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【Tokyo Saikai Edition 004】 矢崎智也さん <後編>
東京西海noteの連載「Tokyo Saikai Edition」の第四回。今回のゲストはコーヒーショップ「BOREDOM」のオーナー、矢崎智也さんです。前回は高尾での生活や、趣味であるトレイルランニングについてお話を伺いました。今回は、矢崎さんの器に対するこだわりについてお聞きします。「BOREDOM」をオープンするにあたり、矢崎さんには「Tokyo Saikai Showcase」にお越しいただき、店舗で使用する器を選んでいただきました。その際、矢崎さんには独自の選定基準がありました。
(前編の記事はこちら)
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「自分の好みのデザインはもちろん重要でしたが、それに加えて質感のあるもの、手触りが感じられるものを選びたいと思いました。これは温もりというよりも、ツルツルしたものよりザラザラしたものが好ましいという感覚です。お店で飲食する際に、質感がないと家庭での飲食と変わらないと考えています。『Alongu』のヤキシメで初めてコーヒーを飲んだ時、少しザラっとした感触がありました。初めは違和感がありましたが、逆にその違和感が魅力的に感じることもありました。そういった質感を大切にしたい気持ちと、機能美についてはシビアに検証しました」
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そして選んだのが、抹茶用に作られた「Ha'」の『Horizon Cup』と、日本茶用の湯呑み「Alongu」の『Cup 90mm』。それぞれをコーヒーで使うという発想は非常に斬新です。
「違和感が逆に良かったんです。まずは取っ手のないものを選びたかった。湯呑みの形状のものは、マグカップと比べると持ちにくさがありますが、外で飲むとそれが逆に良いのかもしれません。湯呑みの形で飲むことにはセレモニー感もあります。それに、擦り切りでコーヒーを淹れたり、ミルクを入れたりするととても美しく見えます。マグカップに比べて、取っ手のない形状の方が視覚的にそう感じるんです。コーヒーとミルクの比率はカップの形状や容量に大きく左右されます。それが一致するように、またその美しさを引き立てるようにメニューを作りました」
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「BOREDOM」では、『Horizon Cup』がラテ、『Cup 90mm』がカプチーノ専用のカップです。私たちもこのカップでコーヒーを飲むのは初めての体験でした。まずはラテをいただきます。
「『Horizon Cup』は意外と容量があります。基本的にはシングルショット(約20gのエスプレッソ)をベースに作るのが好きなのですが、このカップにシングルショットを入れ、170ccのミルクを加えるとちょうど良い濃度になります。ミルキーなドリンクが出来上がり、ラテに最適です」
矢崎さんならではの理論と器の機能が見事に調和しています。ミルクの風味も濃厚で、とても美味しいです。
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(カップ:Ha' / Horizon Cup)
「『Cup 90mm』は、ミルクを入れるには少し小さめの印象です。最初はこのサイズがどうなのかと考えましたが、シングルショットと少量のミルクを入れて試してみたら驚くほど美味しかったんです。そこで、このカップにはカプチーノが最適だと感じ、実際にこのカップを使いたくてカプチーノのレシピを作りました。すごく美味しくできたと思います」
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(カップ:Alongu / Cup 90mm)
器がきっかけで生まれたカプチーノです。擦り切りのミルクフォームに口をつけると、気体でも固体でもない独特の食感から始まり、深いコクが後を追います。ヤキシメの質感も「味わう」という感覚を体験できます。「BOREDOM」にお越しの際は、ぜひラテとカプチーノをお楽しみください。矢崎さんが提唱するセレモニーを体感してはいかがでしょうか。
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矢崎智也
北海道出身、現在は東京・高尾在住。コーヒーロースターにてセールス・マーケティング業務に従事した後、2024年に高尾でコーヒーショップ〈BOREDOM〉を開業。
100kmを超える距離のトレイルラインングレースに挑戦することをライフワークにしており、仕事と家庭とトレイルランングのバランスを保つことを大切にしている。
最近では、ランニングにまつわる文章の寄稿やポッドキャストでの発信、マラソン大会の企画・運営など、走ること以外での表現方法を広げている。
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