ディズニーランド2.5個分、地熱60度、絶対に負けられない戦いが始まりました。
例年以上の猛暑、いえ酷暑、、、と言われる最近の夏。
誰もが日中の外出を控え、なるべく外での活動を避ける夏でした。
いや、まだ残暑厳しい昨今ですから、現在進行形で夏です。
そして、そんな季節なのに、始まります。始まってしまいます。
そう、らっきょうの植え付けです。
このnoteを読んでいただいている方にはお馴染みかもしれません、初めての方もいるので改めて。
らっきょうの植え付け、それはすべてが手作業です。
鳥取市福部町の普通畑は約190haで、約95%は砂丘畑が占めています。
そのうち約60%の約120haでらっきょうを栽培しています。
その面積、東京ドーム25個分、ディズニーランド2.5個分の大きさ。
そこを手作業で植えていく、、、ディズニーランド2個分を手で植えていく、、、想像できるでしょうか?
9月に入っても35度以上の猛暑日が続く中です。さらに砂の上は地熱で60度に。何回も言いますが、その果てしなく広大な土地にすべて手作業で植えていくのです。
福部町で栽培されるらっきょうは、みなさんご存じの砂丘のすぐとなり。砂丘といっても畑はなだらかな坂道が続く起伏が大きい土地で、海と近いので海風も強くなります。
砂地に植えたらっきょうは無防備で、台風の風が吹けばさらさらの砂で埋まってしまうのです。そんな影響も考えながら、進路に気をもみながらの作業が続きます。
今年は酷暑もあり植え付け時期がずれていたところに、さらにノロノロ台風の進路がはっきりしないために、本来なら8月にスタートする植え付けは、台風の過ぎ去った9月から本格的に始まりました。
一度植えたらっきょうの上に砂がかぶってしまうと、芽の一部が砂に埋もれらっきょうが地中で枯れてしまうので、その砂を除いてあげる作業が出てきてしまうのです。昨年も実はありましたが、これがまた人力での作業になるので大変手間がかかります。
鳥取市福部町のらっきょう畑では、生産者から指4本分の間隔をあけて球根を植えるのが通例となっています。女性のこぶし一個分として植えています。
そんな狭い間隔で植えていくのですが、この体勢がまたしんどいのです。
ベテランの方は御年70歳オーバーの方も多いのですが、中腰で作業されていきます。
たしかに中腰スタイルが腕の可動域が広いので、3~4列一気に植えられるので一番効率がいいのですが、なにせしんどい。時間がたつにつれて、膝ついて這いつくばって植えていく形になっていきます、、、。
あらかじめ機械で作っておいた溝にそって植えていきますが、この溝の幅が足の幅分くらいしかないので溝を崩さないように、尻もちもつけません。
溝を崩さないようにするために、畑の中にコンテナも置けないので、畑のすみに置いたコンテナからバケツにたんまり種球をいれて、植えて、入れて、植えての繰り返し。
なので、この時期は畑のあちこちに黄色いコンテナが点在しています。
この時に、深く植えると分球が少なく大粒のものが収穫でき、浅く植えると分球が多くなって、小粒のものがたくさん収穫できるのですが、その差が出ないように丁寧に砂に押し置いていきます。
らっきょう農家さん自体の高齢化も進んでいますし、最近の猛暑は以前とは全然次元の違う暑さなので、この作業への人手の確保は本当に大変です。
大学生や県の職員さんがボランティアで植え付け作業を手伝うこともありますが、なにせ圃場が広いので植え付け自体、何日もかかります。
ちなみ農業現場では、一反は10アールと同一面積という考えで扱われているので、メートル法だと、1アール=100㎡ということは、一反は約1000㎡。坪で考えると一反は300坪にもなります。
この写真で見えている真ん中の畑だけでも一反以上!
植えて植えて、ずーっと植えて、ふと顔を上げるとまだまだ続く砂地に時には心が折れそうになりながら、それでも1球ずつ地道に地道に、丁寧に植えていきます。
……とまあ、大変なことばかりではあるのですが、この作業が翌年の素晴らしいらっきょうになると思えば、、、頑張るしかありません!
さあ、いよいよ始まったらっきょうシーズン。
今年はどんな天候になるのかドキドキしながら、スタートです。