「決め方を決める」には?|アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から、「決め方を決める」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
2022年7月には、7本の動画を公開しましたが、今回の続編と合わせて14本の動画シリーズとなりました。この記事で取り上げる「決め方を決める」について、ことば本では以下のように書かれています。
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決め方を決める:どのように物事を決めていくのか
複数人でプロジェクトを動かすときは、物事の決め方を確認しよう。現場担当の範疇で決められること。現場責任者の判断を仰ぐ必要があること。そして事務局長決裁が必要なこと。または、事務局会議や主催者会議、組織の理事会や総会といった、各所関係者による会議の場で協議の上、決めること。内容によって、その決め方はさまざまだといえる。チームで動くとき、物事を決める権限は個人に委ねられるのではなく、チーム全体でどのように判断していくかが問われる。関係者それぞれが、決定権限について把握することは、プロジェクト運営の際の混乱を避ける秘訣といえる。また、誰がどのように決めるのか、ということに加え、どのようにしたら決まったといえるのか、ということも確認が必要だ。
情報共有だけでは決まったことにはならない。よくありがちなのは、会議で話題を共有したらその事案は決定したと思ってしまうこと。相手との会話の上で、承認はきちんと取り付けよう。そうでないと、決まったと思っている人と、話を聞いただけ、と思っている人との間で認識がずれていき、トラブルのもととなるだろう。
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プロジェクトや会議をはじめるとき、「決め方を決める」習慣をつけておくことは、事業の舵取りをスムーズにする工夫のひとつです。
アートプロジェクトでは一時的なイベント参加者のみならず、ときには「関わりしろ」が広がって、一緒にプロジェクトを動かすメンバーが増えていくこともあります。
事務局だけではなく、そうして多くの考え方が集まるからこそ、お互いを気にしたり、話が脱線したり、決めようとしたことが決まらないまま会議が終わってしまった……そうした場面を見かけることも。
動画で紹介したポイントのほかに、会議に臨むときには「何を決めるのか」を設定しなければなりません。以前の記事でも紹介した「会議の3点セット」を活用することで、みんなの現在地と向かうべき方向を整えることができるでしょう。
会議だけではありません。例えば「広報」を計画するとき、あるいは「ドキュメント」をつくるときにも、誰に、何を届けたいのか、チームで考えて決める場が必要です。
プロジェクトを運営していると、多くの「決める」瞬間が訪れます。だからこそ、事前に「決める」ための準備をしておくことで、業務的にも心理的にも負担を減らすことができるのだと思います。
ことば本に出てくる「決め方を決める」の解説には、情報共有という言葉が出てきました。
物事を決める前には「情報共有」が必要です。日頃から情報共有をするための工夫や設計を意識しておくと、いざというときにもスムーズに「決める」段階へと移ることができます。
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このシリーズではさまざまな「ことば」を紹介していますが、それぞれの視点を重ねたり関係させたりしながら、プロジェクト運営の基盤づくりに役立てていただけたら嬉しいです。
(櫻井駿介)
▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。