「関わりしろ」を増やそう。|アートプロジェクトの運営をひらく、〇〇のことば。
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から「関わりしろ」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
今回取り上げた「関わりしろ」について、ことば本では以下のように書かかれています。
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関わりしろーー支える層が厚いほど広がりのある活動になる
持続可能な環境をつくる手段のひとつとして、社会との 「関わりしろ」をつくることが考えられる。「関わりしろ」とは、プロジェクトに「関わる」ための「のりしろ」のこと。スタッフやボランティア、サポーターとして運営や企画づくりに関わることもそうである。事務局は、そのような関わり方ができるように、さまざまなプログラムを積極的に用意すると良いだろう。
地域での活動として、見守ったり、応援したり、情報提供したり、または、興味のあるプログラムに参加者として関わる人を増やすことも事務局の大切な役目。関わる人の層が厚くなればなるほどプロジェクトもダイナミックに動いていく。しかし、そのためには、モチベーションや参加度合いの異なる人が、お互いの関わり方を許容することも必要だ。プロジェクトを支える人の層の厚さは、プロジェクトそのものの成長となる。
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アートプロジェクトの年間計画や、ひとつのプログラムを設計するときに「関わりしろが用意されているか?」は、チェックポイントのひとつとしたいところです。程度はどうあれ、地域に根ざした活動にも、これからの社会に必要なあらたな取り組みを生み出すための実験にも、「誰とやるか」は欠かせないからです。
「関わりしろ」は参画してくれる「人」の単位に留まりません。2005年ごろから「関わりしろ」の重要性を説いてきた美術家の藤浩志さんは「私」と「社会」の関係の接面であるといいます。
「まち」との関係をつくる。または、紡ぎ直す。そこに関係のある人や居場所があることが、現代社会においてはひとつのセーフティネットとなります。
「関わりしろ」をどうやって可視化/価値化する?
東京アートポイント計画のアートプロジェクト「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」ではその11年の活動をまとめた冊子『アートプロジェクトがつむぐ縁のはなし 大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住」の11年』において、絵物語、事業にかかわってきた人の声、そして多様な評価分析によって縁の可視化を試みました。プログラムを重ね、その度に商店街、小学校、吹奏楽部、盆踊りの会、地域の大学、地域の音楽愛好家、、、などあらゆる「関わりしろ」を用意してきた「Memorial Rebirth 千住」の軌跡を辿ることができます。
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アートプロジェクトで「関わりしろ」をつくること。それは「ひと」「まち」、ひいては「社会」との接点を生み出すことと言えます。スタート前にぜひ「関わりしろ、あるかな?」と立ち止まってみてください。
(大内伸輔)
▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。