ともたか

読書、映画、旅行、ワイン、歴史、サッカー… その時その時の気まぐれな散文でも、読み返し…

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読書、映画、旅行、ワイン、歴史、サッカー… その時その時の気まぐれな散文でも、読み返して自分を俯瞰する、みたいなことが楽しくてnoteを公開しています。

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  • やっぱり本はアナログがいい

    どんな本を読んできたかを辿ると気づくことがある。

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    旅日記、旅雑感

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    映画に関わるエッセーです

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    写真を使っていただいている記事をまとめました

最近の記事

千早茜の「ひきなみ」

瀬戸内海の島で出会った少女二人の友情の話。シンプルにそう言い切ってしまいたい。 僕は、小学校低学年の頃の感情の記憶を呼び起こさせられた。 仲良しだった友達への嫉妬、仲良しが故に聞きたくても聞けなかった家庭の事情。あれは友情だったのか、憧れだったのか。 凪いだ海を走る船の後ろの甲板から見る「ひきなみ」。 白波のラインがずっと伸びていく光景が、遠い記憶とシンクロする。 作家が言うように、忘れていた記憶は僕の奥底に跡を残していた。 それにしても、この人の小説を読むと表現や

    • 海外旅行のおすすめ「観光案内所」

      僕は、列車やバスで初めての町に降り立ったら「i」の看板を探す。Tourist information center観光案内所のアイコンは、世界共通で「i」。 海外へ一人で出かけ始めた80年代後半。現地での情報源は、当時マイナーだったガイドブック「地球の歩き方」だった。 「地球の騙し方」のおかげで体験談の投稿や町の中心部などは手書き地図だったり。旅先で知り合った日本人旅行者とは「地球の騙し方」と揶揄しあうほど古い情報や偏った主観情報に困ったこともある。「冷房の効きの良い部屋

      • 僕の「ムーン・パレス」

        誰だ、「青春小説」なんて安っぽい括りを始めたのは! あらすじや感想が書けない。 かといって、気の利いた修飾語も浮かばず。 でも書きとめておきたい。 飲み会とかで、本の話になって「『ムーン・パレス』っていう小説が好きだ」なんていう人に出会ったら嬉しいだろうな。 そうしたら僕と彼もしくは彼女は、『ムーン・パレス』について語るのではなくて、互いの過去のことやそれぞれが描く将来へのことについて夢中になって話すような気がする。 自分や家族や身の回りに「ありえないような」出来事が次

        • 帰国途上で書いた EURO2024観戦雑記6

          決勝はブランデンブルク門で決勝のスペイン対イングランドは、ベルリン、ブランデンブルク門の西エリアに区間されたファンゾーンで観戦することにした。 列車でベルリン中央駅に到着したその足でファンゾーン会場付近を下見、入場ゲートの場所や経路を確認してからホテルにチェックインした。 無料イベントのリスク管理値段と立地優先で予約した一晩だけのホテルは、ベッドが収まるだけの狭い部屋。 夜に備えて2時間近く休んで、リュックを置いて手ぶらで再び会場に向かった。 ユーロ大会では、スタジアムにも

        千早茜の「ひきなみ」

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          明日決勝に備えて体力温存 EURO2024観戦雑記5

          いよいよ明日決勝。スペイン対イングランドで幕を閉じる。 現地観戦旅は、3週間を超えて疲労が蓄積してきたが、ここフランクフルトから、ベルリンへの1泊2日の強行軍を決めた。 片道約5時間の移動と、数万人が集結するはずのパブリックビューイングに備えて、今日は穏やかに過ごすことにしてこの原稿を書いている。 ファンゾーン、カフェ観戦とはいえ21時開始はキツイ公式アプリで買えるチケットに決めていたから、スタジアム観戦は予選リーグの1試合だけ。それでも各国サポーターたちに交じって無料ファ

