岸田いずみ/とまりのつけもの

らっきょう専門店とまりのつけもの、店長。 鳥取の漬物会社、泊綜合食品の3代目。 日本の…

岸田いずみ/とまりのつけもの

らっきょう専門店とまりのつけもの、店長。 鳥取の漬物会社、泊綜合食品の3代目。 日本の食の文化であるつけものを、もっと手軽に、もっと楽しく知ってもらいたい。いろんな種類のつけものや作り手さんの想い、つけもののある食卓がほっこりできるようなストーリーをご紹介していきます。

最近の記事

ディズニーランド2.5個分、地熱60度、絶対に負けられない戦いが始まりました。

例年以上の猛暑、いえ酷暑、、、と言われる最近の夏。 誰もが日中の外出を控え、なるべく外での活動を避ける夏でした。 いや、まだ残暑厳しい昨今ですから、現在進行形で夏です。 そして、そんな季節なのに、始まります。始まってしまいます。 そう、らっきょうの植え付けです。 このnoteを読んでいただいている方にはお馴染みかもしれません、初めての方もいるので改めて。 らっきょうの植え付け、それはすべてが手作業です。 鳥取市福部町の普通畑は約190haで、約95%は砂丘畑が占めて

    • 漬けもの界の風雲児。長くて深〜いキムチの話。

      好きなつけものは何ですか? と聞くと、みなさんはどんなお漬物を思い浮かべるでしょうか。 だいこん? きゅうり? それともトマトなんて人もいるのではないでしょうか。 でも、漬けもの市場で売れ続けている漬けものといえば、やはりキムチは外せません。 長い漬けものの歴史の中でも、キムチは若い商品です。いわば新参者。それなのに関わらず、今やスーパーの漬けものコーナーの一角はキムチ。ときに半分近くがキムチ一色のところもあります。 まさに漬けもの界の風雲児とも言えるキムチですが、

      • 今世紀最大級の梅不足……かもしれません。

        「7月30日」は「梅干しの日」です。 梅干は健康に良く、「梅干しを食べると難が去る」と昔から言われてきたことから「なん(7)がさ(3)る(0)」の語呂合わせからきています。 ちなみに、近しい日が「6月6日」。こちらは「梅の日」です。 由来は室町時代末期。日照りが続いて人々が苦しんでいた時に、時の天皇である後奈良天皇が京都の「葵祭」で有名な賀茂神社に梅を奉納し、祈りを捧げると、たちまち恵みの雨が降り出して五穀豊穣をもたらしたとか。その奉納した日が6月6日。 人々はその天恵

        • 鳥取県民もよく知らない、鳥取のらっきょうのこと。

          今年もらっきょうの季節がやってきました。 6月に入ると県内のあちこちで地元のらっきょうが売られています。一年のうちでこの時期だけの、風物詩ですね。 ところで、スーパーで売っているらっきょう。特に手しごとで漬ける生らっきょうには、2種類あることをご存知でしょうか? 旬の生野菜で売られ方が違うというのはずいぶん珍しい食べ物かもしれませんね。 「土付きらっきょう」と「洗いらっきょう」 売り場にはこの2つが並べられているのです。 「洗いらっきょう」 らっきょうとイメージして

        ディズニーランド2.5個分、地熱60度、絶対に負けられない戦いが始まりました。

          2024年もらっきょうの収穫が始まりました。今年の出来はどうでしょうか……?

          毎年、雪もとけ、春の日差しも暖かくなると「今年のらっきょうの出来栄えはどうなんだ?」と挨拶のように会話にらっきょうが上がります。4月にならんと分からんね。GWまで天気が良いといいけど。 と、暖かな気候を期待しつつ、いよいよGWが明けるとカウントダウン開始。そして、毎年5月20日前後がらっきょうの初出荷です。 さて、2024年のらっきょうはどうでしょうか。 5月中旬。 それまでは青々と気持ちよさそうに風に揺られていたらっきょう畑が一転。 畑のあちらこちらでトラクターが出

          2024年もらっきょうの収穫が始まりました。今年の出来はどうでしょうか……?

