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【読書感想文】ひとりずもう


さくらももこのエッセイ『ひとりずもう』がおもしろすぎた。


こんなにも読者を「もっと読みたい」と思わせる文章ってすごい。

ページをめくる手が止まらない。

気づくとあとがきにたどり着いてしまって、その時の寂しさときたら。(私は電子書籍派なので残りどのくらいのページが残ってるか読書中に気付かない。なので突如終わりを迎えて悲しくなる。もっと読みたい。)


彼女が体験した珍事件が面白いし、言葉の使い方も面白いし、彼女の捉え方というか考え方というか感性が面白い。


普段本を読んでいて「この本に出会えてよかった」なんて大袈裟なことはあまり思わないけど、でもさくらももこのエッセイには出会えてよかったと心から思う。


こんなに読書が楽しいって思わせてくれる本はなかなか無い。


書かれてからもう20年近く経ってるのに、まったく色褪せない面白さがあるのもすごい。時代に左右されることなく、きっとこれから10年20年先も「面白いエッセイ」として読者を増やし続けるだろう。

なんでもっと早く読まなかったんだろうと思うけど、でも今の自分だからこんなに面白く感じるのかなとも思う。


あとがきにこんなことが書いてあった。


自分に起こる事をよく観察し、面白がったり考え込んだりする事こそ人生の醍醐味だと思う。


毎日目新しいことは起こらない。夢があったって、やりたいことがあったって、毎日それを叶え続けたりやり続けることは不可能で、"パッとしない"とか"普通"と感じている毎日を過ごしてる中で、たまに夢が叶ったり、やりたい事ができたりする。


当たり前だけど忘れがち。
自分の毎日を「なんかパッとしないなぁ」なんて思って過ごしてしまうことが多いんだけど、でもそうした時間を楽しんだり味わったりするのが大事だし、彼女の言う「醍醐味」だと思う。私ももっと、毎日いろんなことを"観察"していきたい。



この先新作のエッセイが出ることは二度とないという事実がすごく悲しい。電子書籍になっていないエッセイを、日本に帰ったら絶対本屋で買おうと決めてます。




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