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腓腹筋痙攣(こむら返り、脚のひきつり)の鍼灸治療

疫学:いわゆる強直性痙攣の一種で、腓腹筋が局所的、突発的に激しく痙攣し、時に筋繊維が断裂するような激烈な痛みを伴う。下肢が冷えた時や就寝時など、血流が低下した時に起こりやすい。全身性の強直性痙攣にはてんかん、テタニー、破傷風などがある。

原因:冷え、筋疲労、上位運動ニューロンの障害、中毒性疾患、下肢静脈のうっ血、電解質不足(カリウム不足)など。

注意点:運動中は発汗によって血液中のカリウムが減少し、こむら返りが起こりやすくなる。また、血流低下によるこむら返りを予防するため、冷水中や寒冷時に運動する場合は、事前に下肢を保温したり、十分なウォーミングアップをしておくことが重要。

一般的な治療法:温熱療法、薬物療法など。

当院の治療法:単なる冷えや筋疲労などによるこむら返りであれば、当院の鍼灸治療で改善または完全に痙攣が出ないような状態にすることが可能です。当院では比較的簡単に治せる病態です。通常1~5回程度の施術でこむら返りが発生する頻度が減少し、軽症であれば完全に発作が消失します。特に痙攣が起こっている時や痙攣発生直後に刺鍼すると、すぐに楽になり、その効果を実感できることが多いようです。下肢へ刺鍼しても改善しない場合は、食いしばりなど、顎関節の異常による交感神経系の優位、末梢血管の収縮が原因になっていることがよくあります。この場合は、仰臥位にて顎関節周囲へ刺鍼する必要があります。また針治療と同時に、週3~5回程度、15~30分ほどのウォーキングを続けることで、完治させることが可能です。さらに、日常生活においては、体を冷やすような食べ物の摂取は控え、膝下には緩めのレッグウォーマーや保温サポーターなどを常時着用し、全身の血流を滞らせないような工夫が必要です。ちなみに、過去に筋肉がちぎれるような激烈な痛みを伴うこむら返りを経験していたり、スキーなどで腓腹筋に酷い肉離れを経験したことがある場合、腓腹筋に瘢痕化したと思しき数センチ四方のシコリが見られるケースがあります。このようなシコリがあると、下肢全体の血流が改善したとしても、こむら返りが完全に解消されないことが稀にあります

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