「会議の3点セット」を揃えよう。|アートプロジェクトの運営をひらく、〇〇のことば。
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から「会議の3点セット」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
今回取り上げた「会議の3点セット」について、ことば本では以下のように書かかれています。
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会議の3点セット(アジェンダ/資料/議事録)ーー会議のデザインが、プロジェクトを進める
会議は、話を前に進めるための場としてデザインするもの。その会議の質を決める3点セットがある。1つ目は会議の進行表、「アジェンダ」。これを会議前に準備し、 目的、議事内容、参加者を確認する。何のためにどのような協議をする場なのか、会話を進めるには誰の参加が必要か、会議の所要時間はどのくらいか。「アジェンダ」はこうした決めるべきこと、共有すべきことを漏れなくおさえるためのツールである。
2つ目は「資料」の用意。協議するための検討材料をまとめ、建設的な議論にそなえる。このアジェンダと資料が整うと会議の方向性がみえてくる。
3つ目は、会議開催時に話されたことを事実として記録し、その後の行動の根拠とするための「議事録」。決定したことや確認した事項のほか、あとで確認するべき事項や、追加資料が求められているものなど継続審議する事案、それを誰がいつまでに用意するかといった段取りは、かならず記録し、出席者間で確認すること。 こうした準備と進行のもとに行う会議が、プロジェクトを着実に動かしていく。
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アジェンダ、資料、議事録。“いつものメンバー”の会議だと疎かになりがちなこの3点セット、きちんとそろえることがなぜ大事なのでしょうか? そのヒントは、『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』にも載っています。
こちらの書籍は、2016年に実施した「思考と技術と対話の学校 基礎プログラム2[技術編]」のプログラム実施を通して得た気づきをまとめたもの。プログラムでは「5年後の東京を見据えて、いま取り組むべきプロジェクトは何か」を11名の受講生が議論し、ひとつの事業計画書を作成するグループワークに取り組みました。
そのなかで、メンバーが、企画のコンセプトやプログラム内容、具体的なスケジュールなどを「決められない」状況に陥ることが多くあったそうです。
その一つの原因は、会議において「何をどこまで決めるか」などが事前に
設定されていないことでした。この会議で何のために、何について話し、何が決まると次のアクションが決まるのか。その確認に会議の3点セットは有効です。
アジェンダは議論の向かう先を示すコンパスと地図になり、資料は議論の歩みを着実に進めるためのツールとなります。議事録は、議論の進捗を「なんとなく」ではなく具体的に記した位置情報となることでしょう。
会議の場を、想像する
『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』では、下記の気づきも掲載しています。
今回は少しピリッとした雰囲気で話したいから、こんなかたちで話すと議論しやすいかもしれない。あの人が参加するんだった、じゃああの資料も必要だ。どんな会議にしたいか、何を話したいか、の想像力を働かせ、丁寧に会議の準備を進めることで、会議そのものが豊かな時間になります。
ウィズ・コロナ時代の会議の「かたち」
とはいえ、上記は対面ベースの会議の話です。もちろん、オンラインでも3点セットは必要ですが、プロジェクトの現場を見ると、会議でのコミュニケーションの「かたち」は変わってきています。
例えば、議事録をクラウド化し、リアルタイムで編集するようにしたり。
オンラインツールを工夫して使って、インナーコミュニケーションを活発に行うプロジェクトもありました。
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目的は3点セットをつくることではなく、あくまで、豊かに議論をすること。それは、プロジェクトを豊かにするためのことばや情報を会議の場で生み出し、集めることにつながります。
忙しい日々でついおろそかになりがちな会議の準備ですが、参加メンバーを楽しく想像しながら、3点セットをぜひ運用してみてください。
(岡野恵未子)
▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。