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「関わりしろ」を増やそう。|アートプロジェクトの運営をひらく、〇〇のことば。

アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から「関わりしろ」を公開しました!

この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。

今回取り上げた「関わりしろ」について、ことば本では以下のように書かかれています。

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関わりしろーー支える層が厚いほど広がりのある活動になる

持続可能な環境をつくる手段のひとつとして、社会との 「関わりしろ」をつくることが考えられる。「関わりしろ」とは、プロジェクトに「関わる」ための「のりしろ」のこと。スタッフやボランティア、サポーターとして運営や企画づくりに関わることもそうである。事務局は、そのような関わり方ができるように、さまざまなプログラムを積極的に用意すると良いだろう。

地域での活動として、見守ったり、応援したり、情報提供したり、または、興味のあるプログラムに参加者として関わる人を増やすことも事務局の大切な役目。関わる人の層が厚くなればなるほどプロジェクトもダイナミックに動いていく。しかし、そのためには、モチベーションや参加度合いの異なる人が、お互いの関わり方を許容することも必要だ。プロジェクトを支える人の層の厚さは、プロジェクトそのものの成長となる。

『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本<増補版>』アーツカウンシル東京、2020年、64頁より。本書は、以下のリンク先よりPDFダウンロード、もしくは郵送(送料のみ/着払い)にてお読みいただけます。

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アートプロジェクトの年間計画や、ひとつのプログラムを設計するときに「関わりしろが用意されているか?」は、チェックポイントのひとつとしたいところです。程度はどうあれ、地域に根ざした活動にも、これからの社会に必要なあらたな取り組みを生み出すための実験にも、「誰とやるか」は欠かせないからです。

「関わりしろ」は参画してくれる「人」の単位に留まりません。2005年ごろから「関わりしろ」の重要性を説いてきた美術家の藤浩志さんは「私」と「社会」の関係の接面であるといいます。

コロナ禍以前の問題意識:関係の接面、関わりしろ
 20年ほど前の話、まちづくりの調査で中学生1年生の女子に「このまち、関係ないところばっかり」とぶつけられました。子どもたちだけで行けるところがその学区内にはほとんどなかったのです。海と大きな川に面しているのですが水辺は危ないので立ち入り禁止。大きな企業のビルが立ち並ぶところですが、そこでは警備員が目を光らせています。唯一許されているところはコンビニと児童公園ですが、コンビニは買い物しないと怖い目で見られるし、児童公園には縄張りがあって、その子の居場所はありません。唯一許されているところは自宅の自分の部屋の中。その中学生の問題は僕らの問題でもあります。僕らにも関係ないところばかりです。職場と自宅を行き来する以外はどこですごしていますか? みなさんがゆくことが許されているところ、魅力的に過ごせるところはまちにどれほどあるのでしょう? 大切な時間を過ごせるところはどんなところでしょう。
 だれにでもいることが許され、創造的で魅力的な場所と時間。それはどのようなところなのかということに興味があり、それを様々な形で作ってきました。これはコロナ禍以前の問題意識です。
 コロナ禍以前はAという存在とBという存在の間の部分。特にそれが重なり合う部分、重なりしろ、関わりしろをつくろうとしてきました。内側と外側の間の境界の領域のようなところ、昔の家屋の中と外の間の縁側のような部分であり、工作するときの「のりしろ」のようなところです。「関わりしろ」という言葉も使ってきました。つまり接面の部分です。そこが社会の中でどのように成立するのかということに興味を持ち、様々な実践を行ってきました。



「まち」との関係をつくる。または、紡ぎ直す。そこに関係のある人や居場所があることが、現代社会においてはひとつのセーフティネットとなります。

「関わりしろ」をどうやって可視化/価値化する?

東京アートポイント計画のアートプロジェクト「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」ではその11年の活動をまとめた冊子『アートプロジェクトがつむぐ縁のはなし 大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住」の11年』において、絵物語、事業にかかわってきた人の声、そして多様な評価分析によって縁の可視化を試みました。プログラムを重ね、その度に商店街、小学校、吹奏楽部、盆踊りの会、地域の大学、地域の音楽愛好家、、、などあらゆる「関わりしろ」を用意してきた「Memorial Rebirth 千住」の軌跡を辿ることができます。

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アートプロジェクトで「関わりしろ」をつくること。それは「ひと」「まち」、ひいては「社会」との接点を生み出すことと言えます。スタート前にぜひ「関わりしろ、あるかな?」と立ち止まってみてください。

大内伸輔

▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。