          ぬか漬けのある生活、はじめませんか。

          つい先日は5月8日。ぬか漬けの日。 もうすぐきゅうりやナスなど夏のみずみずしい野菜が店頭に並ぶ季節がやってきます。生のままでも十分においしい夏野菜ですが、ぬか漬けにして味わうことでより食材の個性を楽しむことができるので、「季節の手しごと」として始められる方も多い時期ではないでしょうか。 ……が、「ぬか床作りは難しい」「お手入れが大変」「毎日かき混ぜないとダメ」というイメージからなかなか手が出せない方もおられるのでは。 実はそれ、ひと昔前の話。 今は1年中温度管理がしやす

          ぬか漬けのある生活、はじめませんか。

          つけもの屋ですが、実はゼリーも作ってます。

          とまりのつけものは、鳥取から美味しいものをお届けする!というゴールに向かって、日々全国の美味しいものや地元鳥取の素材を探し続け、ときに自分たちの手でつくりだしています。 本業である漬けものはもちろん、変わり種ではあんこなども取り扱っているのですが、実はゼリーも作っています。それも梨ゼリー。鳥取を代表する果物のひとつ、「二十世紀梨」のゼリーです。 梨と言えば「ふなっしー」の千葉のイメージもあるかもしれませんが、実は都道府県人口で割った1人当たりの収穫量という視点で見ると、鳥

          つけもの屋ですが、実はゼリーも作ってます。

          泊綜合食品の3代目に就任しました。最初の仕事は、社長の肩書きをなくすことでした。

          2024年4月1日より泊綜合食品株式会社の代表取締役に就任しました。 実は3年ほど前から「65歳にもなるし、そろそろ交代したいんだけど」と先代からの要望もあり、代表交代は視野に入っていたのですが、なんとそのタイミングで私の妊娠、出産があり。 早々に産休復帰をし、子供も保育園に入り2歳を過ぎたこともあり、このタイミングで代表を交代することになりました。先代は会長となり、社内に残りつつですが、代表ではなくなりました。 noteを始めた時に、私自身の自己紹介をしたのですがここで

          泊綜合食品の3代目に就任しました。最初の仕事は、社長の肩書きをなくすことでした。

          巨大だいこんと、小学校のたくあん教室

          2023年の年の瀬。 鳥取市内の小学校から引きずるように大量なたくあんを持って帰りました。 カブかな?と思うくらい、立派なふと〜い大根。農家さんの商品ではありません。小学生が学校の農場で育てた、大事な大事な大根です。 こちらを持ち帰った時から、わが社始まって以来、初めての「たくあん教室ミッション」が始まりました。 ことの発端は、小学校の先生からの一本の電話でした。 岸田さん、学校でとれた大根を使ってたくあんづくり教室をお願いできませんか? 学校でとれた大根を使って「た

          巨大だいこんと、小学校のたくあん教室

          漬けもの屋があんこ屋を始めて1年が経ちました。

          1月も終わりに近づき、お正月明けの業務も少し落ち着いてきました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか? 私たち漬けもの屋は、年末にかけて漬物だけでなく、年越し、お正月ならではの特別な商材の取り扱いが増えます。特に正月料理は地方色豊かで、全国各地にさまざまな食材の手配をさせてもらいました。 京都では「棒だら」といった海の幸、見た目も華やかな滋賀の「赤こんにゃく」、岡山の「ママカリ」は酢漬けやばら寿司に、熊本の「辛子れんこん」や宮崎の「金柑の甘露煮」などなど。広島では瀬戸内海の

          漬けもの屋があんこ屋を始めて1年が経ちました。

          年越し前のお正月料理のおはなし。

          今年もあと数時間となりました。 大人になり、お正月の文化や風習をあらためて知ることで、新年を迎える支度が楽しくなりような気がします。 ところで、皆さんの地域ではおせちは年末に食べますか? お正月に食べますか? え?と思われた方もおられるのでは。 実は、地域によっておせちを食べる日って違うようです。 もともとおせちは、大晦日に食べるのが一般的だったとか。一年を無事に過ごし、新年を迎えるお祝いとして食べられていたようですね。 しかし江戸時代後期以降は、新年の来客のおもてな

