漬けもの屋があんこ屋を始めて1年が経ちました。
1月も終わりに近づき、お正月明けの業務も少し落ち着いてきました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
私たち漬けもの屋は、年末にかけて漬物だけでなく、年越し、お正月ならではの特別な商材の取り扱いが増えます。特に正月料理は地方色豊かで、全国各地にさまざまな食材の手配をさせてもらいました。
京都では「棒だら」といった海の幸、見た目も華やかな滋賀の「赤こんにゃく」、岡山の「ママカリ」は酢漬けやばら寿司に、熊本の「辛子れんこん」や宮崎の「金柑の甘露煮」などなど。広島では瀬戸内海の幸「穴子」をほうれん草と調味料で和えた「賀日(がじつ)和え」なんてのもありました。
本当に地方食豊かなお正月料理。さて、我らが鳥取の特色はといえば、何と言ってもお雑煮です!!
何を隠そう鳥取のお雑煮には、小豆の煮汁に丸餅が入っているのです!!
他の地域でのいわゆる「ぜんざい」や「しるこ」と呼ばれるものに近いのですが、小豆をアク抜きした後、柔らかくなるまでゆで、砂糖を加えて味付けして、別のお鍋で煮た丸餅か焼いた丸餅を小豆汁に入れるのです。このあまーいお雑煮がないと、新年が始まった気がしないのが鳥取県民なのです(ですよね? 鳥取のみなさん)。
そんなわけで、私たちの年末年始はあんこ販売の最盛期。鳥取の雑煮は本来小豆から煮るのですが、最近では粒あんを使用して作られる方も多く、圧倒的に粒あんが売れる時期でもあります。作っても作っても追いつかないほど。
私たちの会社、創業昭和49年以来おつけものの会社として頑張ってきたのですが、毎朝、会社につくと漂うあまーい香り。いつの間にかあんこ屋も兼ねるようになったのです。なぜこうなったか、というお話を今日はしようかと思います。
漬けもの屋ですが、あんこ屋でもあります。
私たちの会社、泊綜合食品は全国の美味しいお漬物屋さんから、全国のスーパーさんや問屋さんにその美味しい漬物をお届けすることを生業としてきました。
お取引先様の90%は鳥取県外なのですが、もちろん地元も大事にしています。
地元のスーパーさんでは、本来なら漬物のバイヤーさんとだけ取引するところが、青果、鮮魚、塩干、惣菜と幅広くお付き合いさせて頂いていて。さらにはコラボ商品を開発させてもらったり、らっきょう教室のイベントを一緒にしたり、多岐にわたる小さい会社にしては珍しい形のお取引形態だと思います。
実は、あんこ事業もその関係性の中から生まれたものでした。
バイヤーさんから「こういう商品探してきて!」のお話は頂きますが、あんこをどうにかしてというのはどうなんだろう、、、
うちでつくる?
いやいや、さすがに、、、
そもそもどうやって作るんだ、、、、
しかし、ここで動くのがわが社らしいところ。
「チャレンジしてダメならやめればいい」
これがモットーの会社。みんなで話すうちに、うちって菓子製造の免許あるよね、使ってない釜もあるなぁ、砂糖も塩もあるなぁ、加熱殺菌もスチーマーもあるなぁ、、、あれ? 実はいける??
という流れであんこ製造がはじまったわけです。
とはいえ、内藤製餡所さんは、昭和21(1946)年の創設以来あんこ作り一筋で歩んだ老舗。一朝一夕に同じ味が出せるわけがありません。
そこでバイヤーさんに話をしてみると、社長の内藤さんが直接指導いただけることに。そうして漬けもの屋のあんこ修行が始まったのです。
まずは、あんことは?の研修に始まり、作り方、種類、豆について、みんなで一生懸命勉強しながら、あんこの試作が繰り返される日々。修行中は大量の試作あんこができるので、みんなで試食。作っては食べて調整の繰り返しです。
話を聞きつけた包装資材や金融機関、原料仕入れ先の方々も応援に来てくれて、みんなであんこを食べては、意見をもらいました。
そのあんこ尽くしの日々を経て、ようやく内藤さんのOKが出るあんこになったのです。
そうして売り出して1年が経ちました。
今では、
「内藤さんのあんこ復活したんですね」
「なくなってたからまた買えて良かった」
「子どもの頃からこのあんこなんです」
という嬉しい声を頂けることが少しずつ増えていくのを感じています。
私たちは、漬けもの屋である以前に鳥取の企業です。地元鳥取の人に喜ばれる仕事をしたい。だから、ただあんこを作るのではなく、鳥取の土地にずっと愛されてきたあんこをそのまま作ることにこだわりました。同じじゃないとダメなんです。
今でも内藤さんは定期的に来てくださり、季節、温度、湿度をチェックしながら教えていただいています。
とまりになっても、やっぱりこの味だね!と言われるように、これからも鳥取で愛されてきたあんこを作り続けていきます。
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