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文学フリマに行ってみた

みなさんは文学フリマを知ってますか?
「文フリ」と略されることも多いようです。

友人が出展すると聞いて、その存在を知った文学フリマ。一言でいえば、プロアマ問わず、たくさんの人に門戸が開かれた文学作品の展示即売会。

公式サイトによれば、それは、出店者が「自分が〈文学〉と信じるもの」を自らの手で販売する場所。

作品の内容は、小説・物語・詩・俳句・短歌・ノンフィクション・エッセイほか、評論・研究書など多岐にわたり、対象年齢やジャンルも実に幅広い。

驚いたのはその開催規模だ。

出店者: 3,314人、一般来場者: 8,969人。

僕も入場チケットを事前に買っていたにもかかわらず、
入場制限されて会場に入るまで30分以上かかった。

そうとにかく多い。そして、ここに集まってくる人たちが、出店者も来場者も含めて、何となく自分と同じ空気感をまとっている気がして、すごく安心感があった。

そして会場に入ると、広い会場に小さなブースがぎっしりと気持ちのいいくらいに綺麗に並んでいる。

(引用:https://bunfree.net/about/)

いろんな個性的な作品がたくさん並んでおり、それぞれの個性がブースに表現されている。売るものが自分の文学作品ということは、つまるところ、自分自身の中にある純度の高い何かを差し出すということに等しい。

農家から仕入れたトマトを売るのであれば、たとえ売れなくても「きっと、今日はトマトっていう気分じゃなかったんだろうな」と容易に諦めもつくが、売るものが自分の文学作品なら、売れない時の寂しさも大きいだろうし、また逆に売れた時の喜びも大きいだろう。

時に商人のように声をかけてくる人もいれば、恥ずかしさからか、または作品だけを見て純粋に判断してほしいという願望からか、ずっと下を向いて俯いている人もいた。

どんなコミュニケーションであっても、リスクを背負って出店していること自体、すごいことだ。出店者に対する大きなリスペクトの念を抱いた。

いくつか僕が購入した作品を一部紹介しよう。

日常の出来事のなかで「あれはなんだったんだろう」っていうちょっとモヤモヤしたり、未解決だったりしたことってありますよね。大抵の場合、そういうのは記憶の忘却のなかで洗い流されていくものですが、この本はまさに消え去っていきそうなくらいの小さなたくさんの「あれはなんだったんだろう」をすくいあげた実話ショートエッセイ集。

文学フリマ初心者の僕としてはとても入りやすい面白い内容でした。

ちょっとおしゃれな装丁の文庫本。温もり感じるデザインと手触り感。これもまた本ならではの喜びだ。倉敷にある小さな本屋「aru」の店主さんがつくったという本。内容も面白くて、個人的にすごく気に入っている。

詩集のタイトルと表紙のデザインに惹かれた。ジャケ買いというやつだ。作者と直接お話しをしながら、その人の考え方が好きだなと思って、購入を決めた。作者と直接話ができるのが、やはり文学フリマの一番の魅力である。

まさかのわが故郷、「別府」という文字を文学フリマで見つけてしまうとは。別府出身の女性が書いた別府の魅力をいろんな角度で綴った本。いや本というか冊子である。紙をクリップで留めただけのもの。必ずしも製本したものでなければ売ってはいけないというわけではない。

このユルさ、自由さがまた多様性を生み出していてとても好感が持てた。

そして個人的に面白いと思ったのが、パングラム詩集。パングラムとは、一文で、ある言語の文字をすべて使う言葉遊びの一種。パングラムをつくるだけでも大変なはずなのに、それぞれのテーマごとにたくさんのパングラムで詩をつくっている。よほど頭がいいか、よほど暇でない限り、これをつくろうとは思わない。

なかなかの好青年な作者が気に入って、もはや、その人柄にお金を払ったような感じだった。

個人的に「あ、この人に出会えてよかったな」と思ったのが「代わりに読む人」。パリのガイドブックで東京の街を闊歩する、という意味のないことを一生懸命やって意味を見出すという行為と、それを全力でやるあまり自ら出版社までつくって本を出すという、思考と実践が、すごく自分と近い匂いを感じた。

帯もいい感じだ。著名人の宣伝文句にあふれた帯に少し嫌気がさしたら、こういう本を手に取ってみるのもいいなと思う。

「働く」をテーマにした本が好きだが、さすが文学フリマ。「働かない」をテーマにした作品が多かった笑。逆説的なアプローチで「はたらく」を考えるいいきっかけをもらえた気がする。

そして個人的にMVPをあげたいのが「人生のやり方がよく分かりません」という漫画小冊子。

発達障害を抱えた著者の生き様を素直に描いていることに好感が持てたし、優しいタッチの漫画で同じように苦しんでいる人に少しでも何か有益な情報を提供したいという気持ちが伝わってくる。

ただでさえ、自分の苦悩をさらけだすのはつらいはずなのに、それを漫画というユーモラスかつ創造的な技術によって作品に昇華し、著者自らがそれを手売りするという行為全体において、その勇気に心から感動した。

もちろん全部を見切れたわけではないと思うが、また他の地方でもやっているらしいので、各地方の文学フリマも参加してみたいと思ったし、もっというと、

自分も出店したい

そう強く思った。出店者さんと話せるのも楽しいが、会場にきている来場者の人とももっと話したいと思った。自分と同じような空気感をもった人たちとおしゃべりしてみたい。出会いたい。

自分がつくった作品を届けたいと思う人に直接届けたい。

問題は今のところ持ちネタが下記1冊しかないということだ。

とはいえマラソン大会にエントリーすることでマラソンの練習に本腰をいれるように、文学フリマにエントリーすることで1冊でも多く作品を生み出すモチベーションが生まれると思った。

また出店する際には、こちらのnoteでも共有したいと思います。一人ぼっちは寂しいので、ぜひ遊びにきてくださいね苦笑。

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