TOMOKI KOKUBUN Photography
日々、写真。アウトドアと暮らし。國分知貴の写真紀行。写真記録でありフォトエッセイ。単写真ではなくストーリーとしての写真、言葉をのせます。
野外での活動を記録していきます。
お仕事として撮影した現場の記録です。
ホォー、ホォーホォー。 エゾフクロウだろうか。どこかで鳴いている。 ホハー。クヘー。 文字にできないなんとも気の抜けた壊れたラッパみたいな音で鳴くのはオオハクチョウ。羽を休め、湯気の中。寝言かもしれない。 肌を撫でるお湯は灯油のような匂い。 今日の温度はちょうどいい具合。 先ほどコタンの湯で物思いに耽っていた。 ここはふと思いついた時、晩飯前に行く場所。 湯につかりながら頭の中を整理したり、 リラックスしたり、ただただ季節を感じたり。 大好きな場所だ。 2023年が始ま
新しい年を迎えました。2023年。 本年もよろしくお願いします。 なぜだか滞っていた「毎月の振り返り」 本年より再開することにしました。小さく宣言します。 その前にまず2022年の写真13942枚から、 最も僕の記憶に刻んだ出来事を、 組写真にしてランキング形式でのこしておきます。 「2022年の写真〜記憶に刻んだ10のこと〜」 前編では第10位〜第6位を。 今回は後編、第5位〜第1位までです。 さようなら2022年。ようこそ2023年。 今年も、自分の、誰かの、心に
2022年ももうすぐ終わります。 今年撮った写真の枚数を見てみました。 13942枚。 多いのか?少ないのか?人によって受ける印象は様々だと思いますが、僕はここ数年で一番少ない枚数。理由はなんだろうか?。それはさておき、この枚数の一枚一枚には色々な瞬間、記憶、記録が詰まっています。 写真って素晴らしい。 一年を振り返って眺めてみると色々な瞬間が感情の記憶と共に記録されていることに改めて気づきます。 興奮した瞬間。 悲しかった瞬間。 仕事した瞬間。 狙った瞬間。 思いを
春を感じた午前中。 カイの散歩がてら湖まで行くと、ベタナギ。 藻琴山が鏡のように湖面に映る。 深呼吸すると、肺に、脳に、身体に、春が入ってくる。 日中の気温は毎日プラス。 朝のカリカリ雪は、陽が上がるのすぐに緩む。 全身で春を感じる。 ついさっき、近所の子が挨拶をしにきてくれた。 中学卒業と同時に埼玉の高校へ進学だそうだ。 おめでとう。頑張ってね。 更に春を感じさせてくれてありがとう。
どうやら2月はかなり力んでいたようだ。なんとなくふんわりとした「日々の写真」というのがあまりない。あとで写真を振り返り、そんな自分の予定や気持ちまで浮かび上がるが写真の面白いところだ。 冬型の気圧配置が安定してくる。毎日のように北西風が吹き、冷え込みは厳しくなる。遥かシベリアから流氷がオホーツク海を埋め尽くし、屈斜路湖は凍りつく。家にいると木が弾け裂ける音もきこえてくる。2月だ。
2月上旬。約10日間。僕は古巣であるニセコ、札幌方面へと足を伸ばした。特にニセコは約3年ぶりだった。最近のご時世、正直動きずらいところもある。しかしそれでも行くべき理由があった。 何がそこまで行く必要があったのか。僕はこの冬、自分をテストをしたかった。極めて重要なテストだ。どうしても試したかった。 僕はまる3年屈斜路湖で暮らしている。とても充実しているし、きっと恵まれている。周囲の人々や今の環境に感謝してもしきれない。「おかげさま」というやつだ。 ただ、冬の過
構想2年。 ようやく実行まであと数日のところまできた。 斜里岳の懐に約5日ベースを張り、まだ見ぬ斜面に1本のシュプールを刻む計画。アプローチの長い斜里岳では日帰りや1泊〜2泊だと行動範囲は限られる。だからこそと綿密な計画とスケジューリングが必要だ。 リサーチする限り、初の試みではないかと思っているがどうなのだろう。 昨年は実現までもう少しだったが、相方の急な予定変更によりあえなく断念。しかし、そのポッカリあいたスケジュールに思ってもみなかった別な予定が入り込むというミラク
1日目 定番となりつつ遅刻をかまし、もはや予定どおり予定を遅らせる。 「今日は明るいうちにつけばいいし」という気の緩みだ。このクセ直さねばならない。 まずは林道をつめる。約4.5km。ここが核心部といってもいい。あまり楽しいものではない。おまけに右往左往してまっすぐ歩かない謎の先行者トレースも我々の精神を追い詰める。きっとウサギの真似ごとでもしていたのだろうと思うよりほかない。 降雪結晶が美しい。それくらいが癒しといってもいい。それが林道の恐ろしさだ。 苦痛とは言
