角田光代の「方舟を燃やす」
僕は1964年生まれ。「ノストラダムスの大予言」も「こっくりさん」も「口裂け女」も小学生の時に流行した。みんなが見ているテレビ番組があったし、キャンディーズやピンクレディを知らない日本人がいるなんて考えたこともなかった。
隅々まで行き渡った大衆感、右肩上がり空気。終末思想も流行でしかなかったし、ゴジラを環境破壊への警鐘だと捉える人など皆無。「春休み映画まつり」で楽しむ怪獣でしかなかった。
僕は、マジョリティに身を置く心地良さも狡さも考えたこともなかった。
今思えば、今では考え