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出世階段の後

ポール・グレアム(Paul Graham)が執筆したエッセー「After the Ladder」の日本語訳になります。

2005年8月

30年前、人は出世階段を上がっていくことになっていた。これは今ではあまりルールではない。私たちの世代は前払いになってほしいと思っている。ある大企業向けのプロダクトを開発し、見返りとして雇用の保証を期待する代わりに、私たちは自分たちのスタートアップでプロダクトを開発し、それを大企業に販売する。私たちは少なくとも選択肢が欲しいのだ。

この変化は特に経済的不平等の急増をあらわにした。しかし、2つのケースは実際には経済統計で調べるほど違ってはいない。

経済統計は安定した仕事の価値を無視しているため、誤解を招くおそれがある。人を解雇することができない簡単な仕事は、お金の価値がある。2つをやりとりすることは、汚職の最も一般的な形の1つである。閑職(かんしょく)は実質的には年金である。ただし、閑職は経済指標には見られない。もし閑職が経済指標に見られる場合、社会主義国は実際には自明でない冨の格差があることが明らかになるだろう。なぜなら社会主義国は、年功序列によって主に支払われ、決して解雇されることができない強力な官僚の階級を通常持つからである。

閑職ではないが、出世階段にある地位は本当に価値があった。なぜなら、大企業は人を解雇しようとせず、年功序列に主に基づいて内部で昇進させていたからである。出世階段にある地位は、企業の評価において非常に本質的な要素である「のれん」に類似した価値を持っていた。

出世階段の崩壊の主な原因の1つは、1980年代に始まった買収のトレンドである。なぜ頂上にたどり着く前に消えるかもしれない階段を登るのに自分の時間を無駄にするのか?

そして、偶然ではないが、出世階段は初期の企業買収者が非常に成功した理由のひとつだった。安定した仕事の価値を無視するのは経済統計だけではない。企業のバランスシートもそうである。1980年代の企業を切り分けてそれらを部分的に売ることが利益になるひとつの理由は、素晴らしい仕事をやり終え、時期がきたら高報酬の管理職務が与えられると期待する社員に対する暗黙の負債を企業が正式に受け入れなかったことである。

「ウォール・ストリート」という映画で、ゴードン・ゲッコーは副社長であふれた会社をあざ笑った。しかし、その会社は思ったほど腐敗していないかもしれない。副社長の楽で割のいい仕事は、おそらく以前にやり終えた仕事に対する支払いである。

私は新しいモデルの方が好きである。一つには、仕事を報酬のように扱うことが悪い計画に思えるからである。多くの素晴らしいエンジニアがそのようにして悪いマネージャーになった。そして、古いシステムは人びとがより多くの社内政治に対応しなければならないことを意味し、それは階段にある地位に自分たちが投じた仕事を守るためであった。

新しいシステムの大きな利点は、新しいシステムがより多くのリスクを伴うことである。もしあなたが大企業の代わりにスタートアップでアイデアを発展させる場合、あらゆるランダムな要因がやり終える前にあなたを沈めるかもしれない。それに、昔の世代は私たちがする方法はリスクが高いと言って私を笑うだろう。結局のところ、大企業内のプロジェクトは上層部の気まぐれな決定の結果として、常に取り消されていた。私の父の業界全体(増殖炉)はそのようにして消滅した。

良くも悪くも、出世階段の考えはおそらく永久に消えていった。新しいモデルはより流動的で、より効率的のようだ。しかし、これは金融的には人が考えるよりもそれほどの変化ではない。私たちの父親はそんなに馬鹿じゃなかった。


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