ネットやSNSにアップされるのは 力の入った写真ばかりが並びがちだ。 仕事もしているから、仕方がないところもある。 だけれどきっと、何の意味もないような こんなの撮ってたっけ。となるような。 ただのふんわりした日常の。 何気ない写真こそ価値があると思う。 埋もれてしまいそうな写真こそ。大切に。 2022.1月編。 黒岳からの帰り道。 美幌町のスケートリンク。たまたま遭遇したこの瞬間が美しかった。 一緒に乾く犬。 お雑煮を狙うなよ。 朝の散歩。振り返ると燃
この日もいつもの場所へ。この時期になると、どうしても「風・気温・光」を頭の中でイメージしてしまい、忙しくなる。綺麗な世界に出会うためのゲームのようにも思える。天気をみて予想を当てる。その行為が楽しいのだ。自然を相手にした究極の遊びだ。 陽が登る。足を止め振り返る。太陽が昇るその一瞬はなぜこんなにも美しいのか。幸福感が満ち溢れる。 スプリットにしてから山歩きが楽しくて仕方がない。BCクロカンも使用しているが、やはり山に雪がつくと斜面を滑降したくなるものだ。 程なく
「釧路から旭川へ、大自然とアイヌ文化に触れる旅」 阿寒での撮影を担当しました。 文章はシリエトクノートの中山よしこさん。 道外の方はもちろん 道民こそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。 以下抜粋 ー動物たちは自分たちの仲間であり、隣人という思いが自然にわいてくる (中山よしこさん) ー彫り始めたら、3時のお茶を飲むとき以外は、制作に集中。 探究心が強くて、70代になっても発展途上だと言っていました (藤戸竹喜の妻、茂子さん) 取材では、藤戸竹喜さんの作品、そし
辺りは真っ暗。朝5:20。目的を抱えて藻琴山へと入った。 目的1. ガイドツアーの下見 目的2. 積雪状況と道具のフィールドテスト 目的3. 撮影 目的4. 滑走 仕事も趣味も詰め込みすぎだが、仕方がない。やっと山が仕上がったんだ。待ちに待った。一気にやりたいこと大放出となるのも仕方あるまい。そしてその全てを受け入れてくれる寛容な藻琴山が、僕は大好きだ。 まだ日の出前。ここから日の出までの色の変化に注目していただきたい。 エビの尻尾。 足元にはシュカブラ。
標茶町の端っこに犬4頭と暮らす男がいる。移住してまだそう経っていない。彼は写真家を志す。迷いながらもまっすぐだ。その内面に惹かれる。少年のように純粋でありながら未来を見据えて確実に試行錯誤し行動するしっかり者。と僕は感じ取っている。僕のような悪戯大好き悪ガキタイプとはちょっぴり異なる部分もありそうだが、奥にあるピュアなハートは僕も共通なのだと強めに言っておきたい。 そんな彼と以前から約束していた冬の西別岳へ行ってきた日のことだ。お互い愛犬を連れて、早朝からキンキンに冷え
恒例となりつつある元旦ハイク。選んだ場所は今年も「町の山」だ。町の山と思っているのだが、町民は誰一人いない。某幌峠や某琴山は間違いなく人がいるだろう。 この山は誰もいないのだ。2年連続。そういう場所だからこそ僕はきっと好きなのだと思う。これが人で溢れかえったとならば、別な場所を探すだろう。そういうものだ。 「いい山だよ」 言いたいけど言いたくない。 だからひっそりとここに記す。 安定の-25℃。 だから美しい。釧路川に沿って毛嵐が浮かび上がる。この写真サイズ
用事を済ませた中標津からの帰り道。こんな天気の日はのんびり歩きに行こう。と摩周湖へと車を走らせた。第一展望台へと標高を上げるに連れ辺りは真っ白。もう昼過ぎだというのに、そこには予想以上の絶景が広がっていた。地元民とはいえ興奮して声をあげるほどだった。 日が傾くにつれ変化していく色が大好きだ。あまりの美しい景色に、呑気に歩くつもりがすっかり写真に集中してしまい、パートナーにはほとほと呆れられたのは言うまでもない。すまない。 photo: 2022.1.16 日々「アウ
日の出前。時刻は5:00。目覚まし時計のスヌーズ誘惑をふりはらい、山への誘惑に身を委ねる。2種類のテルモスにそれぞれお湯と珈琲を注ぐ。まだ外は暗い。 道具を車へ放り込み、いつものようにカイを助手席にひょいと乗せる。車を走らせるのは家から15分。お気に入り斜面へ。なにがお気に入りかって、1本滑っても9:30に帰宅して、その後仕事もできるだ。この環境に今日も感謝したい。 カイを連れての滑走は初めてのこと。歩くのはいつものことでなんてことはないが(はずだが)、滑ったあとど