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僕の「ムーン・パレス」

誰だ、「青春小説」なんて安っぽい括りを始めたのは!

あらすじや感想が書けない。
かといって、気の利いた修飾語も浮かばず。
でも書きとめておきたい。

飲み会とかで、本の話になって「『ムーン・パレス』っていう小説が好きだ」なんていう人に出会ったら嬉しいだろうな。
そうしたら僕と彼もしくは彼女は、『ムーン・パレス』について語るのではなくて、互いの過去のことやそれぞれが描く将来へのことについて夢中になって話すような気がする。

それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。そのころ僕はまだひどく若かったが、未来というものが自分にあるとは思えなかった。僕は危険な生き方をしてみたかった。

冒頭を引用

自分や家族や身の回りに「ありえないような」出来事が次々に起こる。
それらを受け入れて、展開していく人生。
夢物語でも悲劇でもない。

僕はブーツを脱いだ。足の裏に砂の感触が伝わってきた。僕は世界の果てに来たのだ。この向こうにはもう空と波しかない。
そのまま中国の岸辺まで広がる、空っぽの空間があるだけだ。ここから僕ははじめるのだ、と僕は胸のうちで言った。ここから僕の人生がはじまるのだ、と。

ほぼ終わりあたりから抜粋

小説を繰り返し読むことをしない僕でも、これはまだ何度か読み返すことになるのだと思う。

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