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オンラインとオフライン、その境界の行方

コロナ禍とオンライン

コロナ禍は楽器を趣味とする人たちの生活や行動をどのように変えたのでしょうか。
楽器メーカーとしても気になるところです。
楽器は独りでも楽しむことができますが、黙々と誰にも聴かせることなく演奏している人は稀でしょう。
発表の場はバンドやユニットを組んでいればライブハウスや大小イベントで、また、ささやかな趣味であっても友人や知人に披露したりと、そこには必ず他者がいます。
コロナ禍はそういった機会をことごとく奪ってしまいました。

現代社会にはネットワークによって構築された、もう一つの世界が存在します。そう、オンラインです。このオンラインで出来ることが、コロナ禍で加速したことは確かでしょう。
ややハードルは高いものの、オンラインでアンサンブル演奏が可能になりました。
また、『配信』という手段を利用してのライブも行われるようになり、制限が多い中でも音楽を楽しもうという試みがありました。

ところが、このオンラインですが、皆が皆楽しめる、というわけにはいきません。
スマートフォンが普及したとはいえ、高齢者にはまだハードルが高い世界です。
カルチャー教室などの生徒さんは、オンラインレッスンをする都合で覚えていった方も多いと思いますが、出来ない方は楽器そのものをやめてしまう、という方もいました。

オンライン社会の独立性

オンラインの社会はコロナ禍があってもなくても、既に一つのプラットフォームとなっていましたし、これからも続くはずです。オンラインは一時の避難所、ではありません。
オンラインの良いところは、やはり日本中、世界中が繋がることです。現状、多くの機能が首都圏に集中していますが、それを捕捉する手段としてオンラインは有効です。

しかし、やはり人間は人間と直に接するコミュニケーションを欲するのでしょう。
ずっとオンラインだけでは満足できません。
『明けない夜はない』と言う通り、いつかはまた元のコミュニケーションが復活するときが来るでしょう。
その時、オンラインというもう一つの世界があることを、多くの人が体験によって知っていることは、その先の可能性を広げ、希望が持てるのではないかと思っています。

SNSが出来なくても、YouTubeが閲覧できるだけでも世界は広がります。
このオンライン社会の加速はコロナ禍を脱した後、音楽のみならずあらゆる分野で新たなプラットフォームを作っていくと考えます。
それは人々の認知が、オンラインというもう一つの世界を前提にするからです。

かつてテレビとインターネットの融合が提唱されましたが、実現されませんでした。しかし今のオンライン環境はどうでしょう。既にテレビのネット化は進んでいます。

オンラインとオフラインの双方向性

今後はオンラインとオフラインのインタラクティブ(双方向性)が加速する、と私は思っています。
それはオンラインとオフラインが対等になることで、どちらが優れいているとかではなく、その状況に応じて優れた方を選択する、ということです。
現実社会=オフライン、仮想世界=オンラインという認識がこれまであったと思いますが、オンラインも現実社会の一つのリアルな世界として認識されれば、インタラクティブな関係は築けます。

音楽の世界も、もっと可能性を広げることができるはずです。
私は社内のネット担当でもあるので、やや贔屓目に記事を書いているとは思いますが、そうなれば楽しいな、という想いは仕事とは関係なく感じています。

トンボ楽器、オンラインコミュニティの試み

と、色々な考えや想いがあって、トンボ楽器は2020年10月にオンラインコミュニティ『TFC-On-Line』を立ち上げることになりました。
トンボ楽器には既にオフラインのコミュニティとして『トンボ・ファミリークラブ(TFC)』がありました。TFCでは年4回の会報誌『ハーモニカライフ』を発行し、まだインターネットが普及する前の1998年からハーモニカ愛好家のための情報発信を行ってきました。

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TFCは主に複音ハーモニカのユーザーが中心のコミュニティでした。
しかし、ハーモニカにはもっとたくさんの種類があり、またトンボ楽器は国内で唯一アコーディオンの製造をしているメーカーです。
『TFC-On-Line 』はハーモニカだけでなく、アコーディオンまで包括したトンボ楽器のオンラインコミュニティとして誕生したのです。

『TFC-On-Line』の現在のコンテンツは、主にWebジャーナルとして『ハーモニカライフWeb版』『アコーディオンライフ』があり、イベントとしての『コンテスト』があります。
いつでも気軽にスマホからでも読めるWebマガジンは、オンラインならではです。バックナンバーへのアクセスも容易です。
★コラムはnoteを利用しています。


そして、会員が参加できるイベントとして『コンテスト』があります。
この『コンテスト』こそ、『TFC-On-Line』のコンセプトを体現したコンテンツだと思います。

ハーモニカとアコーディオンは楽器の認知度としては残念ながら高いとは言えません。
楽器をやってみたい、という人に対し、その選択肢にまずは入らないと普及できません。
『TFC-On-Line』はオンラインツールを使用し、楽器の認知をアップするという大きな目標があります。
そのために『コンテスト』という一種のお祭りは、とても重要な位置を占めるイベントなのです。

コンテストというと、応募条件に沿った作品(デモテープ)を送り、事前審査を通った者が決勝へと駒を進め優勝を競う、というのが通常のイメージです。
しかし、オンラインでは日々たくさんの種類の演奏動画がアップロードされており、30秒程度のちょっとした練習の成果もSNSで気軽にシェアされていたりします。
こういった既に認知されているプラットフォーム(YouTube)を活用する、オンラインならではのコンテストは既にいくつか行われていました。
『TFC-On-Line』も楽器の認知度をアップする、という目的から、この方法を選択しました。より多くの人へアプローチが可能になるからです。

巨大な動画プラットフォームであるYouTubeを利用することで、今は楽器に興味がない人や、音楽が好きでハーモニカやアコーディオンについてあまり知らない人も、ここに集まる動画を観ることでそれらの楽器に興味を持ってもらえるかもしれない、という企業としての期待があります。
しかし、これは企業のメリットだけではありません。参加するユーザーにとっても自身のチャンネルにアップできるので、視聴回数が増えることにつながります。これはWINWINの関係と言えるでしょう。
会員が増えるほど、注目度はアップします。動画へのリアクションが増えれば嬉しいですよね。

そう、『TFC-On-Line』はメルマガ送る、といった一方向サービスではないのです。
会員もベネフィットを享受できるのです。
さらに『TFC-On-Line』にはポイントによるランクがあり、コミュニティの中で主体性を持って成長していくことができるようになっています。

常に新しいことが起こる可能性を残しておくこと、それがマンネリ化を防ぎ、ワクワクできる環境が持続できることにつながるのだと思います。

ということで、10月からは『第2回 10秒間で鷲づかみ!杯』のエントリーが開始されます!
是非参加して楽しみましょう!

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TOMBO-ism
文章:Web担当 はらよし