          明日決勝に備えて体力温存 EURO2024観戦雑記5

          速報準決 フランクフルトのファンゾーンでは、7・3でスペイン応援の人が多かった EURO2024観戦雑記4

          定かではない。感覚だけどフランクフルトのファンゾーンの準決勝スペイン対フランスは、7・3でスペイン応援の人が多かった。 フランクフルト在住のドイツ人、スペイン人、フランス人。殺気立った雰囲気はなかったけどどちらかと言えばスペインのプレーに、より盛り上がっていた。フランクフルトだからかどうかはわからない。 試合後、街中に向かう路面電車のホームにいたら、スペイン国旗をはためかせてクラクションを鳴らす車を数台見かけた。

          速報準決 フランクフルトのファンゾーンでは、7・3でスペイン応援の人が多かった EURO2024観戦雑記4

          僕にとってのポルトガル代表 EURO2024観戦雑記3

          PKを外したC・ロナウドが大泣きしていた。 あー、ポルトガル代表に惹かれるのはこれなんだよなと感じ入った。 初体験は、2000年のユーロオランダ大会。 フィーゴが、対峙した選手の右にボールを出して自分は左から走り抜けかわして行くドリブルをスタジアムで見た。ルイ・コスタの鋭く長いスルーパスに、ヌーノ・ゴメスの躍動に惹き込まれた。大航海時代を想起させるドラマチックな曲調の国歌斉唱に痺れ、応援コールの「ポルトガル」が「プートゥ、ガ」に聞こえた。 華麗と表現された黄金期ポルトガル

          僕にとってのポルトガル代表 EURO2024観戦雑記3

          EURO2024観戦雑記2 スペイン戦をスポーツバーで。

          サッカー欧州選手権ドイツ大会、ヨーロッパでEUROCOPAと呼ばれているこの大会は、この原稿を書いている時点で準々決勝進出8チーム中4チームが決まっている。 昨夜はイングランドとスペインが進出を決めた。 18時試合開始だったイングランドの奇跡的な逆転勝利については、日本でも伝えられていると思う。スロバキアに0-1のままだったアディショナルタイム5分、イングランドが同点に追いついてそして延長勝利。同点弾ベリンガムのバイシクルシュート、決勝ゴールはエースのケインと最高の終わり方

          EURO2024観戦雑記2 スペイン戦をスポーツバーで。

          EURO2024観戦雑記。日本のヤバさも実感

          サッカー欧州選手権(euro2024)を目的にドイツに滞在している。 この大会に惹かれているワケは、陸続きの各国サポーターたちが試合開催の街を移動しな集結する光景。スタジアムの観戦チケットが無い人はパブリックビューイング会場やバー、レストランで盛り上がるし、開催地に住む当事国の人も当然盛り上がる。そこここでアパートの窓に国旗が掲げられている。 そして試合。所属クラブでスター扱いの選手でも、地元に戻ればそんなこと関係ない的純真さで国の威信をかけて戦う。 公式アプリで唯一入手

          EURO2024観戦雑記。日本のヤバさも実感

          ワイズクラックがかったるい

          仕事でもやもやが続いていて、帰宅して気分転換したい読書を求める最近。手に取る本は、好奇心を刺激されたい時とは違う。 ところがサクッと読めるだろうとハードボイルド小説を選んだだら、ワイズクラックがかったるい。好きだったフィリップ・マロウのセリフを楽しめない。 それならと、映画化の予告帯びが目をひいた日本のミステリー小説を読んだけどやはり楽しめない。夫の浮気に気づいた妻がチェーンソーを買って床下を壊してもゾクゾクしない。 好物のメニューを続けて食したけど、おいしく感じられずに

