見出し画像

仮面幸福家庭

僕の実家は家業をやっている事もあり、お金に困ったことはなかった。
好きなものを買ってもらえ、大学にも行かせてもらえた。

家族でブラックジョークを好む程度の卑屈さはあるけど、片親やDVなどの家庭環境をTVの向こう側や、当時のメンヘラ彼女と過ごした何年でどれだけ良い暮らしをしていたか思い知らされていた。

自分らしさの喪失

お金に困ったこともなく、両親も夫婦として子供たちを育ててくれた。僕は不器用ながらもそれを感じ幸せだと信じていた

僕は大学時代からSNS上での自己顕示欲が高すぎて度々トラブルになっていた。トラブルを経験し30代になってから何回も後悔し、SNS上での最低限でのマナーや自己理解したので昔よりは落ち着いた。ただ、同世代から比べるとかなり更新は多い方ではあると思う。SNSを更新しないと「なんかあったの?」と心配されるほど、自分の存在を外部に見守られていたいのだ。

最近、加藤諦三さんという心理学者の本に出会った。
この中で、幸せと思っている家庭の中で、自分の感情を不自然に抑えつける心理について書いていた。


実は最近、兄妹揃って

ウチは本当に幸せだったのか?

と議題で盛り上がった。
実はこれには訳があり、兄弟の一人が精神をかなり病んでしまっている。そして、僕含め兄妹全員が何かしらの心の病になった経歴があるのだ。血筋と言えば簡単に収まるが、僕たちはこの根底に仮面幸福家族なようなものがあったのではという結論になった。
自信のない親に育てられて、その反動で体裁ばかりを気にする過程になれば、お金もあるし、離婚もしないし、幸せな家庭だという世間での当たり前の家族像を構えられるのだ。こうした虚勢が作り上げた偽の幸福形式に子供達である僕たちは、「不幸や不満を感じるのは間違えだ」と思うようになる。こうして僕たちは自我を抑圧しながら幸せな家庭に自信を奪われていった

SNSをやめられないわけ

僕がSNSを辞められない訳は分かっている。人と繋がる楽しさや友達の近況を知りたい事と強さや優秀さの誇示だ。たまに、自制が利かなくなり勢いよく画像を上げてしまう時は、大体仕事で疲れて病んでいる時だ。不安で自信が無い時にSNSのイイネで元気をもらっている。これはSNSの健全な使い方であるのかもしれないけど、自分の人生の方向を変えてしまう様な依存に行くと、それはもはや病気であると思っている。そして、自分はそれに片足を突っ込み根拠のない自信が出てしまう事がある。

SNSで必要以上に自分の強さや優秀さを誇示したいのは、上記した幸せな家庭に抑えつけられた自我の抑圧が関係していると思っている。自分らしく生きているはずだったのに未熟な親の精神で育ち仮面的に幸せな家庭で暮らしていた弊害だ。不安や寂しがあるのに、世間にはしっかりとした姿でいねばという歪んだ理想像を守る事に必死なのだ。

愛されていると感じた瞬間

僕は、人から愛されていると思う瞬間が幾つかある。

・空回りしながら無理をする僕を本気で怒ってくれた友達
・寝ながら抱っこちゃん人形みたいに片腕を握りながら寝る奥さん
・小学校の時にホームステー先の奥さんがしてくれたハグ

心が解けるように、優しい気持ちになれたことがある。
そして、幼少期から実家でこの感覚を感じた事がないことに、30代を越えて気づいてしまった。僕は親が「不器用」であると片付けていたけど、なにかずっと違和感だった。
片親で育った昔の彼女のお母さんは、僕の事を「ケンちゃんは本当にいい子だねー」と褒めてくれた。
不登校で悩んでいる時に当時の姉の彼氏は「いっぱい考えててとてもいいよ!」と褒めてくれた。

僕は親から褒められた記憶がない。大人になってからその理由を聞いたことがあった

勘違いして自信満々の子供になる事を避けたかった

と言われた。
なんとも寂しい言葉だ。

こうしてブラックジョークが好きな卑屈な人間になっていったのだ。

褒めてほしい。

僕の様な仮面幸福家庭で悩んで寂しく思ってる人は多いと思う。そういう人は似たもの同士集まりやすいのでHSPと混同されやすいけど、こうした家庭環境では過剰適応を誘発する事も考えられる。

ちなみに兄弟の中でも不登校として強く反応を示したのは僕だけで、異常な音楽や音やこだわりやアートへの関心があるのでHSP気質は僕だけ強い。

個人の素質は関わってくるけども、未熟な親に育てられて虚勢として体裁だけは保とうとする仮面幸福家族が僕を含め兄妹での人生の課題になっている。全員自信のなさから、人に頼る事が苦手で、飛び級をして自分を大きく見積もる癖がある。これに対処してくのは自分がそういった家庭で育ち、そういった苦しくなるマインドセットされている事実に気づき一個ずつ解いていく認知行動療法をしていくしかないと思っている。


この記事が参加している募集

noteでよかったこと

これからの家族のかたち

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?