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「不動産小説」ツボ売り

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時は2005年、オフィス仲介業というニッチな不動産業界に新卒入社した『山本』と取り巻く人間関係、オフィス仲介としての生き方を追う小説。不動産屋成分多め
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#不動産

ツボ売り1

街は変わった 景色だけではなく、街に暮らす人々の生活。そしてみている風景、時代すべてが変…

ツボ売り2

「君は学生時代何をやっていたの?自分の強みはあるの?」 なんどもインプットされていた質問…

ツボ売り3

形だけの内定者懇談会が終わり内定者は4名という事がわかった。そこで説明会で隣にいた石田も…

ツボ売り4

「お世話になっております!グランドオフィスのやまもとです!」 「だから移転の話は一旦延期…

ツボ売り5

「インターセクション社の移転、山本君やってみる?」 アポイントから帰る際に岸部から発せら…

ツボ売り6

「結果として御社を含めて2-3社がN.S.Eビルを検討しているという事です」インターセクション…

ツボ売り7

今月の新人売り上げは山本ただ一人だった。 もちろん結果としてインターセクション社に関しては、案件のほとんどを岸辺がまとめたあげた。今回は成約に到る経緯の中から山本も内見や条件交渉の会議には同席した功績を認められたからに他ならない。 当初は「俺の案件」といっていた岸辺も異論はなく最短売り上げ記録として大曲社長から期待の新人だと褒められるシーンまで用意されていた。 当初は調子の良かった石田は内見の数が多かったものの顧客側が煮えきらず次月への持ち越しと悔しい結果だったらしい。

坪売り8

春があっという間に過ぎ、夏になり、その夏も過ぎようとしている。岸部から案件を一緒にやろう…

坪売り10

ニューリアル社の総務担当はいら立っていた。営業会社にある光景だ。営業会社で強いのは圧倒的…

坪売り11

呼び出しは意外な結末であった。 岡田ビルの契約はやめた。競合していた仲介会社担当は差押え…

坪売り 13

<<登場人物紹介>> 山本 ツボ売りの主人公。オフィス仲介会社グランドオフィスに新卒入社 石田 …

坪売り14

会社の雰囲気は依然として厳しい。岸部やその他の中堅がいなくなり売り上げの見込みが立ちにく…

坪売り15

代わる代わる質問や恫喝のような誘導尋問が何度も繰り広げられた。石田は涙をこぼして「自分は…

坪売り16

翌日、朝会社のエレベータに乗るのが憂鬱であった。月曜に連絡は無い、休むわけにもいかず出社するしかないのだが、日曜日の悪夢が呼び覚まされる。だいの大人数人に詰問されるような事はもう経験したくない。 オフィスフロアで自席に向かうと待ち構えていたのは城島だけだった。 「これ、お前たちのパソコンと携帯電話」 「結局、お前たちの携帯の通話履歴、メールからはそれらしい記録も内容も出てこなかった。今回はおとがめなしだと」 城島の発言には謝罪も申し訳なさもなく、ただ淡々と説明をしただ