          ワイズクラックがかったるい

          関心領域 The Zone of Interest

          インストゥルメンタルのCDアルバムを聞き終えた感じ、観終わった直後はそう思った。 ストーリーやセリフに分かりやすく訴えてくる要素もないし、高ぶりも展開もない。 でも時間が経ってふと映画のシーンが浮かび上がって胃が重くなる気分を味わった。 日常のなかで無関心を装うことがある。僕は無関心を装うタイプではないけど、それでも無関心を装うことはある。前置きとして「関心があるのに…」ということ。 関心の外にあることこそ恐ろしいと映画は伝えていた。 亡き祖父母が若かった頃だから僕には大

          関心領域 The Zone of Interest

          「土を喰らう…」の沢田研二はかっこよかった。

          長野の山奥でひとり暮らす作家の日々を描いた映画、「土を喰(く)らう十二カ月」を観たのは、中江裕司監督のインタビュー記事を読んでのこと。 野菜を育て、山菜を採り精進料理を作る。糠漬け、梅干し、干し柿。自然を愛で淡々と暮らし四季が過ぎていく。老人作家を演じたのが沢田研二。 中江監督の記事に「沢田さんに出演オファーしたら、『オーデションをしてほしい』という返事だった」という内容が書かれていて、そのことが妙に気になり、配信で観ることにした。大袈裟に書けば、沢田研二の美意識に興味を持

          「土を喰らう…」の沢田研二はかっこよかった。

          「会社を100年後に残すためにどうしても必要」

          東芝という会社には何の縁もないから、4000人の人員削減のニュースを知っても感想も何もない、はずだった。 なのに、記者会見の席で社長が大リストラの理由を「会社を100年後に残すためにどうしても必要」と発言しているのを見て驚いた。 驚いた、ほんとに。 それで、ここに書きたくなるほどの違和感が残尿感のようにつきまとっている。 東芝の社長は本気でそんなことを思っているのか。本音ではないけど、これが建前として理解が得られそうな言い方だと思っているのか。 100年後?はぁ? 「東芝」

          「会社を100年後に残すためにどうしても必要」

          「怪物に出会った日」を読んで考えたこと。

          面白いスポーツノンフィクションに出会うことが少なくなった。 インターネット、SNSの普及で速報的な記事で溢れているから。 チーム発信、選手発信の情報量に反比例してスポーツライターたちの情熱が萎えている気がしている。 選手の心情に迫り、勝負の綾を描く。 こんな時代だからこそ秀逸な作品に出会えたときは嬉しい。 熱心なボクシングファンではないけど、怪物と形容されるチャンピオンに敗れたボクサー、元ボクサー本人とその周辺を取材したということに興味をもって手にしたこの本、嬉しい出会

          「怪物に出会った日」を読んで考えたこと。

          角田光代の「方舟を燃やす」

          僕は1964年生まれ。「ノストラダムスの大予言」も「こっくりさん」も「口裂け女」も小学生の時に流行した。みんなが見ているテレビ番組があったし、キャンディーズやピンクレディを知らない日本人がいるなんて考えたこともなかった。 隅々まで行き渡った大衆感、右肩上がり空気。終末思想も流行でしかなかったし、ゴジラを環境破壊への警鐘だと捉える人など皆無。「春休み映画まつり」で楽しむ怪獣でしかなかった。 僕は、マジョリティに身を置く心地良さも狡さも考えたこともなかった。 今思えば、今では考え

          角田光代の「方舟を燃やす」

          最近毎日聴いている。きっかけは7.8億回再生MV

          少し前に、スペイン人の友人が教えてくれたLa Oreja de Van Gogh (ラ・オレハ・デ・バン・ゴッホ)というバンド。「rosas」という曲のYouTubeを見た時、それまでほとんど聴くことがなかったラテンポップスのメロディに何故か懐かしさを感じ、個性的なボーカルに惹き込まれた。 びっくりしたのはそのMVが「7.8億回再生」と表示されていたこと。 音楽に詳しくないとはいえ、ほんとにびっくりした。日本ではあまり知られていないと思うのに。 ちなみに、MVには日本人らしき

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