蜘蛛の糸

その糸に絡め取られた私は

逃れようと必死にもがいた

だがまとわり付く糸は

さらに体の自由を奪ってゆく

私の体の数倍はあろうかというほどの

巨大な蜘蛛がゆっくりと近づいてくる

私はとうとう動けなくなり

観念して目を閉じた

そんな時現れたのは

私を襲おうとしている蜘蛛の

何倍も大きなカラスだった

カラスは蜘蛛を飲み込み

さらに私を飲み込もうとした

そこへやって来たのは

私の家で飼っている猫のナリだった

その体はカラスの3倍はあった

ナリはカラスを簡単に追い払い

爪の先を器用に使って

私の体に巻き付いた糸を外してくれた

おお、ありがとうナリ

なんでそんなに大きくなったのかは知らないが

お前は命の恩人だ

だが状況は少しだけ違っていたようだ

地面に落ちた私を

ナリはつま先でつついた

玉とりをする気だ

私は必死に走った

ナリはそれを嘲笑うように

素早く動き

その前足で私を押さえ込んだ

苦しい

苦しい

そして私は目を覚ました

いつの間にか

ナリが私の胸の上で眠っている

お前、8キロもあるんだから

重いよ

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