          年越し前のお正月料理のおはなし。

          漬物屋にも柚子の季節がやってきました。

          少し遅れてしまいましたが、12月22日(金)が冬至でしたね。 みなさまはいかがお過ごしだったでしょうか。 冬至は二十四節気のひとつ。1年で最も昼が短く、夜が長い日です。 冬至と言えば、かぼちゃを食べ、柚子湯に入る日として知られていますよね。 かぼちゃを食べるのは、冬至を1年の締めくくりの日ととらえ、「いろはにほへと」の最後にあたる「ん」の付くものを食べるのが良いという縁起担ぎからだとか。 とりわけ、「かぼちゃ(南瓜:なんきん)」「人参(にんじん)」「蓮根(れんこん)」

          漬物屋にも柚子の季節がやってきました。

          大根不足でたくあん不安の一年

          11月11日。……といえば「ポッキーの日」「チーズの日」「チンアナゴの日」と、様々な記念日が思い浮かぶと思いますが「日本記念日協会」によるとその数は54件もあり、10月10日と並んで「最も記念日の多い日」そうです。実はその中に「たくあんの日」もありまして。 「1111」が、たくあん用の大根を並べて干してある様子に似ていること、たくさんの『わん((1)あん)』があるからだそうです。(全日本漬物協同組合連合会が制定) 確かに、そう言われてみれば、、、 1111、、、見えない

          大根不足でたくあん不安の一年

          「腐敗」と「発酵」の分かれ道はどこに?

          とまりのつけもの、店長の岸田です。 我が家には9歳の小学生男子と2歳になる女の子がいます。 彼らは、納豆とヨーグルト、チーズが大好き! 特に小学生のお兄ちゃんは「体の80%は納豆でできている」と自分で言うくらいに納豆大好きで、食卓に納豆が添えられてないと「え?ないの?」とクレームが届きます。 2人とも乳製品多めではありますが、とても健康的に発酵食品を取り入れてくれて母としては喜んでいたのですが……先日、お兄ちゃんが「カビチーズ」の存在を知りました。 そこから、「納豆もチ

          「腐敗」と「発酵」の分かれ道はどこに?

          食欲の秋。ご飯がモリモリ進むお漬物の話。

          新米の時期がやってきました。 新米、さんま、栗、さつまいも、梨、ぶどう、柿…美味しいものが満載の秋。 旬の食材が豊富で、日々のメニュー選びも、お料理も少しだけ楽しくなりますよね。 特にこの時期、お米本来の旨味を楽しめる新米が何よりも楽しみ。 炊きたてのお米は、口の中にやさしい甘みが広がり、そのままでも十分なおいしく、またおにぎりやお弁当にしても冷めてもまた旨し。 そんな新米のおいしさを一層引き立てる、おすすめの「ご飯のおとも」のお話です。 まずは、やはり梅干し 漬物屋とし

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          小学生向け「見て掘って切って漬けて食べる」らっきょう教室を開校しました。@鳥取市

          この夏は、らっきょう教室を地元鳥取の小学校で開催してきました。いわゆる出前授業というものです。 鳥取は全国有数のらっきょう産地。鳥取といえば、、、と聞けば、鳥取砂丘、梨、かに、らっきょうと出てくる食べ物です。 ……がしかし、鳥取の子ども達、いえ、大人たちだって、実のところらっきょうを知っているかというとそうでもないんです。 「らっきょうが砂地で育つことを知らない」 「どんな花を咲かせて、どんなふうに育つのか知らない」 「どうやって生のらっきょうを食べられるようにするのか

          小学生向け「見て掘って切って漬けて食べる」らっきょう教室を開校しました。@鳥取市