還暦前の男性向けではないのだろうなと思いつつ、面白く読み終え、書いておきたいと思ったから。 かつて「男女の仲に友情は存在するか」なんて話題で居酒屋で男同士語り合ったことがあった、ような気が

          千早茜「男ともだち」